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第22章―1 ユーゴスラヴィア王国の内戦勃発

 さて、大きく話というか、場面が変わることになるが。

 この世界のユーゴスラヴィア王国だが、この時点で極めて微妙な立場にあった。


 その前提となる史実というか、歴史に関する詳細な説明を行なうとなると、それこそすぐに数千字どころか、数万字が必要なことになるので、大幅に説明を端折らせてもらうが。


 ユーゴスラヴィア王国は。第一次世界大戦終結後に旧セルビア王国を中核として、ブルガリア人を除く南スラヴ人の統一国家として建国された国家である。

(尚、細かいことを言えば、ユーゴスラヴィア王国と改称されたのは、1929年以降のことであり、それ以前は、セルビア人・クロアチア人・スロヴェニア人王国(略称、SHS王国)と言うべきであるが、細かい話になるし、その辺りを深掘りしだすと、これ又、数千字は掛かる話になる)


 ともかく、で済ませる訳には行かないことだが。

 南スラヴ人は中近世から近代に掛けての数百年に亘って、神聖ローマ帝国(というより、ハプスブルク帝国)とオスマン帝国の両帝国勢力の角逐の間に住む住民、民族として翻弄される歴史を体験しており、そうしたことから両帝国の衰退に伴って、南スラヴ人で独自の国家を作ろうという、南スラブ民族主義が19世紀後半から20世紀前半に掛けて、徐々に高まることになったのだ。

 更には、当時のロシア帝国が、それを後押しし、汎スラブ主義を鼓吹するような事態が引き起こされることにもなったのだ。


 とはいえ、この南スラブ民族主義にしても、それこそ様々な同床異夢としか、言いようが無い代物だったのが現実というか、史実だった。


 それこそ同じ南スラブ民族であるとして、クロアチア、セルビア、ブルガリア、スロベニアといった各民族の連携を積極的に唱える者もいれば。

 大セルビア主義が典型だが、まずは自分達が所属する民族の利益を最大限に確保した上での、南スラブ民族の連携を訴える者もいる。

 そういったことが現実だったのだ。


 それに加えて、宗教問題も絡んでくる。

 メタい話になるが、南スラブ民族と一括りにされるが、信仰する宗教はバラバラなのが現実だ。

 スロベニアやクロアチア人はカトリック信徒が多数を占めるが、セルビアやブルガリア人は東方正教徒が多数を占めるのが現実だ。

 更に言えば、ボシュニャク人に至っては、イスラム教徒が多数を占めるのだ。

(後、細かいことを言えば、各民族の中に東方典礼カトリック教会等の信徒もいる)


 こうした宗教の違いも、南スラブ民族の合同した国家の建設を困難にした一因だった。

 更にいえば、各南スラブ民族のいわゆる混住が進んでいたのも、逆説的に単一民族国家の建設を困難にさせ、各南スラブ民族の連携で国家を作ろうという動きを引き起こすことになった。


 何しろ難儀なことを言うことになるが。

 クロアチア語とセルビア語、ボシュニャク人が話すボスニア語、モンテネグロ語、この4つの言語は、同一言語と言っても過言ではない。

 だから、言語だけで言えば、この4つの民族は同一民族と言っても過言では無いのだ。


 更にそう言った言語の差異が乏しいことが、民族の混住が結果的に進むことにもなった。

(何しろ日常会話を交わすのに全く問題が無いのだ)


 それでも4つの民族に結果的に分かれている理由だが。

 それこそ各民族の生活習慣や信仰によって分かれているとしか、言いようが無い。

 更に言えば、それ程に近しい関係だからこそ、近親憎悪が高まる事にもなる。


 第一次世界大戦の結果、旧セルビア王国を主な基盤として、ユーゴスラヴィア王国が建国されることになったが、こういった背景から、セルビア人がユーゴスラヴィア王国の中心となり、他の民族が不満を抱くことになったのだ。

 ボシュニャク人ですが、ボスニア人と呼ばれることが多いようです。

 ですが、ややこしいことにボスニア地域に住む人、クロアチア人やセルビア人までも含めた全ての人を、ボスニア人と呼ぶことも多いようで、作中で混乱が生じないように、ボシュニャク人と表記しました。


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ユーゴでの史実より早い内戦とはドイツ側と連合国側に分かれて血塗れになるんでしょうかね。 しかし史実でのユーゴを取りまとめたチトーは改めて凄いやつですね。こんな複雑な地域を取りまとめていたのですから。チ…
日本人からするとたかが宗派宗教が違うぐらい、 と思うのだけどソコが一番ネックなんだろうな。 まあ日本でもキリシタン弾圧や 法華宗不受不施派問題もあったし。
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