第23章―11
だが、こういった地上部隊への攻撃を行なえば、当然のことながら、それに対処するためにドイツ空軍の戦闘機が迎撃を行なって来る。
カテリーナ・メンデスは、懸命に上空に目を配っており、僚機にも同様にするように命じている。
こちらは、どうしても低空劣位から反撃せざるを得ない立場にあるからだ。
何しろ自分達の愛機は、結果的にP39戦闘機ということになっている。
低空域で戦う限りは、世界でもトップクラスの空戦性能を持つ、と日英米の各種戦闘機を乗り比べた自分としては判断しているが、中高空域で戦うのは苦手な戦闘機なのだ。
その為に、自分達は高度1000メートル以下を、基本的に飛ばざるを得ない。
自らが少しでも有利に戦える空域で戦おうとするのは、当然のことだからだ。
そして、ドイツ側も、何度か自分達と空戦を行う内に、そのことに気づいたらしく、出来る限り、自分達に優位な高度を確保して戦おうとして来るようになっている。
自分達はカワセミ戦法と呼んでいるが、ドイツ側は中高空域から緩降下してきて、自分達に一撃を浴びせた後、速やかに上昇を開始する。
自分達がそれに速やかに追いつければよいが、うっかり深追いすると、自分達が苦手な中高空域に引き込まれてしまい、苦戦を強いらせようとしているのだ。
(尚、カワセミ戦法の由来だが、鳥のカワセミが水中の魚を採る際に、空中から急降下して魚を捕食した後、すぐに急上昇するやり方と、ドイツ空軍の戦闘機が、自分達を襲撃する方法が似通っていることから、ユダヤ人部隊から名付けた由来だった)
このドイツ空軍の戦法に対する対策会議に自分も参加して、共同で言い合わせたのだが。
「P39戦闘機はエアラコブラ、空を飛ぶコブラ。そして、コブラ、蛇は地を這い回るモノ。我々は低空をひたすら飛ぶことで、有利に戦おう。
実際に我々、戦闘機隊の最大の任務は、低空域を飛びつつ地上襲撃を行なう爆撃隊の援護なのだ。
わざわざ爆撃隊の傍を離れて、敵に有利な行動を執る必要は無い」
そう皆で、最終的には決断したのだ。
そして、その決断に則って、自分は戦おうとしているが。
ドイツ空軍も、未だにそれなり以上の腕利きが揃っているようで。
「いた。右に急旋回して、敵の射撃をかわしなさい」
僚機に警告すると共に、自らも同様の行動を執る。
ほぼ太陽を背にしてのドイツ軍戦闘機の緩降下攻撃だ。
太陽の光が目くらましになっていて、ドイツ機がそれなりに接近してくるまで、自らも気が付くのが遅れてしまった。
僚機からは、了解との返答があり、自分の後に付いてくる。
自分達に一撃を加えるのに失敗したドイツ機は、速やかに反転しての上昇を図り出したので、自分は僚機と共にそれに追撃を試みる。
ざっと自分が見る限り、自分達の戦闘機部隊が12機で、爆撃機(襲撃機)部隊12機を護衛しているところに、ドイツ戦闘機は16機程で迎撃、攻撃を仕掛けてきたようだ。
そして、お互いに2機一組、更に二組で1個小隊を組む4機編隊で、編隊空中戦を基本的に挑もうとし合っている。
更に言えば、ドイツ機がこの高度数百メートルから急上昇を行なうことだが、自分の経験から言えば、高度2000メートルまでに追いつけなければ、後は引き離されるだけなのだが。
それまでに追いつければ。
「やや遠い。恐らく200メートル近い。でも、見越し射撃を、こいつでやれば」
自分はそう独り言を言いつつ、37ミリ機関砲を射撃した。
弾道性能が今一つとはいえど、大口径は七難隠す、と言って良い。
37ミリ機関砲を3,4発当てれば。
自分が狙った戦闘機の胴体に被弾して、胴体タンクを貫いたのか、火を噴くのが目に入った。
撃墜確実と言える戦果だ。
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