第25章―6
そういった議論が行われている間に、ル・アーブルは日本海兵隊とユダヤ人部隊の攻囲下に置かれることになっていた。
(尚、この頃の他の英仏等の部隊がどうしていたのか、というと。
それこそ主力は、少しでも自分達と対峙していたドイツ軍に対して打撃を与えようと試みる一方、一部の部隊は、フランス本国の中南部の解放に当たろうとしている状況にあった。
そして、結果的に両翼包囲を行う予定が、右翼からの片翼包囲となったことから、多くのドイツ軍の将兵が包囲網に閉じ込められることなく脱出しよう、と試みて。
更に、その多くが成功することへとつながったが。
ル・アーブル救援作戦は、そうした中で、双方の思惑が食い違って推移することになっていく)
ともかく、2個師団相当の兵が閉じ込められ、それなりの知名度があるル・アーブルの街に攻囲されているドイツ軍を外部から救出しようと、ドイツ軍はそれなりの部隊を集めて対処することになった。
とはいえ、それこそフランス本国全土で、この攻勢に対応して、レジスタンス部隊の様々な活動が活発化していたことから、それにもドイツ軍は対処せねばならず、そうしたことも、ル・アーブル救援作戦に様々な齟齬を生じさせることになった。
そんなこんなが絡み合った末、ル・アーブル救援作戦の為に、ドイツ軍は2個装甲師団を主力とする6個師団を投入することになった。
尚、ドイツ軍のル・アーブル救援作戦だが、ル・アーブルに取り残されている将兵を救出した後、速やかにル・アーブルは放棄することになっていた。
実際問題として、ドイツ軍の将兵の質は、史実同様に高いものがあったが、そうは言っても、フランス本国全土がレジスタンス祭りと言って良い状況にあり、更には、制空権をほぼ失って、英仏日等の連合軍の航空隊による攻撃が多発している現状があっては。
更に言えば、フランス本国は、農業国ではあるが、様々な資源、特に原油に関しては。
史実を絡めたメタい話になるが、フランス本国内では、アルザス地域に極小規模な油田があるのみで。
皮肉なことに、フランス本国全てを固守しようとすることは、燃料確保の観点だけからすれば、却ってドイツ軍の燃料確保に悪影響を与えるのが現実だった。
そうした背景も合わさって、ドイツ軍上層部は、最早、フランス本土全体を固守しようとすることは、却ってドイツ軍を不利にして、戦争遂行の際にドイツの敗勢を招く、と考えるようになっていた。
それらが絡み合ったことから、ドイツ軍上層部は、自らの損害を少しでも少なくして、フランス本国内から主力を撤退させよう、と考える事態が起きたのだ。
とはいえ、ル・アーブルという、それなりに著名な港湾都市を守る為に展開している守備隊、それも2個師団余りという、それなりの規模の部隊を見捨てて撤退するようなことをしては、貴重な戦力を失う一方で、それこそドイツが完全に敗勢に陥ったことを公言するような事態を引き起こしかねない。
そうしたことが、2個装甲師団を主力とする6個師団を投入して、ル・アーブル守備隊を救援、脱出させようという作戦を、ドイツ軍に採用させることになった。
とはいえ、この6個師団を集めて、救援作戦を発動するのも、ドイツ軍にしてみれば、一苦労では済まない事態が起きることになった。
それこそフランス本国内において、制空権、航空優勢を握っているのは、英仏日等の連合軍側になっているのだ。
その為に、昼間にドイツ軍が移動しようとすることは、連合軍の空襲を受ける危険性を覚悟した上で行わざるを得なかった。
実際、それなりどころではない損害が、この当時は出ており、いわゆるヤーボ死にした将軍が出る有様だった。
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