第23章―2
欧州に赴いた日本陸海軍航空隊の協働体制だが、本当に必要不可欠としか言いようが無かった。
幸いなことに(この世界の)日中戦争の敗北から、日本陸海軍の協力体制が予め考慮されていたことから、何とかなったが、もし、そうなっていなければ、日本陸海軍航空隊が欧州の空で奮闘することは不可能なことだっただろう。
(勿論、そうは言っても、ということが起きるのは、ある程度は止むを得ないことではあった。
日本海軍航空隊が先に欧州に赴いており、その後で日本陸軍航空隊が欧州に赴いたことから、それこそ米国製軍用機の供与を、陸軍航空隊が受ける際には、海軍航空隊の協力を受けることが多発したのだが。
海軍航空隊の一部は、それこそ米内久子も加担したのだが、陸軍航空隊に対して、それなりの見返りを求める事態が起きた。
同じ日本の軍人同士、無償で積極的に協力して欲しい、と陸軍航空隊の一部は求めたが、そのことは却って海軍航空隊の一部を、更に意固地にさせる事態さえ引き起こした。
最終的には、それこそ陸軍参謀本部と海軍軍令部双方が色々と介入して話を付ける事態にまで至ったが、これを聞いた一部の陸海軍士官の間では、よく話がまとまったモノだ、と感嘆することになった)
こういった協力体制の一つが、補給物資等の共同調達だった。
欧州で戦う日本陸海軍航空隊にとって、必要不可欠な補給物資は多岐に亘った。
そして、少しでも効率的に確保しようとするならば、欧州にいる日本陸海軍が共同して物資を調達するしか無かったのだ。
そして、日本製ならば、何とか日本本国に連絡して、調達、輸送して貰えるが。
欧州にいる日本陸海軍航空隊にとって必要なモノの一部は、日本製では無かった。
例えば、米国から供与される軍用機、更にそれを運用するのに必要不可欠な部品類である。
他にも航空燃料を筆頭にして、潤滑油等も必要不可欠だ。
(少し余談に入るが、欧州にいる日本陸海軍航空隊にしてみれば、米国製の100オクタンガソリンは、それこそ垂涎の代物としか、言いようが無かった。
陸海軍にしても、少しでもオクタン価の高いガソリンを使用することが、軍用機の性能を向上させるのに必要不可欠なのを熟知してはいたが。
それを実験室のようなところで試作するのならばともかく、日本国内で量産化して日本の軍用機全てが使用するということは技術問題等から現在は不可能なのを、陸海軍は熟知しているのが現実だった。
史実を交えて語るが、この当時の日本で量産化できるガソリンのオクタン価は91が精一杯で、100オクタン価のガソリンを量産化している米国の後塵を、完全に拝しているのが現実だった。
(更に細かいことを言いだすと、ガソリンのオクタン価の基準や測定方法等が絡むことになり、こういったことに詳しい専門家から、此処はこうなのだ等々、多大な指摘が入るのだが。
大よそのことを言えば、オクタン価が高いほどノッキングが発生しにくく、ガソリンエンジンの性能を向上させる、ということでそうは間違った説明とは言えないことになる)
ともかく、そういった背景から、欧州に赴いている日本陸海軍航空隊としては、米国製の100オクタンガソリンの確保は、至上命題と言えたのだ。
尚、(史実でも、この世界でも)ドイツも似たような問題を抱えていたが、ドイツの場合、低オクタン価のガソリンに様々な添加剤を加えることで、100オクタン価のガソリンを使用した場合と同様の高性能を、軍用機に発揮させていた、とされている。
だが、このことは結果的にだが、軍用機のエンジンに様々な負担を掛けることでもあり、ドイツのエンジン寿命を低下させる副産物を引き起こした、とされている)
この話中でも断り書きを事実上入れていますが。
オクタン価の問題等ですが、細かく考えて描くとなると、小説では無く学術論文になりかねないので、平に緩く見て下さい。
それこそハイオクガソリン問題ですが、この時代ならば様々な添加剤で何とかなる、史実ドイツがハイオクガソリンではなく、添加剤で問題解決を図ったのは当然で、エンジン寿命が短命化したというのは明確な根拠が無い等の批判があるとか。
私の化学、歴史知識では、そう言った批判が何処まで精確なのか、正直に言って分かりません。
(そんなことを言うと、それなら、こんな小説を書くな、「なろう」から退会して全作削除しろ、と何度も私は言われていますが。
其処まで、厳密に精確な科学的叙述ができる小説家が、商業作家でもどれだけいるでしょうか。
余りにも精確性を小説に求め過ぎでは無いでしょうか)
ご感想等をお待ちしています。




