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第七十二話

帝都アルテミスの拠点となる家は、朝の穏やかな陽光に包まれていた。

窓から差し込む光が木製の床に柔らかな模様を描き、暖炉の火は消えていたが、昨夜の残り香が薄く漂っていた。

私は自室のベッドに座り、白いワンピースを着ていた。

スカートに隠した狩猟刀の冷たい感触が太ももに残り、森での戦いの記憶が遠くに響いていた。紫の瞳が部屋を見渡し、心の中には昨日の作戦会議の重みが渦巻いていた。

ロザンナの怪我が全快し、彼女の赤い瞳が再び輝きを取り戻していた。

優雅なローブを着て広間で静かに座る彼女の姿を見ると、胸が温かくなった。


「…姉さん、強くなった」と呟き、紫の瞳が窓の外の石畳を捉えた。

首に掛けた白銀のロケットペンダントが朝日を反射し、絆の証として重みを増していた。

だが、心の奥にざわめきがあった。


「…髑髏の仮面。どこにいる?」と呟き、彼女が語った戦いの記憶が頭をよぎった。

部屋の静寂が続くなか、広間からミリアの声が聞こえてきた。陽光が彼女の緑の髪を照らし、杖を手に持つ気配を感じた。

レオンとガルドが準備を進め、ロザンナが地図を手にしていた。心が揺れ、「…探す日?」と呟き、静かに広間へ向かった。

木製の床が微かに軋み、朝の涼しい風が窓から入って私の白銀の髪を優しく撫でた。


広間に着くと、ロザンナが地図を広げ、赤い瞳が真剣に私を見つめた。暖炉の灰が薄暗い部屋に寂しさを添え、窓から差し込む朝日が木製の床に長く伸びた影を投げかけていた。


「…髑髏の仮面を探す。ギルドの跡地から始めよう」と静かに言った。

心が緊張し、「…危険な場所」と呟き、紫の瞳が地図を捉えた。


ミリアが「リリィちゃん、視界確保の魔法を準備したよ。煙幕に備えてね」と優しく言った。

緑の瞳が私を捉え、静かな信頼が伝わった。心が温かくなり、「…ミリア、ありがとう」と呟いた。

レオンが剣を手に持ち、「先導は俺がする。ガルド、後衛を頼む」と言い、ガルドが「クソッ、任せろ!」と大剣を肩に担いだ。

ロザンナが「私の情報で道を案内する。

リリィ、君の力が必要だ」と頷いた。

胸が誇らしさと不安でいっぱいになった。「…私、できる?」と呟き、狩猟刀の感触を確認した。


準備が整い、朝の帝都へと出発した。石畳の通りは市場の喧騒で賑わい、パンや香辛料の香りが鼻をくすぐった。

陽光が建物の壁に反射し、子供たちの笑い声が遠くに響いていた。だが、心の奥に静かな緊張が広がった。


「…髑髏の仮面、どこ?」と呟き、紫の瞳が周囲を見渡した。ロザンナの横に並び、彼女の赤いペンダントが朝日に輝くのを見た。


ギルドの跡地へ向かう道は、帝都の中心から外れた薄暗い路地だった。

崩れた石壁が風にさらされ、雑草が石畳の隙間から伸びていた。陽光が細い隙間から差し込み、地面に不気味な影を投げかけていた。

ロザンナが「ここがギルドだった場所だ。

髑髏の仮面はここで仲間を…」と呟き、赤い瞳が遠くを見つめた。

心が痛み、「…姉さん、辛いね」と呟いた。


跡地の中に入ると、崩れた柱と焼けた梁が静かに佇んでいた。

風が瓦礫の間を抜けるたび、不気味な唸り声が響き、静寂を破った。

ミリアが杖を振ると、青白い光が広がり、視界を確保する魔法が発動した。「…煙幕に備えて」と彼女が言った。

心が少し軽くなり、「…ミリア、頼りになる」と呟いた。

