第四十六話
――レオン、ガルド、ミリア、そしてリリィ――は、新たな敵である戦術家「クロノス」の情報を得ていた。
クロノスは表舞台に出ることなく魔王を影から支えていた知略家で、魔王が倒された後も生き残り、新たな計画を進めている可能性があった。
リリィが以前路地裏で目撃したローブの人物がクロノスである可能性が高いと考え、一行は調査を開始していた。
レオンとガルドは、リリィが聞き出した情報――「路地裏の奥にある廃屋にローブの人物が現れる」という話――を頼りに、王都の外れにある木造の廃屋へとやってきた。
廃屋は古びた木造の二階建てで、窓は割れ、屋根には穴が開いていた。
レオンが「ここがリリィの言ってた廃屋だ。クロノスが潜んでいる可能性がある。気をつけろ」と呟き、剣を手に持った。
ガルドが「へっ、クロノスだろうが何だろうが、俺の大剣でぶっ飛ばしてやるぜ」と笑い、戦斧を肩に担いだ。
レオンが廃屋の扉を開け、中に足を踏み入れた瞬間、左横から剣が振られた。
錆びた剣がレオンに迫るが、ガルドが素早く反応し、大剣で剣を弾き飛ばした。「レオン、危ねえ!」と叫び、レオンが襲いかかってきた人物を掴み、床に組み伏せた。
「動くな!」と剣を突きつけると、相手が「う、うわっ! やめてくれ!」と叫んだ。
組み伏せられた人物は、ローブを被ってはいたが、魔物ではなくただの人間だった。
ガルドが「なんだ、てめえ! クロノスじゃねえのか!」と吼えると、男が「ち、違う! 俺はただの貧民だ! 殺さないでくれ!」と震えながら叫んだ。
レオンが「落ち着け。話を聞く。なぜ襲ってきた?」と尋ね、男を解放した。
男は震えながら立ち上がり、ローブを脱いだ。
顔は汚れ、服はボロボロで、王都の貧民街に住む人間だと一目で分かった。男が「俺は…この路地裏に住む者だ。名前はトム。どこの誰とも分からない奴から金を渡され、この廃屋を貰い受ける代わりにローブを被って生活するよう依頼されたんだ」と話し始めた。
レオンが「誰に依頼された? その人物の特徴は?」と尋ねると、トムが「顔は見えなかった…。ローブを被ってて、声だけが低くて冷たかった。金を渡されて、風雨にさらされる生活よりマシだと思ったから引き受けたんだ。悪気はなかった」と答えた。
ガルドが「で、俺たちを襲ったのは何でだ?」と尋ねると、トムが「この廃屋にやってきたお前たちを見て、家を奪いにきた賊だと思ったんだ…。俺にはここしか住む場所がない。悪かった、許してくれ」と頭を下げた。
レオンが「…クロノスからの偽の情報に踊らされ
たか。リリィが聞いた情報も、クロノスが意図的に流したものかもしれない」と呟く。
ガルドが「くそっ、頭のいい野郎だぜ。俺たちをハメやがったな」と歯を食いしばった。
レオンが「だが、無駄足ではなかった。トム、依頼主について何か知らないか?」と尋ねると、トムが「…詳しくは知らないけど、帝都の外からやってきたらしい。誰かに対して執着してるって言ってた。女の名前を呟いてたけど…聞き取れなかった」と答えた。
ガルドが「執着してる女…? まさか、ミリアやリリィじゃねえだろうな」と呟き、レオンが「可能性はある。
クロノスは魔王を倒した俺たちを恨んでいるかもしれない。
すぐにミリアたちに知らせよう」と言い、二人は廃屋を後にした。
レオンとガルドがミリアとリリィの家に到着すると、家の扉が開いており、中からミリアの慌てた声が聞こえた。
「リリィちゃん、動かないで! 私がちゃんと治療するから!」と叫び、リリィが「…ミリア、平気…自然に治る」と呟く声が響いた。
レオンが「何事だ?」と呟き、ガルドが「何かあったのか!?」と叫びながら家に飛び込んだ。
リビングに入ると、リリィが下着姿でソファに座っていた。
純白のジュニアブラとショーツ、白タイツだけという姿で、ミリアが彼女の肩に布を当てて治療していた。リリィの右肩には浅い切り傷があり、血が滲んでいた。
レオンが「リリィ、怪我か!? 何があったんだ!?」と驚き、ガルドが「誰にやられたんだ!? クロノスか!?」と叫んだ。
ミリアが「違うの! これは…私が原因なの」と慌てて説明した。
