第15章―20
事実上は最後になる米国(政府)の現状だが。
ニューディール政策によって、米国経済の復興を政府は図っていたのだが、それが上手く行っていたのか、というと、何とも微妙な事態を、この世界でも、史実でも引き起こしていたのだ。
(本当にすみませんが、ニューディール政策の内容、詳細について、細かに説明を行いだすと、小説では無く、学術論文になるので、端折らせて貰います)
後、余談に近いが、世界大恐慌時点にまで、(この世界でも、史実でも)米国の実質国民総生産が回復したのは1936年であり、(史実で)名目国民総生産が回復したのは1941年で、(史実で)失業率が回復したのは1943年だった。
それ程に世界大恐慌の影響は甚大なモノがあり、現在の日本がデフレ不況から完全には脱していないように、世界大恐慌によって引き起こされたデフレは、米国経済に長きに亘って影響を引き起こしたのだ。
ともかく、ルーズベルト大統領率いる米国政府は、懸命に米国経済の回復を図っていたのだが、ニューディール政策は、これまでの米国政府が基本的に採用していた経済政策(レッセフェール、自由経済政策)に完全に反するモノであり、合衆国最高裁判所から複数の違憲判決が下される事態が起きたのだ。
そうしたことが、ルーズベルト大統領率いる米国政府の下で、ニューディール政策の推進を行なうのに様々な障碍を引き起こすことになった。
(そもそも論になるが、幾ら有効な施策でも、完全に違憲な施策を断行できるのか、と問われれれば、できません、と言わざるを得ないのが、近現代の立憲国家の現実である)
尚、こういった事態から、ルーズベルト大統領は、最高裁判事にニューディール政策に理解のある法律家を指名、任命しようと努めることになった。
それによって、ニューディール政策の推進を図ったのだ。
それに対して、最高裁判事の任命に助言と同意権がある米国上院の議員、特に野党の共和党議員は、ルーズベルト大統領の最高裁判事の指名、任命に抵抗する事態が引き起こされることになり、最高裁判事の構成に影響が出る事態にまで(史実でもそうだが、この世界でも)至ったのだ。
そうした状況から、ニューディール政策は、史実でもそうだったが、1940年当時に微妙に行き詰まりつつあり、ルーズベルト米国大統領の三選断行は困難ではないのか、と米国の内外において観測される事態が引き起こされていた。
だが、この当時、米国民主党内の有力者で、ルーズベルト大統領に米国大統領選の予備選挙に勝てて、更にはニューディール政策の失敗を受け入れて、米国大統領選挙に勝てる候補は皆無と言って良かった。
更に言えば、米国民主党と対峙する米国共和党候補者にしても、(この世界の)第二次世界大戦において、孤立主義を貫くのは(現在の戦況からして)困難であると言わざるを得なくなっていった。
こうしたことが、(この世界の第二次世界大戦に加入すべきと唱えた)ウィルキーを、米国共和党の大統領候補者に指名する事態を引き起こしたのだ。
こういった様々な裏事情が絡み合った末に、(描写が前後してしまうが)1940年の大統領選挙の結果、ルーズベルトが米国大統領に三選されるという事態を引き起こすことになったのだ。
そして、こういった背景が、米国政府の第二次世界大戦積極介入を、結果的にだが引き起こすことになったのだ。
米国最高裁の最高裁判事の構成を変えようにも、最高裁判事が自発的に辞任しない限り、終身なのが米国憲法で保障されている。
それを避けて、ニューディール政策を事実上は遂行するとなると。
米国政府としては、第二次世界大戦に介入すると言う方策しか無かったのだ。
これで、第15章を終えて、次話はカナリス提督視点の閑話となり、その次話は第16章になります。
第16章は、基本的に欧州に出征することになった米内久子が主人公的立場になります。
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