第17章―9
そういったバトルオブブリテンの流れを、カテリーナ・メンデス少尉は、傍から事実上は眺める事態になっていた。
そうなっていた理由だが。
まず第一に、本来的に言えば、カテリーナの飛行訓練時間が充分とは言えず、実戦に参加するには技量不足、と周囲の多くから見られているという事情があった。
次に、実際にはカテリーナは初陣を飾り、一機撃墜という戦果も挙げているとはいえ、それは事情があったとはいえ、命令違反を犯したことによるモノだということである。
そうしたことから、一般で言うところの戒告処分を、カテリーナは受けてもいる。
そういった事情から、カテリーナは基本的に(後方の工場等から最前線に軍用機を空輸する)フェリー任務に引き続き、この当時は就いていて、最前線での戦いを傍で眺める事態になっていたのだ。
(尚、更なる余談をすれば、カテリーナは、専ら英本土内でフェリー任務を行う羽目になっていた。
それこそ英本土からブルターニュ半島等へのフェリー任務に従事しては、再度、独断でドイツ空軍機への攻撃を行ないかねない、と周囲からカテリーナは危惧されていたのだ)
だが、岡目八目と言っては何だが、その為に却って、カテリーナはバトルオブブリテンの現状を傍から良く把握できる事態が起きることになった。
それこそ空中戦の結果、最前線で味方の戦闘機が失われれば、そこに補充用戦闘機をフェリー任務で届ける必要が生じるのだ。
一つ一つのフェリー任務で得られる情報は少ないが、それが積み上がって行けば、情報量は必然的に増大することになる。
又、カテリーナの周囲もそうだったが、それこそフェリー任務が完全に安全な任務と言えない以上、カテリーナにしてみれば、色々と情報収集に努めて、自らの身を護ろうとせざるを得ない。
そういったことが相まった結果として、カテリーナは、バトルオブブリテンの流れを少尉にも関わらず、それなり以上に把握することになったのだ。
そして、既述部分とかなり被った描写にならざるを得ないが。
カテリーナにしてみれば、ドイツ空軍は自分から苦難の路を歩んでいるようにしか考えられなかった。
カテリーナの考えからすれば、敢えてどれだけの時間が掛かるのか、を無視した上でのことだが。
何れはドイツが英仏日等の反撃によって敗北するのは必至だった。
何しろ国力という冷厳な差があるのだ。
英仏日側に、米国政府もレンドリース法を制定しようとすること等で、明確に加担しているのだ。
どう考えても、ドイツの国力では勝てる訳が無いのだ。
だが、その一方で、どれだけの時間が掛かるのか、というのが大問題になってくる。
それこそドイツ打倒の為に、何十年も掛かるようでは、米国政府はレンドリースを打ち切ることになり、又、英仏日政府等も国内の疲弊の前に講和を余儀なくされるだろう。
だから、そういった辺りを考え合わせて、この第二次世界大戦は終わるのだろうが。
カテリーナは、1940年8月中の戦況について、自らの立場もあって、冷たく突き放して考えてみる限りのことになるのだが。
ドイツ空軍による英本土に対する航空撃滅戦は、それなりに全力を尽くしている、といえるのだろうが、そもそもの戦略的前提条件から、上手く行っていないようだ。
それこそ英本土に対し、全力の航空攻撃を試みてはいるようだが、その一方で、空き巣狙いといえるノルマンディー、ブルターニュ半島橋頭堡からの航空反撃によって、ドイツ空軍は手痛い損害を被っているらしい。
何しろ英本土で空戦を展開しているのが、無電でダダ洩れになっている。
その結果、何時頃に北フランスの基地にドイツ空軍機は帰還するのかが、ほぼ予測される事態が起きている。
明日の投稿で描きますが、ドイツ空軍が英本土に空襲を行ない、帰還することになった以上、何時頃に基地、飛行場に帰還するのか、がある程度は、英空軍等に読まれる事態が起きるのです。
そうしたことから、ドイツ空軍は英空軍等による待ち伏せ攻撃を疲労した状況で受けることになります。
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