第20章―4
第4話は、米内洋六中佐視点が主な話になります。
それにしても(で済ますな、と更なる怒りを掻き立てられる方が多くいそうで、怖いですが)、この頃の日本軍の雑煮の餅は、角餅なのか、丸餅なのか。
更には、雑煮の餅は予め焼くのか、焼かないのか。
焼かないにしても、別途、予め茹でる(?)等して入れるのか、具材と共に煮るのか等々。
具材のみならず、餅の取り扱いにしても、大論争がありそうで、本当に描写するのが怖いです。
色々と熱く語りたい方が、多々おられると考えますが、どうか緩く、殺伐とならない感想等を、平にお願いする次第です。
(史実の日本陸海軍ではこうだった。
だから、米内中佐らの味わう雑煮も当然に云々、と怒鳴られそうですが。
其処は欧州に米内中佐らがいる為、それに所詮は小説、と緩く見て下さるように平にお願いします)
そんな事があったのを、1941年年始の雑煮を食べつつ、米内洋六中佐は知ることになったのだが。
米内中佐は、この裏に日本政府、陸海軍の策謀の臭いを、感じてならなかった。
尚、完全な余談だが。
米内中佐が食べている雑煮と同じモノを、米内中佐の指揮下にある下士官兵に至るまで食べている。
それこそ日本から運ばれた餅米を使って、この地で主計(炊事)兵達が搗いたモチに、取って置きの醤油を使って、英国で入手できた様々な葉野菜を小松菜等の代わりに入れた江戸風雑煮めいた代物だ。
米内中佐の本音としては、自分の故郷の雑煮のように、もう少し豪勢な具を入れられないのか、と言いたいのだが、英国では様々な具の入手が困難極まりなく、更に兵達の故郷が様々であるという現実から、主計(炊事)兵達が頭を痛めた末に、こんな雑煮を作ったのだ。
それを考える程、米内中佐は、内心はともかく、表面上は、
「よく雑煮を作ってくれた」
と主計(炊事)兵達を称賛するしか無かったのだ。
(更に言えば、米内中佐の部下達の多くも同様の態度を、主計(炊事)兵達に取っていた)
それはさておき(という訳には本来は行かないのだが)。
米内中佐が考えたのは、直接的には、重爆撃機を装備した日本海軍航空隊の面々というか、むしろそういった重爆撃機を整備する女性補助部隊の面々に対して、ドイツ本土等に対する戦略爆撃は正義である、ということを、この出来事は訴えたいのでは、ということだった。
それこそドイツ政府は、ユダヤ人は劣等民族であるとして、積極的にドイツからユダヤ人を追放しつつあったのだ。
更には、この第二次世界大戦勃発後のドイツ軍の占領地においては、ユダヤ人に対する大規模な迫害、虐殺が行われているという情報が、徐々に広まりつつある。
(尚、ドイツ政府自身は、そんなユダヤ人への迫害、虐殺行為は皆無、全くの冤罪だ、と主張している)
そうしたことから、ドイツ軍の占領地にいるユダヤ人を救うべきだ、という声が、澎湃として世界中に起きつつある現実がある。
更に言えば、ユダヤ人のみならず、ジプシー(ロマ)等の少数民族に対する大規模な迫害を、ゲルマン民族至上主義から、ヒトラー総統率いるドイツ政府が行っている、という疑惑も起こりつつあるのだ。
こんなドイツ政府、軍から迫害を受けているユダヤ人を、人道的観点から救わねばならない、その為にも、ドイツ本土等に対する戦略爆撃は完全な正義だ、と日本政府は日本の内外に訴えたいのではないか。
更には、対ドイツ戦にまい進している英仏等の欧州諸国政府、更には米国政府等も、日本政府の訴えに加担しているのではないか。
そんなことまで、米内中佐の脳裏に浮んでならなかった。
だが、それが真実か否か、確認する手段はない。
それこそ、自分の遠縁ということから、直に米内光政首相に自分が手紙を送って問い質すことさえ、できなくはないのだが。
あの米内首相が、自分の問い質しに、真面に答える筈がない。
「酷い疑惑が起きているモノだ」
と斜め上の返答の手紙が自分に届き、それで終わりになる未来が、自分に垣間見えてならない。
そして、自分にはそれ以上の手段が無い。
米内中佐は、自分の疑惑が当たっていないことを願い、又、新年早々の願いとして、改めて願った。
どうか、自分と妻、更にはカテリーナ・メンデスが、無事に家族の下に帰れますように。
自分の考えだが、この第二次世界大戦が終わるのは早くとも、1942年以降になる気がする。
だから、一年後も欧州に自分達はいることになるのだろうが。
せめて、自分と妻、カテリーナは五体満足で終戦を迎え、帰国したい。
そして、息子の仁が戦場に赴かずに済んでほしい。
ご感想等をお待ちしています。




