第21章–2
2話連続投稿の1話目です。
そして、米内藤子が高等女学校の入学式を終えてから、1週間近くが経った頃。
海軍兵学校で懸命に勉学等に励んでいる、藤子の義兄、従兄にして許嫁の米内仁の下には、藤子の小学校の卒業式の記念写真と、高等女学校の入学式の記念写真、更には自らの異父弟になる米内正の小学校の入学式の記念写真が届く事態が起きていた。
更には、周囲の海軍兵学校の面々から、仁はからかわれる事態等にまで発展していた。
それこそ最も親しい、というよりも絡まれることの多い先輩の菅野直を始めとする面々から、
「こいつは、こんな美人の許嫁に弟妹の世話をさせているとは。色々な意味で許せない奴だ」
と仁は絡まれてしまい、
「お前には、海軍軍人精神を骨の髄まで叩きこんでやる」
と猛烈なシゴキを受ける羽目になって、それこそ少しでも長時間、横になっては、体力の回復を図る事態が引き起こされることになっていた。
酷い話だ、どう考えても菅野直先輩らの嫉妬心から起きたことだ、と仁としては考えるが。
その一方で、菅野直先輩らが嫉妬心を抱くのも当然だ、と藤子の記念写真を見返しては、仁は考えざるを得なかった。
実際、許嫁の藤子だが、実母の小林千代譲りの美貌を何れは誇るのではないか、それこそ芸妓にでも成れば、横須賀一の美貌の芸妓と謳われそうな気が、自分はしてならないし、菅野直先輩らも、藤子の記念写真を見て、同じ感想を覚えたらしい。
そうしたことから、自分としては迷惑極まりないことに、菅野直先輩らが、自分に対して猛烈なシゴキをする事態が起きた気がしてならない。
本当に我が養父というか、叔父の米内洋六はどれだけ女性を惹きつけるのだろう。
藤子の実母の千代が、自惚れていたといえば自惚れていたのだろうが、自分が誘えば、洋六叔父は確実に堕ちる、と自負したのが当然の気が、藤子の写真を自分が見る限りだが、自分はしてならない。
更に言えば、洋六叔父は、かつて自分が憧れたカテリーナ・メンデスさえも堕としている。
表向きは、自分とカテリーナの間で、ケジメを付けさせるとのことで、その場には洋六叔父に加えて、藤子もいたのだが。
自分の目が曇っているのかもしれないが、あの場のカテリーナは、叔父に未練タラタラだった。
母親としてはどうか、どころか、いい加減にしろ、と実母の米内久子を自分は怒鳴りつけたいが。
あのカテリーナの様子を見れば、実母が欧州に洋六叔父を追い掛けて行くのを決断したのは、好きな男性を追い掛ける女性として考えるならば、むしろ当然の気さえ自分はする。
それこそ、自分の気が付いたときには、カテリーナは、自分の叔父を懸命に誘惑した末に、藤子の異母弟妹を、いつの間にか抱いている気さえ、あの場で自分はしたのだ。
実母が欧州に赴いて、夫である叔父を傍で監視したい、と考えて当然の気が自分はする。
更に、仁は考えていた。
実母の久子と義妹の藤子だが、似たような苦労を結果的にしているな。
藤子は記念写真と共に送って来た手紙の中で、わざわざ書いていた。
カテリーナ・メンデスさんの妹のアンナさんは、自分、藤子の実の従兄の小林享二と見合い結婚をして、帝国女子医学専門学校に日本人として、この4月から通うことになった。
1945年3月に、卒業と共に海軍軍医少尉に任官する予定とのことだと。
この結婚譚だが、自分が考える限り、藤子が暗躍したのは間違いない。
アンナに自分が求婚するのではないか、と危惧する余りに、藤子は暗躍したのだ。
実際、アンナを見た際、自分は惹かれるモノを感じて、藤子はそれを察したのか、すぐに自分に寄り添うようなことをしたのだ。
そして、藤子は暗躍し、此処までのことになったのだ。
仁はそう考えた。
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