閑話 1940年4月初めのカナリス提督の考え
事実上の第2部になります
どうしてこうなっているのだ。
そんな想い、考えが、自分の内心で浮かんでならない。
ノルウェー侵攻作戦は、表面上はそれなりに成功したと言えるだろう。
何しろノルウェーの首都オスロを占領することに成功し、親ドイツのクヴィスリング政権を樹立することに成功したのだから。
だが、その内実、ノルウェー侵攻作戦によって、引き起こされている現実を検討するならば。
ドイツ海軍の主力艦といえるシャルンホルスト級巡洋戦艦2隻、ドイッチュラント級装甲艦3隻を始めとする多くの軍艦が失われることになった。
唯でさえ、ドイツ海軍は英仏海軍に劣勢だったのに、このような事態に至っては、最早、ドイツ海軍は存在しない、北海沿岸への上陸作戦さえ、英仏軍は可能になった、と言わざるを得ない。
更にスウェーデン政府が、英仏日政府の圧力があったこと等から、ドイツへの鉄鉱石等の禁輸を宣言したことから、ヒトラー総統は、
「軍艦建造の為には鉄が必要不可欠な現実があるが、現状に鑑みて、当面の間、ドイツ海軍は全面解散。鉄は陸軍に主に投入せざるを得ない」
とまで言う事態が起きてしまった。
更に英仏日軍の妨害によって、ノルウェーの国民生活に影響が出つつある現実がある。
具体的には、英空軍や日本海軍航空隊が主に活躍しているのだが、ドイツ本土からノルウェーへの様々な物資輸送が航空攻撃等によって、かなり阻害されている現実があり、ノルウェーにいるドイツ軍に飢餓が迫りつつあるのだ。
こうした状況から、ノルウェーに駐留するドイツ軍は、ノルウェー国民から積極的に食料等を徴発することで、何とかしているらしいが。
こうしたことをしては、ノルウェー国民の間で反ドイツの空気が漂うのは当然のことではないだろうか。
それなのに、ヒトラー総統は
「英仏は劣等人種の日本人と手を組んでいる。優秀な人種の白人がやってはならないことだ。日本人を絶滅させる為に、白人、特にゲルマン人は我がドイツに積極的に協力すべきなのだ。反対する輩は、劣等人種に味方しており、絶対に許されない存在なのだ」
等と獅子吼してしまい、ノルウェー国民からの徴発を更に是認してしまった。
この為にノルウェー国民の間では、反ドイツの空気が更に高まっているとも、自分は聞いている。
自分が見るところ、ヒトラー総統(及びその側近)にしてみれば、日本軍の奮闘でノルウェー侵攻が失敗したというのが、どうにも認められない事態なのだ。
それこそ劣等人種である日本人に、我が優秀なドイツ軍が負ける等はあってはならないことで、その責任転嫁もあって、裏切り者がいて、今も協力しているから、我が優秀なドイツ軍は日本人に負けたのだ、という主張をしているのだろう。
だが、これは極めて不味い主張ではないだろうか。
こんな主張を垂れ流していては、ドイツ軍と戦って敗れた後は、ドイツ政府による自国民への苛斂誅求という事態が起きるのではないか、という懸念を仏蘭白の各国政府が抱く可能性は極めて高い。
そうなっては、仏蘭白の各国政府は、自国の植民地に首都を移転して、徹底抗戦をドイツ政府、軍に対して試みる可能性が、史実では起きなかったが、この世界では起きる気がして、自分は成らない。
そうなったら、ドイツは史実より遥かに早く、第二次世界大戦に敗北すると言う事態が起きるのではないだろうか。
本当にどうしてこうなったのだろう。
自分が転生に気が付いたとき、前世知識を活用すれば、我が祖国のドイツに勝利をもたらすことができる、と自分は夢見たのに。
何で自分は、祖国ドイツの敗北を結果的に早めかねない事態を、引き起こしてしまったのだろうか。
私の考え、やり方の何処が悪かったのだろうか。
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