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第三十七話


魔王城の魔王の間での戦いは、勇者一行――レオン、ガルド、ミリア――にとって絶体絶命の危機に発展していた。

黒い石の柱が立ち並ぶ広大な部屋で、リリィを欠いた3人は傷だらけの魔王と対峙していた。魔王は巨大な黒い鱗に覆われ、角と翼が生えていたが、右腕が欠け、胸に深い傷跡が残り、先代の勇者との戦いの爪痕が残っていた。

それでもその力は圧倒的で、一行を追い詰めていた。

戦いが始まってから長い時間が経ち、レオンとガルドは体力の限界に達していた。レオンが剣を手に膝をつき、汗と血で濡れた顔で息を荒げていた。ガルドは戦斧を支えに立ち、肩から血を流しながら「くそっ…まだ動けるかよ…」と呻いた。

ミリアは杖を握り、魔力が尽きかけ、額に汗が流れていた。

「リリィちゃん…いないと…こんなに辛いなんて…」と呟きながら、魔王の赤い目を睨んだ。

一行は執事を倒した勢いを失い、魔王の猛攻に耐えるだけで精一杯だった。



魔王が「無駄な抵抗だ…お前たちで終わりだ」と低い声で呟き、左手を振り上げた。黒い雷が落ち、石床を砕いた。

レオンが「下がれ!」と叫び、剣を盾のように構えて雷を防ごうとしたが、衝撃で後退し、膝が震えた。雷の余波が剣に伝わり、腕が痺れ、血が滴った。

「くそっ…リリィがいれば…!」と歯を食いしばった。ガルドが「俺がやる!」と吼え、戦斧を振り上げて魔王の脚に叩き込んだ。

刃が鱗を砕き、黒い血が噴き出したが、魔王は怯まず戦斧を弾き飛ばした。ガルドが「硬えな!」と叫び、弾かれた衝撃で膝をついた。

ミリアが「光の結界!」と叫び、杖を掲げた。光の膜が一行を包み、魔王の黒い炎を防いだが、結界が揺れ、ミリアの顔が歪んだ。

「魔力が…もうほとんどない…!」と呻き、杖を握る手が震えた。魔王が黒い炎を放ち、結界を焼き、ミリアが「うっ!」と後退した。

炎が結界を突き破り、ミリアの腕をかすめ、焦げ臭い匂いが広がった。レオンが「ミリア!」と叫び、剣を手に立ち上がったが、魔王の次の雷がレオンを直撃し、彼を吹き飛ばした。

レオンが石床に倒れ、剣が手から離れた。

ガルドが「まだだ!」と叫び、最後の力を振り絞って戦斧を魔王の膝に叩き込んだ。刃が深く食い込み、魔王が「グオッ!」と唸ったが、反撃の黒い炎がガルドを包んだ。

彼が「熱っ!」と叫び、鎧が焦げ、倒れ込んだ。一行は完全に追い詰められ、レオンとガルドは体力を使い果たし、ミリアは魔力が尽きかけていた。

魔王が「終わりだ」と呟き、巨大な左手を振り上げ、一行にトドメを刺そうとした。


ミリアが「まだ…終わらないよ!」と叫び、杖を両手で握った。

「リリィちゃんのためにも…私たちが倒す!」と涙を浮かべ、残りの魔力を全て注ぎ込んだ。

「炎の神よ、全てを焼き尽くせ! ファイアストーム!」と詠唱すると、杖の先から巨大な炎の渦が迸った。

炎が魔王を包み、鱗が焦げ、黒い血が蒸発した。部屋が熱気で満たされ、石床が溶け、魔王が「グアアア!」と悲鳴を上げた。

ミリアが「倒れて…!」と祈ったが、炎が収まると、魔王は傷を負いながらも立ち続けていた。胸の傷が広がり、動きが鈍ったが、倒しきれなかった。

ミリアが「だめ…魔力が…」と膝をつき、杖を落とした。

魔王が「愚かな…人間」と呟き、ミリアに迫った。

巨大な左手がミリアを掴もうとし、彼女が「いや…!」と目を閉じた瞬間、乾いた爆発音が連続して響いた。

バン! バン! と鋭い音が部屋に反響し、魔王の両目が潰れた。赤い目が黒い血を噴き出し、魔王が「グオオオ!」と咆哮を上げた。

視力を失った魔王はミリアとは見当違いの方向へ歩き始め、よろめきながら柱にぶつかった。


一行が「何!?」と驚く中、壁の上に開いた穴から狩猟刀を構えたリリィが現れた。

彼女の白いワンピースは泥と血で汚れ、銀髪が乱れていたが、紫の瞳は無感情に魔王を見つめていた。

リリィが穴から飛び降り、魔王と交錯した瞬間、狩猟刀を一閃。

刃が魔王の首を切り裂き、鱗と骨を断ち切った。

首が宙を舞い、黒い血が噴き出し、魔王の体が前のめりに倒れ込んだ。石床に轟音が響き、魔王が息絶えた。

レオンが「リリィ…!」と剣を拾い、立ち上がった。ガルドが「生きてたのかよ…!」と戦斧を支えに笑い、ミリアが「リリィちゃん!」と涙を流した。

リリィは無表情で狩猟刀を手に立ち、「魔王を斬った」と呟いた。

彼女の声には感情がなく、ただ事実を述べるだけだった。

一行は魔王を倒した喜びと、リリィが生きていた安堵に包まれた。

ミリアが立ち上がり、リリィに駆け寄った。

「リリィちゃん! 生きてて…よかった…!」と嬉し涙を流しながら、リリィを強く抱きしめた。 

リリィの小さな体がミリアの腕に包まれ、彼女は無表情で「ミリア…泣いてる?」と呟いた。ミリアが「うん…嬉しいからだよ。

リリィちゃんが戻ってきてくれて…」と嗚咽を漏らし、リリィの銀髪を撫でた。

レオンが「よくやった、リリィ。お前のおかげだ」と笑い、ガルドが「冷てえ奴が派手に戻ってきたな!」と笑った。



魔王の死体が冷たく横たわり、部屋に静寂が戻った。

レオンが「これで…魔王は終わりだ」と呟き、剣を収めた。

ガルドが「リリィ、どこにいたんだよ?」と尋ねると、リリィが「地下に落ちた。暗くて深い穴だった。壁を登って戻ってきた」と淡々と答えた。

彼女の手に握られたのは不思議な形をした円筒形の長い棒のようなものが魔王の目を潰した秘密だった。

ミリアが「危なかったんだね…でも、戻ってきてくれて本当によかった」とリリィの手を握った。


一行は傷だらけで疲れ果てていたが、魔王を倒し、リリィと再会できた喜びに笑顔が溢れた。

魔王城の戦いは終わりを迎え、彼らの旅は新たな局面へと進むのだった。


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