リリィが無表情で「…ミリア、悪くない。私の失敗」と呟き、ミリアが「でも、私がちゃんと見てれば…!」と目を潤ませた。
レオンが「落ち着いて話してくれ。何があったんだ?」と尋ね、ミリアが事情を話し始めた。
ミリアが「最近、リリィちゃんに魔法を教えてるの。リリィちゃん、覚えが早くて、いろんな魔法を試したくなって…。今日、実践練習をしようって私が提案したの」と話し始めた。リリィが「…ミリアが教えてくれるから…頑張った」と呟き、ミリアが「うん、リリィちゃん、すごく頑張ってくれたの。でも…私が失敗してしまって…」と声を詰まらせた。
ミリアの説明によると、実践練習として、リリィの狩猟刀に「回復を阻害する呪い」を付与する魔法を試したという。
この呪いは、魔法による回復を防ぐ効果があり、敵に有効な攻撃手段となる。
ミリアが「帝都の近くにゴブリンが出没してるって聞いて、リリィちゃんの魔法の実力を試すのにちょうどいいと思ったの。狩猟刀に呪いを付与して、ゴブリンに攻撃してみようって」と話した。
リリィが「…ゴブリン、倒した。でも…刀が跳ね返った」と呟き。
ミリアが「そう…ゴブリンが狩猟刀を弾き返してしまって、刀がリリィちゃんの肩を掠めてしまったの。呪いのせいで、私の回復魔法が効かなくて…!」と説明した。
幸い、自然治癒であれば呪いの影響を受けないことが分かり、傷跡も残らないと分かっていた。しかし、ミリアはリリィの怪我に責任を感じ、治療をしようとしていた。
リリィが「…自然に治る。ミリア、治療…いらない」と呟き、治療を断っていたが。
ミリアが「ダメ! 私が悪いんだから、ちゃんと手当てする!」と押し通し、リリィをソファに座らせて服を脱がせたのだ。リリィは下着姿で治療を受けることになり、純白のジュニアブラとショーツ、白タイツだけの姿でミリアに傷口を拭かれていた。
リリィは下着姿でレオンやガルドに見られても、恥じらいを感じなかった。
彼女の無感情な性格ゆえ、羞恥心という概念がほとんどなかったのだ。リリィが「…レオン、ガルド…見ても…平気」と呟き、無表情のままミリアに治療を受け続けた。
ガルドが「いや、平気って…お前、恥ずかしくねえのか!?」と顔を赤くして叫び、レオンが「ガルド、目を逸らせ。リリィには羞恥心がないんだ」と冷静に呟いた。
ミリアが「リリィちゃん、ごめんね…。私がもっと慎重に魔法を使ってれば…」と呟きながら、傷口を清潔な布で拭き、包帯を巻いた。リリィが「…ミリア、謝らないで。魔法…楽しかった。また…練習したい」と呟き、紫の瞳に微かな光を宿した。
ミリアが「リリィちゃん…ありがとう。でも、次はもっと安全に練習しようね」と笑い、リリィを抱きしめた。
治療が終わり、リリィが服を着直すと、レオンが「さて、俺たちの調査結果を話そう」と切り出した。レオンとガルドは、廃屋での出来事を説明した。
「リリィが聞いた情報はクロノスが意図的に流した偽情報だった。
廃屋にいたのは貧民街の人間で、クロノスに雇われていただけだ」とレオンが話し、ガルドが「だが、そいつから少し情報は得たぜ。クロノスは帝都の外から来たらしい。誰かに対して執着してるって話だ」と付け加えた。
ミリアが「執着…? 私たちの中に誰か、クロノスが狙ってる人がいるってこと?」と呟く。
レオンが「可能性は高い。魔王を倒した俺たちを恨んでいるのかもしれない。特に…リリィやミリアが狙われている可能性がある」と答えた。
リリィが「…ローブの人…私を見た。執着…私…?」と呟き、ミリアが「リリィちゃんを狙ってるなら、絶対に許さない!」と杖を握り直した。
ガルドが「クロノスめ、頭のいい野郎だ。だが、次は俺たちが一枚上手になってやるぜ」と笑い、レオンが「まずは帝都の外に調査範囲を広げよう。クロノスの動きを掴むまで、油断はできない」と提案した。
一行は新たな計画を立て、クロノスとの戦いに備えた。
リリィが「…ミリア、一緒なら…怖くない」と呟き、ミリアが「うん、リリィちゃん。私も一緒なら頑張れるよ」と笑った。
二人の絆はさらに深まり、新たな戦いが始まろうとしていた。




