第28章―18
そういった考えから、日本海兵隊の主力は、スヘルデ河口部を固守しているドイツ軍部隊救援の為に赴いているドイツ軍部隊迎撃の為に、嬉々として赴く事態が起きた。
何しろ救援部隊が赴いている以上、機動戦が行われるのは必然と言って良い。
ここ暫く行われていた陣地攻略の為に、理屈では納得できても、感情的には嫌だった歩兵支援の為に、戦車部隊が分散して投入されるという事態から抜け出せるというのは。
日本海兵隊の戦車部隊の面々にしてみれば、これ幸いとばかりに逸って当然と言えた。
だが、その考えは、ドイツ軍の救援作戦に従事する面々とは噛み合っていなかった。
「幾ら熟練した面々を引き抜いて、我がグロースドイッチュラント師団に集めたのであり、我が師団はドイツ軍内で最良の装甲師団である、と師団長が訓示してもな」
ヒアツィント・シュトラハヴィッツ中佐は、(流石に口には出さずに)内心で呟かざるを得なかった。
更にシュトラハヴィッツ中佐なりの考えを言えばだが、師団長にしても立場から言っているだけだ。
自分同様に、師団長にしても、連隊規模に過ぎなかったのに、急きょ拡大再編制されたグロースドイッチュラント師団の戦力について、どうにも疑問を覚えざるを得ないのが現実なのだ。
これが基は師団規模でアリ、大損害を被ったので再編制されたと言うのならば、従前から所属していた面々が中核になるので、まだしもと言えるのだが。
連隊規模から、急きょ師団規模に、更に言えば(ベルリン)衛兵連隊(この時点では純粋な徒歩歩兵連隊)から、独立歩兵連隊グロースドイッチュラントに、更には装甲師団グロースドイッチュラントへ、と装備改編までも伴う急激な拡大再編制を強いられては。
幾ら優秀な人材をかき集めても、1月余りで実戦で大戦果を挙げられる程の装甲師団編制等が出来る筈がないではないか。
それ故に師団長やその周囲までも、自分と同様に考えているのだろう。
実戦訓練の為に、この救援作戦は発動される事態が起きたのだ。
何しろ救援作戦なのだ、少しでも損害を被ったら、現場判断で退却では無かった、転進しても特に問題は起きない筈だ。
ヒトラー総統やその周辺からは、色々と督戦等が行われるだろうが、それ以前にルール工業地帯を目指して、更には他のドイツ本土への攻撃の為に、英仏軍の主力による攻撃が行われている現実がある。
そして、スヘルデ河口部に展開してるドイツ軍部隊を救援することと、ルール工業地帯を守ることと、どちらが優先されるべきなのか、と問われれば。
ヒトラー総統と言えども、ルール工業地帯を何としても死守せよ、と言わざるを得ないのが現実なのだ。
(実際には。
スヘルデ河口部も、ルール工業地帯も共に守るのが当然だ。
更に言えば、スヘルデ河口部についてだが、我が優秀なるアーリア民族から成るドイツ軍は、劣等人種によって編制された日本軍やユダヤ人部隊が相手ならば、10倍を相手取っても圧勝できる筈なのだ。
特に我がドイツ陸軍が、日本海兵隊に陸戦で勝てない筈がないのだ。
それなのに勝てない、というドイツ陸軍の軍人は無能極まりない存在なのだ。
と喚いているのが、ヒトラー総統の現実なのだが)
ともかく、そうしたことから、装甲師団グロースドイッチュラントを先鋒とするドイツ軍の救援部隊は、現実には総力を挙げての決戦ということは無く、日本海兵隊と交戦することになったのだ。
その為に交戦自体は発生したのだが、軽戦後にドイツ軍の救援部隊は後退し、日本側は罠を警戒する事態が頻発する。
「実戦訓練は済んだな」
とシュトラハヴィッツ中佐は呟く一方、米内洋六中佐は、
「奴らは何を考えて行動したのだ」
と呟く事態が起きた。
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