第23章―14
話が微妙に前後する描写になるが、カテリーナ・メンデス中尉にしてみれば、色々と想うというか、考えざるを得ない事態が起きることになった。
本来からすれば、自分が中尉に昇進して、4機から成る小隊長に昇進するのは悦んで然るべきだった。
だが、自分としては、第二次世界大戦勃発に伴う英軍の外人部隊と言えるユダヤ人部隊の編制に応募したとはいえ、女性である以上は補助、後方部隊の一員に成るだろう、と考えて最初は志願したのだ。
それが、自分にしてみれば、いつの間にか、最前線で戦う部隊の一員に成っている、と言っても過言では無くなっているのだ。
状況に流されただけだ、と言えなくも無いが、本当にそれで済ませて良いことなのだろうか。
そう考える一方、カテリーナにしてみれば、色々と考えざるを得なかった。
それこそ自分が耳を澄ませていることもあるが、ポーランドやベネルクス三国の亡命政権の将兵や米国の(表向きは)義勇兵が、自国をドイツの占領下から解放するために軍団等を編制しつつある、というのを自分は聞かされて、承知している。
そして、この件に関して、亡命政権関係者の多くが、それこそフランス本土をまずはドイツから解放して、その上でベネルクス三国等を解放しようとも考えている現実がある。
こうしたことから、フランス本土に展開しているドイツ陸軍に対する様々な攻撃が、彼らによって競うように行われているのが現実なのだ。
ぶっちゃけて言えば、ドイツ本土に対する戦略爆撃を行っているのは、英空軍と(裏では色々と思惑があるのでは、と自分としては考えるが)日本陸海軍航空隊のみ、と言っても過言では無いのが、現在の状況なのだ。
そうしたことが、全く以て皮肉なことに、フランス本土に展開しているドイツ空軍部隊の多くが、ドイツ陸軍に対する攻撃に対処するために動かざるを得ない、という事態を引き起こしている。
それこそ1940年中に行われたバトルオブブリテンにおいて、ドイツ空軍は北海から北フランスの制空権、航空優勢を完全に喪失した、といっても過言ではない大敗を喫した。
そうした状況を、英仏日等の連合軍は更に有利に活かそうと考えて、まずはフランス本土に展開するドイツ陸軍に対する様々な攻撃、戦術任務に傾注する事態が起きたのだ。
(尚、これはポーランドやベネルクス三国、フランスといった亡命政権(細かく言えば、フランスは亡命政権とは言い難いが)所属の空軍、航空隊関係者にしてみれば、止むを得ないに近いことだった。
何しろ、自国の空軍の搭乗員、操縦士は重爆撃機等、操縦したどころか、見たことも無い、という面々が圧倒的多数だったのだ。
こうしたことからすれば、自国の空軍を戦術任務に投入することで、自国の速やかな解放を図ろうとするのは、止むを得ないに近い事態だった)
そして、そういった背景を踏まえた上で、1941年1月から4月の現時点で、英仏日等の連合軍の航空攻撃について、何処が最も活発に行われている現実があるのか、というならば。
フランス本土に展開しているドイツ陸軍等に対する様々な航空攻撃が最も活発としか、言いようが無いのが現実だった。
そうなってくると、額面上はともかくとして、それなりの腕利きをドイツ空軍最上層部は、フランス本土に展開することで、英仏日等の連合軍の航空攻撃に対処せざるを得なかった。
とはいえ、このような状況ではジリ貧になるとして、ケッセルリンク元帥等、フランス本土の大半を捨てて、戦力集中を訴える将軍等はこの当時から、それなり以上にいたのだが。
「余はフランス本土を寸土たりとも捨てぬ」
と獅子吼するヒトラー総統を、誰も止められなかったのが現実だった。
ご感想等をお待ちしています。




