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74話

帝都アルテミスの拠点となる家は、夏の陽光が窓から差し込み、木製の床に暖かな模様を描いていた。

暖炉の火は消えていたが、昨夜の涙の残り香が薄く部屋に漂っていた。私は自室のベッドに座り、白いワンピースを着ていた。スカートに隠した狩猟刀の冷たい感触が太ももに残り、森での戦いの記憶が遠くに響いていた。紫の瞳が部屋を見渡し、心の中にはロザンナの最期と別れの言葉が渦巻いていた。

ロザンナが髑髏の仮面に斬られ、冷たい地面に倒れた日の記憶が鮮明だった。彼女の赤い瞳が閉じ、赤いペンダントが血に濡れた姿が頭を離れなかった。胸が痛み、「…姉さん、死んだ」と呟き、紫の瞳が窓の外の石畳を捉えた。首に掛けた白銀のロケットペンダントが陽光に反射し、絆の証として重みを増していた。だが、心の奥に深い寂しさが広がった。「…姉さん、どこ?」と呟き、彼女の温かい手が私の頬に触れた記憶がよぎった。

部屋の静寂が続くなか、広間からミリアの嗚咽が聞こえてきた。陽光が彼女の緑の髪を照らし、杖を手に持つ気配を感じた。レオンが剣を静かに置き、ガルドが大剣を壁に寄せていた。心が揺れ、「…葬式の日?」と呟き、静かに広間へ向かった。木製の床が微かに軋み、夏の風が窓から入って私の白銀の髪を優しく撫でた。

リリィの視点 ー 準備と別れの始まり

広間に着くと、ロザンナの体が白い布に包まれ、簡素な棺に収められていた。暖炉の灰が薄暗い部屋に寂しさを添え、窓から差し込む陽光が棺に柔らかな影を投げかけていた。ミリアが涙を拭い、「…ロザンナさん、綺麗にしました」と呟いた。緑の瞳が私を捉え、静かな悲しみが伝わった。心が痛み、「…姉さん、眠ってる」と呟いた。

レオンが「帝都の外れに墓地を用意した。今日、埋葬する」と低く言った。

ガルドが「クソッ、こんな別れは嫌だ…」と拳を握り、目を伏せた。私の胸に寂しさが広がり、「…姉さん、置いてく?」と呟いた。

ロザンナの赤いペンダントが棺の横に置かれ、彼女の温かさが遠ざかる感覚がした。

ミリアが「リリィちゃん、一緒に送ってあげようね」と優しく言った。心が温かくなり、「…一緒に行く」と頷いた。

棺を担ぎ、帝都の外れへ向かった。石畳の通りは市場の喧騒が遠くに響き、パンや花の香りが混ざり合っていた。陽光が建物の壁に反射し、通行人が静かに道を譲った。だが、心の奥に深い悲しみが広がった。「…姉さん、見てる?」と呟き、紫の瞳が棺を見つめた。ロザンナの声、笑顔、涙――その記憶が心を重くした。


帝都の外れに広がる墓地は、緑の丘に古い石碑が並び、風が草を優しく揺らしていた。陽光が丘に暖かな光を投げかけ、遠くの森が静かに佇んでいた。棺を地面に置き、ミリアが花を手に持った。

「……ロザンナさんの好きな花よ」

「……姉さん、好きだった?」と呟いた。


ロザンナが広場で笑った日を思い出し、胸が締め付けられた。

レオンがシャベルを手に持ち、静かに穴を掘り始めた。ガルドが「俺が手伝う」と加わり、土が静かに積み上げられた。

私の手が震え、「…姉さん、埋める」と呟いた。白銀のペンダントに手を置き、彼女との絆を握りしめた。ミリアが「リリィちゃん、最後に何か言ってあげて」と囁いた。心が揺れ、「…姉さん、ありがとう。守ってくれた」と小さく呟いた。涙が頬を伝い、声が震えた。

棺が穴に下ろされ、土が静かに被せられた。陽光が墓標に反射し、ロザンナの名前が刻まれた。「…姉さん、眠って」と呟き、紫の瞳が墓を見つめた。

ミリアが花を墓に置き、レオンが黙祷を捧げた。ガルドが「安らかに…」と呟き、目を閉じた。心に静かな波紋が広がり、別れの重さが胸を満たした。


墓地の端で、簡素な葬式が始まった。風が丘を渡り、草が優しく揺れる音だけが響いていた。ミリアが杖を振ると、青白い光が墓に広がり、祈りの魔法を放った。


「……ロザンナさんの魂が安らかに」


心が温かくなり、「…ミリア、優しい」と呟いた。レオンが「彼女の犠牲は無駄じゃない」と言い、ガルドが「次は俺たちが守る」と拳を握った。


私は墓の前に立ち、紫の瞳が墓標を見つめた。ロザンナの言葉が頭をよぎった。

(……泣かないの。妹を守るのがお姉ちゃんの役目なんだから…これくらいなんともないわ)

胸が痛み、「…姉さん、守るよ」と呟いた。

白銀のペンダントが陽光に輝き、彼女の赤いペンダントが墓の横に置かれた姿が目に焼き付いた。涙が止まらず、土に滴った。


葬式が終わり、仲間たちが静かに墓を後にした。陽光が丘を照らし、風が私の白銀の髪を撫でた。心が空っぽになり、「…姉さん、行った」と呟いた。ロザンナの温かい手、笑顔、涙――その記憶が遠くに消え、静かな寂しさが広がった。


墓地を後にし、拠点へ戻る道を歩いた。石畳の通りは再び賑わい、パンや香辛料の香りが鼻をくすぐった。陽光が建物の壁に反射し、子供たちの笑い声が遠くに響いていた。だが、心の奥に静かな決意が芽生えた。


「…姉さんの家族、守る」

「リリィちゃん、一緒に頑張ろうね」


とミリアが微笑み、レオンとガルドが頷いた。


部屋の静寂が戻り、陽光が木製の床に優しく落ちていた。私の心は、森で初めて自分を見つめた日のように、静かな波紋を広げていた。答えはまだ見えない。だが、姉さんの犠牲を無駄にせず、守る道を進むことが、私の新たな道なのかもしれない――そんな予感が、胸に宿っていた。

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