第23章―9
ともかく、そうしたことからこの日の日本陸海軍航空隊合同によるルール工業地帯に対する戦略爆撃は成功と判定される事態が起きることになった。
延べにして約500機が投入されたこの戦略爆撃だが、ルール工業地帯に建設されていたある一つの石炭液化、人造石油プラントに300トン近い爆弾が対して投下された末、大火災を引き起こし、ほぼ壊滅させる戦果を挙げたと判定される事態が起きた。
(これはある意味では当然で、石炭に人造石油、と燃えやすいモノが大量にある場所なのだ。
そういったところに、それなりの量の爆弾が投下されて、火災が発生しては。
ドイツ側の消火活動は極めて困難で、大被害が出るのは当然としか言いようが無かった)
尚、これだけの規模の戦爆合同の大規模攻撃が行われたことから、ドイツ側もそれなりの迎撃行動を行なったが、結果的にルール工業地帯上空でのみ、迎撃が行われたと言っても過言では無かった。
(既述のように、フランス本土上空での迎撃戦闘が、ほぼ無かった為)
その為に帰投途中での更なる攻撃を回避できたことから、日本側がまとめた最終報告に基づけば、護衛戦闘機部隊の奮戦もアリ、爆撃機部隊は約200機の内3機を損失するだけで済んだ。
戦闘機部隊も、約300機の内10機余りの損失で済んだ。
勿論、敵地奥深くへの戦略爆撃である以上、損失機の搭乗員全てが戦死したのは痛かったが、そうは言っても、日本本土からの補充で充分に補いが付く程度の損害で済んだ。
これに対して、ドイツ側の損失は深刻だった。
(尚、日本側は精確なドイツ側の損失を把握していないが、そうは言っても、自らの戦果報告を取りまとめた結果、ドイツ側がかなりの損失を被った、とそれなり以上の精度で判断できていた)
ドイツ側は、結果的に約150機をルール工業地帯での迎撃に投入できたのだが、その内の約2割、31機を失い、搭乗員も29人が戦死、又は再起不能の重傷を負っていた。
これは、それなりの高度で戦う以上、被弾した機体から何とか搭乗員が脱出できても、地上に落下傘降下するまでの時間がそれなりに掛かることから、その間に敵からの銃撃を受けて、絶命する事態が多発したことから起きた悲劇だった。
勿論、そうは言っても、約8割が生き延びている、と強がれないことは無いが。
こんな迎撃戦闘を5回も行えば、ルール工業地帯上空を守る戦闘機部隊は消滅してしまう。
(更に言えば、ランチェスターの法則が、極めて冷酷に働く事態が起きることになる)
そうしたことから、ドイツ空軍の上層部の面々の多くが、この日の迎撃戦闘の結果を深刻に受け止めざるを得ないことになった。
だが、勝利の凱歌を挙げた日本陸海軍航空隊にしても、そう明るい顔は出来なかった。
何しろ日本本土から遠く離れた、フランスに自分達は展開しているのだ。
だから、どうしても様々な補給物資等の確保に四苦八苦することになる。
その為に、連日に亘って、ルール工業地帯を筆頭とするドイツ本土への戦略爆撃を大規模に展開すると言うのは、現実的観点からすれば不可能な話で、週に3回も行うのは、ほぼ不可能、週に2回行うのが現実的なことというのが現実だった。
だが、これは必ずしも全てが悪い話では無かった。
こういった現実から、フランス本土のドイツ空軍戦闘機部隊は、ドイツ本土への戦略爆撃阻止よりも、フランス本土での地上部隊支援に力を注ぐ事態が引き起こされたからだ。
こうしたことが、徐々にフランス本土上空よりもドイツ本土上空での戦闘に、戦略爆撃に随伴する日本陸組海軍戦闘機部隊に力を注がせて、そのことが連合軍の対ドイツの戦略爆撃を順調に進めていくことにもなっていったのだ。
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