第13章―4
だが、このオランダ軍の防衛作戦は、極めて下品な表現を使って言えばになるが、
「前は何とか隠しているが、後ろは丸見えで無防備だな」
と言われる防衛作戦と、周囲に評価されても仕方が無かった。
何しろ、既述のようにオランダ空軍(陸軍航空隊)は極めて弱体な存在であり、その為に一部の爆撃機までも迎撃戦闘に投入する無茶をしたが、ドイツ空軍が断行したアムステルダムやハーグ等への市街地に対する大量無差別爆撃を阻止することはできなかったからである。
(だが、これはこれで、ドイツ空軍が想わぬ損害を被ることにも繋がることになった。
ドイツ空軍の当初計画では、全力でオランダ、ベルギー、フランス北方の飛行場に対する空襲を第一撃として行うことで、英仏白蘭の軍用機を大量に地上で撃破する予定だった。
だが、ポーランド戦やノルウェー戦での戦訓研究から、飛行場に対する空襲を行っても、地上にいる軍用機は、偽装を施すこと等によって容易に損害を避けられていると評価されたことから、むしろ、空中戦で軍用機は撃破すべきである、との誤った戦訓が生じたのだ。
しかし、更なる戦訓研究が進むにつれ、こういった空中戦で敵航空機を撃破しようとすることは、自らの損害を相対的に増やすこと等に繋がることから、やはり、地上で敵軍用機は撃破すべき、との再修正が引き起こされるのだが。
それは数年先のことであり、その時まで生き残っていたドイツ空軍関係者が臍を噛む事態が起きた)
これでは国民、国土を護るオランダ軍の防衛作戦は、当初から破綻をきたしていた、と言われても仕方のない事態だった。
その一方、オランダ陸軍の高射砲は、予めそう言った事態を予期して配置されていたこともあり、事前の想定よりも良い戦果を挙げることが出来てはいた。
ともかく、こうした空中戦重視の結果として、オランダの飛行場の多くが無傷で済む事態が起きた。
だが、それでもある程度は構わない、と事前には考えられていた。
何故かと言うと、後述するが、空輸部隊を輸送、展開する為に、オランダの飛行場の多くが無傷である方が望ましいとの声が、それなりにあったからである。
だが、実際には、こういった無傷の飛行場は、却ってドイツ軍の苦戦を招く事態が引き起こされることになっていくのだ。
そして、オランダの主要都市への大量無差別爆撃は、当然のことながら、多くの被害をオランダにもたらすことになったのだが。
その中にはオランダ王室の居所であるハーグ市のハウステンボス宮殿までが含まれることになり、ハウステンボス宮殿は焼失し、更にウィルヘルミナ女王以下の王族の方々が薨去されることは無かったが、負傷される王族が出る事態が起きた。
このことは世界中から非難の声が巻き起こることになり、慌ててドイツ政府は完全な誤爆だったとして、遺憾の意を表明したが、見る人が見れば全くの嘘なのは明らかで、世界中でドイツ政府への反感を高める事態が起きることになった。
更にドイツ陸軍からしてみれば、大きな誤算があった。
それこそドイツ装甲師団1個を投入すれば、それに空挺部隊2個師団が空挺降下等を断行する以上は、日本海兵隊やユダヤ人部隊、イスラエル師団は鎧袖一触で泣き喚いて逃げ散る筈だったのだが。
それどころではない事態に陥ることになったのだ。
さて、オランダ侵攻作戦に投入された具体的なドイツ軍の空挺部隊名を挙げるならば、陸軍指揮下の第22空輸師団と空軍指揮下の第7降下猟兵師団だった。
更に細かいことを言えば、空挺作戦を実行するに際して、落下傘降下を基本的に行うのが第7降下猟兵師団であり、グライダー等による強行着陸等を基本的に行うのが第22空輸師団だった。
すみませんが、次話にまで説明が続くことになりました。
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