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第三十三話


ヴェルナの宿屋「山羊の角」で起きた毒入り料理事件と、その背後にいた魔物との戦いを終えた勇者一行――レオン、ガルド、ミリア、そしてリリィ――は、宿屋の一室で次の行動を計画していた。魔物が最後に漏らした情報――「北の廃墟、黒い城」――が一行の耳に残り、レオンは暖炉の火を背に、地図を広げていた。ガルドが長剣を壁に立てかけ、「北の廃墟ってどこだよ? 具体的な場所がわからねえと動きようがねえぜ」と呟き、ミリアが「黒い城…何か不気味な響きだね」と心配そうに言った。

リリィは無表情でスコップを膝に置き、地図をじっと見つめていた。

彼女の紫の瞳が、北の地域を指すレオンの手元に注がれた。

レオンが「待て…この辺り、街があるぞ。『ルナリス』って書いてある」と呟くと、ガルドが「街? 廃墟じゃねえのか?」と首を傾げた。レオンが地図を指でなぞり、「北の山脈を越えた先に位置してる。ヴェルナからだと、数日の距離だ」と計算した。ミリアが「ルナリス…聞いたことない街だよ。何か手がかりがあるのかな?」と尋ねると、リリィが淡々と「魔王の城に近いなら、情報があるかもしれない」と呟いた。

一行は翌朝、ヴェルナの市場で最後の補給を済ませ、行商人にルナリスの話を聞いた。

行商人の老婆が「ルナリスか…昔の話だよ。あそこは、先代の勇者が魔王と相打ちになった後に作った街だ。先代が死の呪いにかかり、完全に効く前に仲間たちに命じて街を築かせたって言われてる」と語った。レオンが「死の呪い?」と眉を寄せると、老婆が「そうだよ。魔王を倒した代償に呪われたらしい。ルナリスは呪いを封じるための街とも言われてる。今は廃墟に近いが、住人はまだいるらしい」と続けた。

ガルドが「勇者が作った街か…なら、魔王城の情報が残ってる可能性があるな」と笑い、レオンが「決まりだ。ルナリスへ向かう」と決断した。


一行はヴェルナを後にし、北の山脈を越える旅路に踏み出した。

空は灰色に覆われ、冷たい風が一行を包んだ。

道は岩だらけで、馬車も通れない険しい山道だった。レオンが剣を手に先頭を歩き、「魔物が出る可能性が高い。気を抜くな」と警告した。

ガルドが戦斧を担ぎ、「出りゃまとめてぶっ潰すぜ」と豪快に笑った。

ミリアは杖を握り、「魔法で援護するね。リリィちゃんも気をつけて」と優しく言った。リリィはスコップを手に無表情で「うん」と頷き、一行の最後尾を歩いた。

初日は静かに進んだが、2日目の昼下がり、山道の岩場で魔物の群れに遭遇した。

狼のような姿に鋭い牙と爪を持つ「シャドウウルフ」が10頭ほど現れ、低い唸り声を上げて一行を囲んだ。

レオンが「来たぞ! 構えろ!」と剣を抜き、ガルドが「いいね、腕が鳴るぜ!」と戦斧を振り上げた。ミリアが「光よ、敵を払え!」と詠唱し、光の矢を放つと、2頭が怯んで後退した。

リリィは無表情で狩猟刀を構え、群れの側面に飛び込んだ。

彼女の小さな体が素早く動き、狩猟刀がシャドウウルフの首を一閃で刎ねた。血が飛び散り、魔物が倒れると、他のウルフがリリィに襲いかかった。彼女は体をわずかにずらし、牙をかわし、返す刀で別のウルフの腹を裂いた。

レオンが「リリィ、援護する!」と叫び、剣でウルフの背中を切り裂き、ガルドが戦斧で一撃に2頭を叩き潰した。戦いは短く、一行の連携で魔物を全滅させた。

ミリアが「リリィちゃん、大丈夫?」と駆け寄ると、リリィが「うん。斬れたから」と淡々と答えた。ガルドが「相変わらず冷てえな。お前、魔物相手でも平気だな」と笑い、レオンが「この調子なら、ルナリスまで何とかなるな」と呟いた。一行は魔物の死体を道端に寄せ、旅を続けた。



3日目の夜、山脈の峠で新たな魔物が現れた。巨大な蜘蛛のような姿の「アラクノイド」で、8本の脚と毒針を持つ怪物だった。

アラクノイドが糸を吐き、一行を絡め取ろうとした。

レオンが「糸を切れ!」と剣で糸を斬り、ガルドが「近づかせねえ!」と戦斧で脚を叩き潰した。

ミリアが「炎よ、焼き尽くせ!」と火球を放ち、アラクノイドの体を焦がした。

リリィは無表情で狩猟刀を手に、アラクノイドの背後に回り込んだ。

毒針が彼女を狙ったが、リリィは体を低くしてかわし、狩猟刀で毒針を根元から切り落とした。

アラクノイドが悲鳴を上げ、リリィに襲いかかると、彼女は冷静に間合いを詰め、刃を腹に突き刺した。

魔物が倒れると、リリィが「終わった」と呟き、血を拭った。レオンが「ナイスだ、リリィ」と褒め、ミリアが「リリィちゃん、すごいよ」と微笑んだ。

4日目の朝、山脈を越え、眼下にルナリスが見えた。石造りの街並みが広がり、中央に崩れかけた塔が立っていた。

街は寂れ、廃墟に近い雰囲気だったが、煙突から煙が上がり、住人がいる兆しがあった。

レオンが「ルナリスだ。先代の勇者が作った街…ここで魔王城の情報が得られるはずだ」と呟き、一行は街へと降り立った。


ルナリスの入り口には古びた門があり、「勇者の遺産」と刻まれた石碑が立っていた。

街の住人は少なく、市場は閑散とし、人々は一行を遠巻きに見つめた。

レオンが「不穏な空気だな。だが、ここまで来たんだ。情報を集めるぞ」と決意を固めた。ガルドが「魔王の手下が潜んでてもおかしくねえ。気をつけようぜ」と呟き、ミリアが「先代の勇者の街…何か感じるよ」と呟いた。

リリィは無表情で「魔王を倒す。それが正しいことなら」と呟き、狩猟刀を握り直した。

一行は街の宿屋に荷物を置き、ルナリスでの調査を始めた。

先代の勇者が残した遺産と、魔王城への手がかりを求めて、新たな戦いが待っている予感がした。


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