第17章―10
8月末時点で、カテリーナが自分なりに英本土防空戦における戦況を見聞きし、判断する限りだが。
実際問題として、ドイツ空軍による、まずは電探基地を潰すというのは、それなり以上の戦果を挙げているようだが、それ以上に英本土の防空と言うことで、それこそ目視に加えて空中聴音機まで投入されての軍民一体となっての防空監視網が有効に働いていて、ドイツ空軍の空襲に大損害を与えているようだ。
確かに電探を潰して、英空軍の目をまずは潰すという判断は悪くは無い、と自分も考えるが。
それ以上の数の防空監視拠点が築かれていて、原始的と言われるだろうが、複数の人間の目と耳で警戒しているところを空襲せねばならないのだ。
ドイツ空軍の空襲が中々上手く行かないのも当然だ。
更に言えば、ドイツ空軍にとって頭が痛いのは、ノルマンディー、ブルターニュ半島橋頭堡からの北フランスのドイツ軍飛行場に対するゲリラ的と言って良い戦闘機による襲撃作戦らしい。
これが必ずあると言うのならば、それなりに防空戦闘機隊を待機させることになるのだが、又は、ノルマンディー、ブルターニュ半島橋頭堡に対する攻撃を展開することになるのだが。
それこそドイツ空軍が英本土に対する攻撃を行なう事へのほぼ3回に1回、行われている程度とのことで、却って対処にドイツ空軍は手を焼いているらしい。
これが常に行われる程の攻撃ならば、ドイツ空軍としても戦闘機の一部を割いて、ノルマンディー、ブルターニュ半島橋頭堡からの攻撃に対処するのだが。
それこそ英本土に対する航空撃滅戦は、ヒトラー総統直々の命令なのだ。
そうなると、ノルマンディー、ブルターニュ半島橋頭堡への攻撃に対処する為の兵力を、早々ドイツ空軍は残す訳にはいかない。
その兵力は、英本土への攻撃に使うべきだ、という圧力がドイツ空軍上層部を介して、ヒトラー総統から掛かる事態が起きるのだ。
それならば、攻撃は最大の防御だとして、ノルマンディー、ブルターニュ半島橋頭堡に対する攻撃を大規模にドイツ空軍が展開するという方策はどうか。
だが、それこそ総統命令に反する攻撃と言うことになってしまう。
その為に、少数兵力しかノルマンディー、ブルターニュ半島橋頭堡からの攻撃に対処する為の戦闘機部隊を残置できない事態が、北フランスのドイツ空軍には起きているらしい。
しかし、これはこれで、ドイツ空軍にとって頭の痛い事態を引き起こしている。
3回に1回程とはいえ、英本土に対する攻撃、護衛任務を終えて北フランスの飛行場に帰還しようとしているところに、ノルマンディー、ブルターニュ半島橋頭堡から戦闘機部隊の襲撃が行われるのだ。
英本土上空での戦闘で疲労しており、やっと飛行場に帰還できる、と気が緩んだところに、疲労していない戦闘機部隊による横撃を受けては。
更に燃料の残量を気にしないといけない状態で空戦を強いられては。
そういった状況を警戒する余り、少し英本土で戦ったら、北フランスに帰還しようとし、更には落下式増槽を捨てたがらない戦闘機乗りが、それなりどころではなくいるのが、ドイツ空軍の現状らしい。
実際、自分がドイツ空軍の戦闘機乗りでも、そう判断するだろう。
英本土で落下式増槽を捨ててしまい、その結果、北フランス上空で、空中戦を行った末に燃料切れで機体を捨てて落下傘降下する等、戦闘機乗りとして恥だ。
それならば、落下式増槽を捨てるのは、北フランスで行いたい、と自分でも考える。
(後、ドイツ空軍内部において、微妙に落下式増槽の生産が初期ということもあり、最前線の飛行場まで順調に届くか否か、現場における不安が解消されていない、と言う更なる裏事情もあるようだ)
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