第14章―4
そうは言っても、表面上は西部戦線、独仏戦において、ドイツ軍の快進撃が続くのは避けられないことだった。
何しろベルギーに一時、ほぼ孤立状態にあったと言っても過言では無かった英仏軍主力は、それこそ士気が完全に低下し、手持ちの補給物資等も乏しい現実があり、そういった事情から、多くの重装備を捨てて、ノルマンディー、ブルターニュ半島方面に向かわざるを得ないのが現実だった。
フランス政府、軍最上層部にしても、英仏海峡沿岸沿いにベルギーから撤退して来た部隊、仏軍主力を、本来は首都パリの防衛等に向かわせたいところだが、行軍距離の問題等も加わって、それは困難と言うよりも不可能に近いという現実を認識せざるを得なかった。
そうしたことから、パリを始めとするフランス本土の中南部の多くに、ドイツ軍が向かうのを、仏軍の主力は看過して、共に撤退して来た英軍と協働でノルマンディー、ブルターニュ半島へと向かうしか無かったのだ。
フランス政府、軍最上層部にしても、首都パリを始めとするフランス本土の大半を放棄することは断腸の思いがすることではあったが、それではドイツに対して休戦、講和を呼び掛けることが出来るのか、というと。
それこそドイツ軍の西部戦線、オランダ、ベルギー、フランス方面への攻勢発動以来、ドイツ軍のやってきたことを考えれば。
オランダの主要都市に対する無差別大量恐怖爆撃によって、ハウステンボス宮殿が焼失し、オランダの王族も負傷する事態が起き、多数の市民が焼け出される事態が起きているのだ。
流石にハウステンボス宮殿に対する爆撃は誤爆であったとされ、王族の負傷にも遺憾の意の表明が、ドイツ政府から為されてはいるが。
それならばオランダの諸都市に対する無差別大量恐怖爆撃を止めよ、という米国をはじめとする中立諸国政府の非難声明(尚、当然のことながら、英仏日等は更に過激な非難声明を出している)に対しては、ドイツ政府は、講和に応じないオランダ政府が悪い、と責任転嫁している現状がある。
そして、オランダからのユダヤ人を中心とする難民に対する攻撃が、誤爆であった等の主張の下で、執拗にドイツ軍によって続けられている現実もある。
(これに対しても、民間人に対する殺戮行為は許されない等、これについても米国の中立諸国政府等が非難声明を出しているが、意図して行っていることではない、現場のミス等々の言い訳がドイツ政府や軍部からは垂れ流されているのが現実だ)
更に言えば、実際にフランス本土においても、パリを始めとする主要都市に対する無差別大量恐怖爆撃が開始されており、ルーブル宮殿(美術館)等が被災している現実があるのだ。
こうした状況とあっては、フランス政府、軍としても、そう易々とドイツ政府に対して講和を呼び掛けることはできない。
そして、オランダ政府やベルギー政府は、ドイツ政府との講和条約締結を拒んでいる現状がある。
小国のオランダ、ベルギー両国政府が、ドイツ政府との徹底抗戦を叫んでいるのに、大国のフランス政府が講和を呼び掛けるのは、大国としての誇りが許さない、という主張が野火のようにフランスの国民に広まっている現状もある。
この為にフランス政府は、ブレストを臨時首都として移転することにした。
そして、ドイツ政府に対して抗戦継続を宣言することになった。
(尚、少しでもフランス国民に対する被害を軽減しようと、パリを始めとするフランス本土の主要都市については無防備都市宣言を行い、実際にフランス軍を退去させることで、戦時国際法順守を自ら行い、ドイツ政府にも戦時国際法順守を求めることを、フランス政府は行ったが、余り効果が上がらなかった)
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