第13章―3
ともかく、そういった背景があった上で、ドイツ軍のオランダ侵攻作戦は発動された。
だが、早速、史実とは違う事態が起きた。
「オランダの主要都市に対して、無差別大量恐怖爆撃を断行せよ。それによって、速やかにオランダ政府を無条件降伏させるのだ。速やかに降伏せねば、オランダの民間人が大量に殺戮されていくとあっては、オランダ政府は降伏を受け入れざるを得まい。そして、爆撃によってオランダの民間人が大量に殺戮されるだろうが、それは彼らがユダヤ人を保護したことによる自業自得の結末だ」
そうヒトラー総統は獅子吼した。
又、ゲーリング空軍元帥以下のドイツ空軍の面々の多くも、ヒトラー総統の主張を支持した。
彼らにしてみれば、無差別大量恐怖爆撃を行なえば、交戦国の国民の抗戦意思は容易に挫けることになり、結果的に戦禍を抑えられることになる、と考えたのだ。
こうしたことから、開戦劈頭からオランダの主要都市に対する無差別大量恐怖爆撃が断行されることになったが、このことは様々な波紋を引き起こすことになるのは、当然のことだった。
「これではドイツ陸軍の進撃が遅滞してしまう」
そうドイツ軍の西方戦役(フランス、ベルギー、オランダ方面への侵攻作戦)に投入されたドイツ陸軍の高級士官の多くが、そう嘆きながら苦闘することになった。
ヒトラー総統やゲーリング空軍元帥らにしてみれば、ドイツ陸軍の直接支援は、主に急降下爆撃部隊等が行っており、オランダの主要都市への爆撃は双発爆撃機部隊等が行っている以上、そんなに地上部隊への進撃に影響がない、という理屈なのだが、実際には必ずしもそうは言えない。
それこそ地上部隊でも都市でも、ある程度は必然だが、爆撃機部隊護衛の為の戦闘機部隊は必要と言えるし、それこそ二兎を追う者は一兎をも得ず、というに近い事態が起きるのも当然と言える。
こうしたことから(史実では行われなかった)オランダの主要都市に対する爆撃は、必然的にドイツ陸軍の地上部隊支援を(史実よりも)減少させる事態を引き起こすことになり、史実よりもドイツ陸軍の進撃が遅滞する事態が起きることになった。
その一方で、(史実同様に)展開されたオランダ軍の洪水戦術による防衛作戦は、それなりの効果を(史実同様に)挙げることになったが、これはドイツ軍にしてみれば、予定通りと言って良かった。
むしろ、それによって、オランダ軍からすれば東部戦線に主力を集中させることになり、オランダ後方、西部へのドイツ空挺部隊の投入と、ベルギー方面から迂回して南から北へと侵攻するドイツ装甲部隊の進撃が容易になる、とドイツ軍上層部は考えていたからである。
とはいえ、そうはいかない事態が起きることにもなった。
尚、この際にオランダ軍の洪水戦術を活用した防衛作戦の詳細を、メタくなるが説明すると。
まずは、最前線と言える「イーゼル=マース線」を展開し、そこでドイツ軍の勢いを削いで、主抵抗線と言える「グレッペ=ベールラーム線」で主抵抗を試みることになっていた。
その為に「イーゼル=マース線」には2個師団程しか展開せず、5個師団が「グレッペ=ベールラーム線」に展開していた。
とはいえ、ドイツ軍との兵力差は明らかである以上、長期に亘る抗戦は困難であるとして、ユトレヒトやドルドレヒト等を結ぶ「ホラント防衛線」に最後の予備と言える2個師団を展開し、そこに前線から退却して来た部隊も収容して、ハーグやロッテルダム、アムステルダムを少しでも長く保持しよう、というのが、オランダ軍の基本方針となっていた。
そして、ユダヤ人部隊や日本海兵隊は、最後の予備部隊として、ハーグ等に展開して守りを固めていた。
本来ならば、オランダ軍の防衛線、洪水戦術について、図入りで説明したいのですが。
その辺りまで手を出すと色々と難しくて、執筆が遅滞する現実があります。
更に言えば、私のネットの画像検索では、そういった図が上手く引っ掛からない現実が。
ネットに画像があれば、リンクを貼る等の手段も講じられるのですが、本当にすみません。
ご感想等をお待ちしています。




