閑話 1935年中のカナリス提督の暗躍
閑話ということから、視点が変わり、この世界のカナリス提督視点になります。
1935年末、カナリス提督は、この1年程の自分の活動を振り返って、十二分に満足していた。
ドイツ軍内部は、自らの後世知識も含めた働きかけにより、完全に親中反日派が掌握したと言っても良い状況になっている。
実際、ドイツの再軍備を積極的に推進する為には、中国本土をほぼ制していると言える中国国民党政府と積極的に連携すべきだ、という自分の主張は当然極まりない。
ドイツ軍内の極少数派が、日本政府や軍、特に大島浩陸軍少将の働きかけに因って、日本とのある程度の連携を、反ソ、反共主義から採るべきだ、と主張しているが。
自分も加担していることだが、ドイツ軍内部の圧倒的多数が、日本と連携しては、中国国民党政府との連携に支障が生じて、再軍備の進捗が困難になる、と言っているのが現実だ。
この為に、現在、ヒトラー総統の個人的な外交顧問的立場にいるリッべントロップ氏等が、将来のドイツの対ソ戦準備(ナチス党は反共主義を掲げており、ドイツ民族の東方生存圏獲得の為に、対ソ戦を将来的には訴えている)の為に、日本との連携を懸命に図ろうとしているようだが。
自分も加担しているドイツ軍等の様々な妨害行為によって、全く上手く行っていないようだ。
更にドイツが積極的に中国国民党政府に加担していることから、史実以上に日中間の対立が深化しているらしいのも、本来的には自分にとってみれば極めて好ましいことだが。
このまま行けば、史実よりも盧溝橋事件勃発等が早まって日中戦争が早期に起こりかねない気がする。
だが、それは本当に良いことなのだろうか。
自分の知っている史実同様に、この世界の日本政府等は宣伝下手なようで、本来からすれば国際法に違反した行動(テロ等)を行って、排日運動を進めている中国国民党政府に対し、更なる反撃の武力行使を行ったり、チラつかせたりした上での外交交渉を試みたりするだけで、諸外国等に対する反中国国民党政府宣伝には力を入れていないようだ。
ゲッベルス宣伝相が、日本の宣伝下手について、
「本当に日本は赤子も同然だ。自分だったら、中国国民党政府こそが悪だ、という宣伝キャンペーンを展開して、半年も経たない内に世界中が中国国民党政府は悪だ、という事態を引き起こしてみせる」
と評価しているが、あながち間違っていない、と自分も考える程だ。
その一方、自分が考える限りだが、下手に日中戦争が早期に起こっては、中国国民党政府の対日戦争準備が十分に調っていない以上、史実よりも日本の侵略行為が上手く行く可能性が強い。
そして、日本の宣伝下手から考えれば、日本は問題解決の為に中国での更なる武力行使に奔りかねず、最悪の場合、中国国民党政府の崩壊という事態が起きてもおかしくない気がする。
そうなっては、ドイツの再軍備の進捗に支障が出ることになるだろう。
自分としては、日中戦争に中国国民党政府が勝利し、万里の長城以南の中国本土を制することにより、そこからの資源輸入で、再軍備を薦めるのがドイツにとって最善だと考えているが。
中国本土というか、中国国民党政府の軍備拡張は、まだまだ数年は掛かると言うのが現実で、自分の考え通りに、どうやって日本や中国を動かすべきなのかを考えるならば。
カナリス提督は、そこまで考えた末、史実ではスペインに派遣されたコンドル軍団(?)を、中国に派遣するように働きかけることで、中国の対日戦力を増強することにした。
中国国民党政府に自制を呼びかけるにしても、自分の立場からすれば限度がある。
それよりもコンドル軍団(?)の中国への派遣を働きかける方が、遥かに効果的だ。
そうカナリス提督は考えることになり、周囲に働きかけることになった。
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