第18章―12
最初は、カテリーナの相手は、無名キャラにするつもりでしたが、それだと描きづらくて、色々と調べた末に檜與平少佐(最終階級)を登場させました。
尚、檜少佐の腕が悪過ぎでは、とツッコミの嵐が起きそうですが。
私が調べる限りですが、檜少佐は、陸軍航空士官学校第53期生で、1940年6月21日に卒業したばかりなので、この世界では実戦経験皆無と言う現実が。
(尚、余談に近いですが、カテリーナは檜少佐卒業時、既に実戦経験アリなのです)
そうした現時点での経験の差も相まっての描写と言うことで、平にお願いします。
後、この時点では檜少佐は、まだ少尉に過ぎません。
そんなことをカテリーナ・メンデス少尉は考えていたのだが。
その相手になる檜與平少尉は、そこまでカテリーナが、ある意味では思いつめた考えをしているとは全く考えておらず、ある意味では慢心していた。
檜少尉にしてみれば、カテリーナは小娘に過ぎなかったのだ。
(細かいことを言えば、檜少尉は1919年生まれなのに対し、カテリーナは1916年生まれなので、カテリーナの方が年上ではある。
だが、1940年(?)当時の常識から言えば、女性操縦士は男性操縦士より劣る、と言う見方が、世界中で当たり前と考えられていた、と言っても過言では無かったのだ)
そういった違いが、この後の事態を引き起こすことになった、と言っても過言では無かった。
だが、もう一つ、檜少尉にしてみれば、想わぬ誤算が加わってもいた。
皮肉な話ではあるが、(この世界の)バトルオブブリテンにおいて、英本国空軍は、ドイツ空軍相手にひたすら格闘戦を挑むことで勝利を収めてきた、と言っても過言では無かった。
これは、そもそも論に近いが、ドイツ空軍のBf-109戦闘機が、バトルオブブリテンにおいて、増槽を捨てかねる事態が起きており、更に、そういったこと等から格闘戦を挑んだ方が、英本国空軍の戦闘機にとって有利に戦えた、と言う事情から引き起こされたことだった。
だから、その勝利体験から、英本国空軍は格闘戦志向を強めており、日本陸軍航空隊の百式戦闘機に格闘戦を積極的に挑んでは敗北し、更に格闘戦の技能を磨こうとする事態が起きていたのだが。
カテリーナに、そんな予断は皆無と言って良かった。
更に言えば、岡目八目と言う言葉があるように、カテリーナは地上から様々に空中戦の経緯の観察を繰り返したことから、ハリケーン戦闘機どころか、スピットファイア戦闘機でも、百式戦闘機相手に低速に陥っての格闘戦を行なうのは、自殺行為だ、とほぼ見切ってもいたのだ。
こういった背景が組み合わさったことが、この後の事態を引き起こした。
カテリーナと檜は、それぞれが速やかに離陸して、予め指定されていた空戦域に赴いて、空戦をお互いに挑もうとしようとした。
だが、檜少尉は、これまでの英本国空軍(及びユダヤ人部隊)の空戦策から、自分に格闘戦を挑んでくると予断を抱いて警戒を行なったが、カテリーナは、全く別の方策で檜少尉を翻弄した。
「メンデス少尉の銃弾が当たったようにはなりませんな」
「ですが、檜はかわすのが精一杯のようです。これは、日本陸軍側の敗北でしょう」
「1回の実戦を経験し、Bf-109を撃墜した腕を持つだけのことはある、と言うべきですな」
「メンデス少尉は、実戦経験があるのですか」
「ええ。フェリー任務中の事故と言っても良いことですが」
そんな会話を、加藤建夫少佐と英本国空軍、及びユダヤ人部隊の面々はかわすことになった。
更に言えば、彼らの視野内では、カテリーナの腕の良さが分かる事態が起きてもいた。
「檜少尉は、何をしている。かわすことしか出来ないのか」
加藤少佐は、わざと怒ったような声を挙げていた。
加藤少佐の見る限り、檜少尉の腕が悪いというより、カテリーナの腕が良いことから、檜少尉は懸命に模擬ではあるが、カテリーナの射弾をかわす事態が起きている。
カテリーナは一撃離脱に徹することで、檜少尉の格闘戦の誘いに乗らず、優位に戦うことに成功しているようだ。
本当に1回しか実戦経験がないのか、と自分が疑う程の腕の持ち主としか、カテリーナは言いようが無いな。
そんなこんなの末に、時間が過ぎて、カテリーナも檜少尉も着陸することになった。
だが、どちらが勝ったのかは、言わずもがなだ。
檜少尉が虚ろな目をしているのだ。
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