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第6章―7

 更にこの海軍の動きを、陸軍も歓迎する動きを起こしていた。


 実際問題として、上海での戦いは陸軍上層部内に大衝撃を与えていた。

「ドイツ軍の指導を受けた中国国民党軍の装甲部隊の威力が、あれ程とは」

「戦車は歩兵支援の為の兵器ではない。戦車こそが戦場の主役なのだ」

「更に歩兵や砲兵を自動車化し、機動力を重視して、戦果を挙げるとは」

「我が陸軍も自動車化を進め、戦場の主役に成れる戦車を開発、量産できるようにならねば」

 そんな声が内部から強く上がったが、では、何処に協力を求めるのか、というと。


「ソ連は仮想敵国だから論外だ」

「独に頭を下げて協力を求める等、日中戦争の結果に激怒している日本の国民から袋叩きに遭うぞ」

「かと言って、米国に我が陸軍はコネは無いと言っても過言ではない」

「となると英仏といった辺りだが」

「仏はかつての師匠と言えるが、第一次世界大戦で陸軍を欧州派兵していないこと等から疎遠だな」

「日本海軍の師匠は、英海軍と言える。迂遠と言えば迂遠だが、海軍の繋がりを介して、英に協力を求めるのが相当だろう。それに、共に島国だ。歩兵戦車と巡航戦車の開発を進めつつあるとも聞く」

「我が日本の国力からして、そんな二本立ての戦車開発は無理で、出来る限り高速の歩兵戦車を造ることにならざるを得ないだろうがな」

 

 そんな最後には自虐めいた会話まで、陸軍上層部は交わした末に、海軍の繋がりを利用して、新戦車の開発を進めることにしたのだ。


 だが、そうは言っても、という事態が起きるのは、どうにもならなかった。

「鉄道は狭軌だし、様々な道路や鉄道の重量制限もきついな」

「渡河資材や上陸用舟艇等にしても、様々な限界があるからな。それらも要拡張になるか」

「例えば、大発動艇では小さいから、と九七式中戦車に対応できる特大発動艇が、やっと開発完了が見えてきたというのに、更に大きな発動艇を造らないといけないとはな」

 そんな自虐を更に交わしはしたが、本当に背に腹は代えられない。


 何しろ、中国国民党軍が、上海での戦いに投入したのはソ連製戦車であり、日本の戦車より明らかに強力で、ようやく開発が完了したばかりと言える九七式中戦車が明らかに格下なのが判明したのだ。

 ソ連を仮想敵国としている日本陸軍にしてみれば、顔色を変えるしかない事態だった。

 しかも、それが上海での戦いで、日本の国内外にそれなりに知られてしまっては。


 取り敢えず、この当時、やっと試作が終わったばかりと言える47ミリ対戦車砲(史実では、一式機動47ミリ速射砲となった)を、急きょ九七式中戦車の戦車砲に事実上は転用、開発することで、攻撃力だけは、それなりに上げることになったが、こんなことでは焼け石に水だ。


「戦車用エンジンにしても、日本独自と言える空冷ディーゼル式に拘りたいが」

「無理を言うな。重量の割に低馬力なのが現実だ。今から新型エンジンを開発する時間が惜しい」

「航空用エンジンを、戦車用エンジンに転用すると言うのはどうだろうか。旧式化したエンジンを転用すれば、新型エンジン開発の為の費用や時間を節約できる」

「確かに悪い考えでは無いが、そんなことをしては燃料、具体的にはガソリンの確保が色々な意味で難問になってくるぞ」


 そんな風に新戦車に関しては、エンジン問題一つについても、陸軍部内で様々な意見が飛び交うことになったが、陸軍の様々な改革は急務であり、その改革費用を捻出する必要もある。

 しかも、一応は日中戦争は終わったのであり、中国本土から引き揚げてきた人々を、国として様々な支援策を施す必要があり、それにも費用等が掛かるのだ。

 これまでの行きがかりを捨て、陸海軍は協力するしかなかった。

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