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第24章―11

 さて、そうしたドイツ海軍の出先というか、防衛拠点、艦砲を転用した砲台兼要塞の一つが、ル・アーブル近郊に築かれていた。

 更にそこの砲台兼要塞司令官に任じられていたのは、ドイツ海軍のリンデマン大佐だった。


 本来ならば、リンデマン大佐は、ドイツの新型戦艦である「ビスマルク」の艦長になる筈だった。

 だが、ドイツのノルウェー侵攻作戦の失敗に伴い、ビスマルクは建造中止になり、更にはビスマルクの主砲等が西部戦線の防衛力強化に転用される事態が引き起こされた結果として、この地にリンデマン大佐は赴任することになったのだ。


 そして、皮肉なことにル・アーブル近郊の砲台兼要塞には、ビルマスクの主砲に使われる筈だった15インチ主砲4門が備え付けられており、リンデマン大佐は改めて、その射撃管制等を掌る事態が起きていた。

 更に言えば、リンデマン大佐の部下の多くが、リンデマン大佐と同様に乗る筈だった軍艦を失ったことから、陸上勤務になったドイツ海軍の軍人だったのだ。


 リンデマン大佐も、その部下の多くも、何とも皮肉な状況に内心では苦笑いしていた。

 本当に何故に自分達は、フランス、ル・アーブルに赴いているのだろうか。

 更に言えば、其処でドイツ海軍の希望となる筈だった、新型戦艦「ビスマルク」の主砲4門が転用されて、建造された砲台兼要塞の防衛の任務に、自分達が付くとは。

 運命の皮肉としか、言いようが無いではないか。


 そんな想いをこの場に居る面々の多くが抱きつつも、砲台兼要塞は、リンデマン大佐の指揮の下で進むことになり、訓練等も行われることになった。


 とはいえ、リンデマン大佐は懸命に努力したが、全てが順調とは行かなかった。

(既述だが)バトルオブブリテンの敗北により、フランス本土上空の航空優勢、制空権を、ドイツ側はほぼ失ったと言っても過言ではなく、英仏日等の連合軍航空隊による航空攻撃は、フランス本土に展開するドイツ軍の各部隊の補給物資等に大打撃を与える事態が、引き起こされつつあったのだ。


 更に言えば、補給物資のみならず、人員や兵器等への直接被害も、懸命に隠蔽工作等を講じていたので、致命的と言えるほどの大打撃を、英仏日等の航空攻撃によってドイツ軍が被るような事態にまでは至ってはいなかったが、そうは言っても、という程度に達していた。


 こうしたことから、リンデマン大佐が司令官を務める砲台兼要塞にしても、整備等に必要な様々な物資の不足に苦しまざるを得なかった。


 こうしたことから、折角の15インチ砲にしても、実際に射撃をしては多大な物資が消耗する事態が引き起こされるとして、実際の射撃訓練はほぼ行われないままで、英仏日等の連合軍の大反攻を迎撃する事態が引き起こされたのだ。


 だが、これは必ずしも悪かったとは言い難かった。

 実際の射撃訓練を15インチ砲がほぼ行わなかったことから、英仏日等の諜報活動では、ル・アーブル近郊の砲台兼要塞に15インチ砲が備え付けられている、との情報が得られない事態が起きたのだ。

(更に言えば、列車砲形式を採用して隠顕式砲塔に収められ、射撃時のみに機関車で運行されて姿を現す15インチ砲は、航空偵察での発見は不可能に近い代物だった)


 そうしたことから、ル・アーブル近郊の砲台兼要塞を、戦艦の艦砲射撃で破壊することで、英仏日等の連合軍の反攻を推進しよう、と英仏日等の連合軍は考えることになったのだ。

 

 事前の航空偵察を主とする諜報活動では、ル・アーブル近郊の砲台兼要塞には6インチ砲クラスしかない、ということになっていた。

 だから、戦艦を投入すれば、圧倒できると考えられたのだが。

 後述するが、それは誤った情報判断に基づくモノだった。

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― 新着の感想 ―
リンデマン大佐が要塞司令官なのは皮肉というか多分非公式的にビスマルク砲台とか言われていそう。 しかし陸上魚雷とかはなさそうですし、機雷は撒かれているかな。それは脅威ですけどね。
 固定され分厚いベトンの下に守られた従来の要塞砲形式なら今回の反攻作戦へのお迎えには施工期間の長さ的に──間に合わないだろう──と呑気にタカを括っていたビスマルク転用15インチ砲が列車砲形式で待ち構え…
英日側に何本かフラグが立っている気がします。史実世界の巡洋戦艦フッドに代わる生贄はどの艦でしょうか? マイティーフッドと呼ばれた大英帝国の誇り、フッドの代わりは、ビッグセブンの一角、長門型戦艦しかない…
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