第28章―20
ともかく、といっては何だが。
1941年9月上旬、日本海兵隊とユダヤ人部隊は悪戦苦闘の末に、ワルヘレン島に築かれたドイツ軍の砲台兼要塞への攻撃を開始しようとする事態が起きていた。
それまでに数千どころか、1万を超える死傷者を、日本海兵隊とユダヤ人部隊は、結果的に出す事態が起きてはいたが。
その一方で、ドイツ軍の守備隊もドイツ本土防衛の為に過半数が密かに転身していたことから、守備兵力が微妙に不足する事態が、要塞の防御線で起きることにもなり、日本海兵隊とユダヤ人部隊は、ワルヘレン島の砲台兼要塞への攻撃準備を事前予測より早く整えられることが出来たのだ。
そして、ここに至るまでに様々なことがあった以上、連合軍、特に日本海兵隊はそれなり以上の対策を講じた上で、ワルヘレン島の砲台兼要塞への攻撃を試みることになった。
さて、その対策の主な柱だが。
「日本海軍の空母部隊に搭載されている艦上攻撃機だけど、特殊爆弾が搭載可能というのは本当なの」
「そういった噂が流れていますが、何処まで本当なのか」
カテリーナ・メンデスは、同僚とそんな会話を交わしていた。
ル・アーブル近郊に設けられていたドイツ軍の砲台兼要塞への攻撃の際、日英海軍は手痛い損害を被る事態が引き起こされた。
それに対して、日英海軍はそれなり以上の対処策を、共に急きょ講じることになったのだが。
英海軍は、それこそ艦上機の開発が日米海軍に対して劣っていたこともあって、海軍による対処策は未だに決まらない事態が起きているが。
日本海軍は、艦上機の開発が順調に進んでいたこともあって、特殊爆弾を艦上攻撃機に搭載することで対処しようとする事態が起きていたのだ。
その特殊爆弾だが、長門級戦艦の主砲弾を参考にして開発された代物であり、長門級戦艦の主砲弾とほぼ同等の威力を持って、艦上攻撃機の水平爆撃で投下されることになっていた。
特殊爆弾の開発に当たった技術者に言わせれば、
「水平爆撃ですので、命中率はお察しですが、当たりさえすれば、現在の世界中の戦艦ならば、主装甲部を全て貫通可能な筈です」
と豪語する代物だった。
そして、それは決して過大な評価では無かった。
「見事なモノだな」
「全くです」
南雲忠一中将は、八原博道中佐と、そんなやり取りをすることになった。
周囲には、他の司令部の面々もいるのだが、ほぼ絶句する事態が起きている。
「90発を一斉投弾した成果はあったな」
「確かにチマチマと250キロ通常爆弾等を投下するよりも、効果があったのは間違いないです」
二人は更にそんなやり取りをした。
日本から派遣された艦上機部隊は、ワルヘレン島の砲台兼要塞に対して、総力を挙げたといえる爆撃を断行したのだ。
その中で目玉とされたのが、800キロの特殊爆弾90発であり、実際にそれなり以上の戦果を挙げた結果として、どうやら砲台兼要塞の弾薬庫の一つに誘爆を引き起こしたようで、要塞を包む様な巨大な火柱が上がる事態が起きていたのだ。
「これで、アントウェルペン港で物資を揚陸するのに、最大の障害は消えたが、何とも言えない結末だな」
「はい」
南雲中将の言葉に、さしもの八原中佐も手短に答えた。
二人は共に考えていた。
無事に作戦が終了したと言えるのだが、こんな結末を迎えるとは。
本当に何と言えば良いのか、言葉に困る事態だな。
更に言えば、似たような想いを、この事態を望見することになった米内洋六中佐やカルロ・メンデス伍長勤務上等兵もせざるを得なかった。
あれでは、守備兵の殆どが死傷しているだろう。
実際にその通りで、ワルヘレン島の砲台兼要塞は容易に陥落したのだ。
最も機雷の除去等から、完全な結末には至らなかった。、
この話に出て来る特殊爆弾ですが、史実の真珠湾空襲で艦攻の水平爆撃隊が使った爆弾と考えて下さい。
尚、これで第28章を終えて、次話から第29章になります。
御感想等をお待ちしています。




