第15章―19
さて、次に中華民国、中国国民党政府というか、中国本土の状況を述べるならば。
中独合作による様々な支援の結果から、盧溝橋事件から第二次上海事変、更には(この世界の)日中戦争において、日本に対する勝利を収めた末に、中国国民党政府が、いわゆる満蒙地域を除く中国本土全体の統治体制を整えていければ良かったのだろうが。
そうは上手く運ばないのが、現実というものだった。
(この世界の)日中戦争で、確かに独軍軍事顧問団の指導等によって、中国国民党政府は日本政府、軍に対して大勝利を収めることができた。
その結果、万里の長城以南から日本は完全に撤退して、満州国領域等の死守を図ることになった。
そうなると、中国国民党政府は、予てから犬猿の仲だった中国共産党政府に、その銃口を向けると言う事態が引き起こされることになったのだ。
そうなった背景だが、そもそも論になりかねないが、中国国民党を結党した孫文の思想等が大きい。
当初、孫文は漢民族(更には五族共和、中華民族主義に変貌する)には、民主主義は時期尚早であり、軍政、訓政、憲政の三段階を経るべきで、又、中国国民党は国民革命の過程で国家、中華民国を最優先とし、国民党はすべての政府以外の団体、そしてあらゆる個人に対して命令を出すべきだという思想、主張を行った末に亡くなった。
更には、中国国民党政府は、細かいことを言えば、何処まで孫文の思想等を継承するのか、中国国民党政府内の個々の政治家内でも濃淡があるのだが、少なくとも表向きは、中国国民党の創設者と言える孫文の思想等を、中国国民党政府内の全ての政治家が受け継ぐことになったのだ。
(それこそ中国国民党の創設者である孫文の思想等を公然と批判する者が、中国国民党の支持者から党員になる訳が無い以上、これは当然のことと言っても過言ではない)
そして、そういった考えを貫く以上、中国国民党と中国共産党が相容れることは不可能なのだ。
(だからこそ国共合作は困難だったのであり、史実でも第二次世界大戦終結後、お互いにとって宿敵である日本が中国から撤退したこと等から、速やかに国共内戦が勃発する事態が起きたのだ。
何しろ中国国民党は、全ての政府以外の団体、そしてあらゆる個人に対して命令を出すべきなのだ。
だから、中国共産党は当然に中国国民党の命令に黙って服すべき、ということになり、毛沢東らが指導する中国共産党が黙って命令に服す訳が無い以上、国共内戦は回避不可能としか言いようが無い)
そういった背景から、国共内戦は中国本土内で隠微な形で再開されることになった。
何しろ(この世界の)これまでの経緯から、中国国民党政府はドイツ政府のシンパ、準同盟国と見なされる事態が引き起こされている。
そして、米政府の親中派としても、(この世界の)第二次世界大戦の現状からして、ドイツと敵対している英仏日政府等に加担せざるを得ない以上、中国国民党政府に対する支援を拒まざるを得ない。
更に言えば、ドイツに中国に支援を行う余裕等は皆無でもある。
こうしたことから、中国国民党政府は世界の孤児と言って良い状況になっていた。
その一方、中国共産党にしても、ソ連政府(及び外蒙古政府)しか、味方は存在しないと言っても過言では無く、更にソ連内の「大粛清」によって、大規模な支援等を受けるのは不可能なのが現実だった。
こうしたことから、国民党軍と共産党軍の小規模な部隊同士が戦闘を行う事態が、中国本土では起きることになった。
そして、小規模な部隊同士の戦争と言うことから、大勝利等は夢のまた夢で、ダラダラとした戦闘が続くと言う現状が引き起こされることになり、内戦が拡大することになった。
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