第26章―4
米内藤子の実の母方祖父について、実名を付けて当然なのですが。
ここだけの登場に、藤子の母方祖父はなりそうで、後日、再登場することがあれば、別名での登場に、鳥頭の作者はしそうなので、敢えて米内藤子の母方祖父は、米内藤子の母方祖母の「(小林)はるの夫」と呼称しています。
そんな玄関先での出来事があった直後、米内仁は義妹の藤子と共に、小林はるとその夫、つまり藤子の実の母方祖父母に、挨拶をすることになった。
「本当に(異父)弟妹がお世話になっていて、ありがとうございます」
「何、私達夫婦にしてみれば、孫も同然。気にすることはない」
仁が頭を下げながら言うのに、はるの夫はそう言ってくれて、はるも無言で肯いたが。
仁にしてみれば、本当に申し訳ない想いがしてならない。
自分の実母の久子が暴走して、義妹の藤子とその母方祖父母に、自らの異父弟妹の世話を押し付けて、自分からすれば養父にして叔父になる夫の後を追って、欧州に行ってしまったことが今を招いている。
それにしても、自分からすれば、実母と養父は何時に成れば、日本に帰って来れるのだろう。
仁のそんな想いを察したのか、はるの夫は言いだした。
「ドイツ軍は、フランス本国全土からほぼ撤退したらしいな。まずはベネルクス三国を解放して、更にはドイツ本土に、英仏日等の連合軍は侵攻するのだろうな」
「自分もそうなるのでは、と考えますね」
仁はその言葉に相槌を打つかのように言った。
実際に、はるの夫の言葉は間違っていなかった。
フランス本国全土が、レジスタンス祭りと言っても過言ではない状況にあったこともあって、英仏日等の連合軍の反攻は、フランス本国全土内では順調に進む事態が起きており、1941年8月中旬現在では、フランス本国全土がドイツの占領下から、ほぼ解放された、と言っても過言では無くなっている。
だが、そうは言っても、という状況にあるのは間違いない。
フランス本国全土を、ほぼ解放できたのは事実だが、それだけ民生の復興等を行わねばならない状況下に、英仏日等の連合国は置かれてしまった、というのも事実なのだ。
そうしたことから、フランス本国全土に対して、民生品の供給までも行わねばならず、英仏日等の連合軍の進撃が困難になる事態が引き起こされており、そうしたことから、ベネルクス三国をまずはドイツの占領下から解放して、その上で、ドイツ本土への侵攻が策される事態が起きているようだ。
それに、表面上は連合軍は快進撃を続けて、フランス本国全土を解放できたように見えるが、実際にはそんなことは無く、ドイツ軍もそれなりに善戦したという情報が、裏では流れているのだ。
そんなことから、そうすぐには、少なくとも今年中には、この世界大戦は終結しない、と世界中の多くの人が考える事態が起きている。
仁が、其処まで考えてしまったのに、気づいていないのか。
はるの夫は、少し話を変えて言いだした。
「ともかく、そうしたことから、孫の亨二と、その妻のアンナも大変なようだ。曾孫、亨二とアンナの子を見られるのは、かなり先になりそうだな」
「そうですか」
仁は相槌を打った。
「ああ」
はるの夫なりに、色々と考えているのだろう。
(更に言えば、仁と藤子、アンナと亨二の関係を深く知らないのもあるのだろう)
はるの夫は、仁に愚痴めいたことを言った。
アンナは6年の医学勉強を4年でやれ、と強いられる状況にあるらしい。
その為に昼夜を問わない猛勉強を、アンナは強いられていて、亨二と夫婦生活を営むどころではない。
そんな状況についての亨二の愚痴を、先程は夫婦して聞かされる羽目になったとか。
「アンナにしても、家に入るというか、亨二との間に子どもを作りたいらしいが、こんなご時世だから、休学して出産育児等は思いも寄らない、と愚痴っていたな」
「そうですか」
色々と飛びながらの話を、はるの夫はそう言ってしめて。
その言葉を聞いた仁は心が痛んだ。
一方、藤子はホッとした。
亨二とアンナの夫婦仲は順調に進んでいるらしい。
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