レオンが剣を構え、「周囲を警戒しろ」と言い、ガルドが大剣を手に広範囲を見渡した。

私は跡地の奥へ進んだ。

崩れた壁の陰や暗い角を慎重に調べ、紫の瞳が鋭くなった。

狩猟刀の感触が太ももで確認でき、森での戦いの記憶が力を与えた。だが、髑髏の仮面の気配は感じられなかった。


「…いない? どこ?」と呟き、不安が広がった。

ロザンナが私の側に寄り、「焦らないで。

痕跡を探そう」と優しく言った。彼女の温かい手が私の肩に触れ、心が落ち着いた。


跡地の奥で、血の跡と焼けた布切れを見つけた。陽光がその赤黒い色を照らし、風がそれを軽く揺らした。

ロザンナが「…これ、仲間のものだ」と呟き、赤い瞳が涙で潤んだ。

心が締め付けられ、「…家族、失った」と呟き、村を失った記憶が蘇った。

エドとリナの笑顔、老夫婦の声――その記憶が心を重くした。

ロザンナの痛みが私の痛みと重なり、胸に静かな怒りが湧いた。

レオンが「これは最近のものだ。

髑髏の仮面がまだ近くにいる証拠だ」と言い、ガルドが「クソッ、逃がさねえ!」と拳を握った。

ミリアが「この血の方向を追えば、足跡が見つかるかも」と提案し、杖を振った。

青白い光が地面をなぞり、細い足跡を浮かび上がらせた。

心が緊張し、「…追う?」と呟いた。

ロザンナが頷き、「リリィ、君の力で先導して」と頼んだ。胸に決意が広がり、「…行く」と呟いた。


足跡を追って路地を進むと、帝都の外れへ向かう廃墟地帯にたどり着いた。

崩れた家々が風にさらわれ、雑草が地面を覆っていた。

陽光が雲に隠れ、薄暗い空が不気味な雰囲気を増した。風が瓦礫の間を抜けるたび、鋭い音が耳に届き、心をざわつかせた。「…ここ、怖い」と呟き、紫の瞳が鋭くなった。


足跡は廃墟の奥へ続いていた。狩猟刀を手に持ち、静かに進んだ。

ミリアの魔法が視界を保ち、レオンが前を警戒し、ガルドが後ろを守った。

ロザンナが私の側に寄り、「気配を感じたらすぐ知らせて」と囁いた。


心が緊張し、「…感じる。近い?」と呟いた。空気が重くなり、静かな気配が周囲に漂い始めた。


突然、風が止まり、静寂が訪れた。廃墟の影からかすかな金属音が聞こえた。


心が跳ね、「…何!?」と呟き、紫の瞳がその方向を捉えた。

ロザンナが「…髑髏の仮面だ!」と叫び、赤い瞳が鋭くなった。ミリアが杖を構え、「準備して!」と叫んだ。レオンとガルドが武器を手に、戦闘態勢に入った。私の胸に静かな決意が広がり、「…見つけた。戦う」と呟いた。


廃墟の影から、髑髏の仮面を被った人影が現れた。

黒いローブに包まれ、剣を手に持つその姿は、陽光に照らされても不気味な影を落としていた。

スピードと力――ロザンナの言葉が頭をよぎり、心が緊張で締め付けられた。「…強い」と呟き、狩猟刀を握った。

だが、姉さんの涙、失われた家族の記憶が私の心を支えた。


ロザンナが「リリィ、奇襲のタイミングを!」と叫び、ミリアが魔法を準備した。

レオンが「今だ!」と合図し、ガルドが前に飛び出した。

私の足が自然に動き、廃墟の影に身を隠した。

紫の瞳が敵を捉え、静かに息を整えた。

「…背後、狙う」と呟き、狩猟刀を構えた。

髑髏の仮面の気配が近づき、心に静かな波紋が広がった。


答えはまだ見えない。

だが、姉さんのために戦うことが、私の道なのかもしれない――そんな予感が、胸に宿っていた。

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