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異世界美少女達よ、ぼっちだった俺を攻略できるもんならやってみろ~最強無敵の力はハーレムラブコメに使うらしい~  作者: 白銀天城
二年生編

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邪魔な横槍を潰せ

 ギルド戦当日。学園内で違法賭博やっている連中を捕まえるわけだが、これが結構難しい。やつらは毎日仲良く会ったりしない。当日に集会を潰すしかないだろう。逆に言えば当日は会うしかない。予想外の巨大な取引だ。なあなあで済ますのは無理だろう。そこを狙う。


「フウマの情報によると、怪しい場所は近くの酒場。だが会場で何かするかもしれない。よって酒場での現行犯逮捕組にリリアとシルフィ。会場警護組に俺とイロハを入れる。本職の皆さんの邪魔にならないように、犯人を確保していこう」


「はーい。こっちは任せてね!」


「うむ、妥当じゃな。こっちは衛兵も多い。心配せんでよいぞ」


「むしろこちらの難易度が高いわ。ギルド戦を止めないように、静かに迅速に捕まえていかなければいけないもの」


 こっちにも正規の隠密部隊が編成されている。あくまで邪魔しないようにギルド戦を守ろう。早速観客席に混ざって異変を調べていく。


「試合はまだ始まったばかり。いきなり手を出すとは思えないが……」


 試合はちょうど前衛部隊が戦闘に入ったところだ。こういう試合ってほぼ見たことないし、できれば仕事抜きで見たかったな。


「既に差し入れに痺れ薬が入っていたわ。油断してはダメよ」


「見境ないなおい」


「そうね、相手は下っ端を使って邪魔さえできればいいのよ。だから……捕まえたわ。こういう敵がいるの」


 足元に影に縛られた男が転がっている。手には炸裂弾や銃。間違いなく厄介なやつだ。最速で兵士に引き渡す。


「もう邪魔が入るのか。予想以上に焦っているのかもな」


「そうね、じゃあここでアジュの勘を磨きましょう。もう一人いるわね?」


 なんか俺の修行みたいになってきた。周囲を軽く見渡し、それぞれの魔力をぼんやりと図る。右手にやけに集中しているやつがいる。客席の一番前で、闘技場の戦士を狙っているようだ。


「あれか」


「魔力探知がうまくなったわね」


「なんか……客席の結界が弱い?」


 普通は客席に魔法が飛んだりしないように、ちゃんと結界が張られているはずだ。見えなくとも存在し、強固に設置されるのだが、なんか足りない気がした。


「狙撃するつもりかしら。だとしたら狙うのはギルマスかエースね」


「だろうな。最初にやったらバレるから、後半の乱戦でやる方がいいだろ」


 とりあえず怪しいやつが魔法を発動しようとしているので、気絶させて運ぶ。


「ザコを潰しても意味は薄い。狙撃手を探すぞ」


「……フィールドが妙ね。外から干渉を受けているわ」


 イロハのセンスを信じて外へ出る。会場のすぐ近くに小屋があった。


「こんなのあったか?」


 中を除いてみると、黒フードの集団が魔法陣に群がっていた。不気味な魔力がうずまき始めている。


「はーっ、エリスタークよ、死ね!」


「呪いはおやめくださーい」


 窓ガラスをぶち割って、後頭部に蹴りを叩き込む。驚いている連中に電撃を放ち、ほとんどを無力化した。あとはイロハが縛り上げて終わり。


「くっ、どうしてここがわかった!」


「こんな小屋は五日前までなかったわよ」


「建てたのさ、大の大人ががんばってなあ!」


「ライトニングフラッシュ!」


「ああああ壊すなあああああ!?」


 小屋は跡形もなく吹き飛ばした。だがまだ邪気が流れている。なんだこれ。


「ここが壊されても……まだ第六小屋が残っている……」


「第六!? あと最低五個あんのこれ!?」


「ククク……オレ達は止められんぞ……精々足掻けうがあああ!?」


 腹が立ったのでクナイで耳を突き刺してやった。犯罪者のカスが調子乗りやがって。皆殺しにして遊びたい。


「詳しく話せ。こいつみたいになりたいか?」


 横にいた黒ローブの男の鼻を斬り飛ばす。叫ばれてもうるさいので、しっかり気絶しているやつでやった。


「話す、何でも話すから……」


 金で雇われて呪いをかけていたらしい。小屋は闘技場周辺に八個ある。狙撃手のことは知らないが、一流を雇ったとのこと。クソめんどいわボケ。


「情報はすぐ周知されるわ。近場から潰しましょう」


「しょうがねえなもう……」


 そして次は三階建ての塔が待ち受けていた。扉の前に門番らしき男もいる。


「フハハハハ! よく来たな。だが最上階までたどり着けなければ……」


「ライトニングフラッシュ!!」


 めんどくせえ。魔法で最上階をふっ飛ばす。


「あああああ!? てめえ登れや!」


「雷光一閃!」


「があああああああ!?」


 門番もぶっ倒した。よし、これで一個攻略。さくさくいこう。


「今回かなり雑ね」


「ぶっちゃけめんどい。まだまだあるんだぞ」


「私も正直飽きるわ」


 次は闘技場近くの浮いている一軒家だ。地面ごと浮いている。


「浮かべる理由は何だよ」


「はっはっはっはっは! これで入ってこれまい!」


「ライトニングフラッシュ!」


 だが家ごとすいーっと移動され、しかも結界でダメージを軽減された。


「ふはははは! どうだこの機動力は! ばーかばーか!」


「殴れ」


 影の拳が浮遊住宅を丸ごと殴り飛ばした。瓦礫が飛び散り、ザコも飛び散っていく。少しだけ気が晴れた。


「ザコに追い撃ちのサンダースマッシャー!」


「ぎゃああああああ!?」


「地味にイラッと来たわボケ」


 完全崩壊した浮遊拠点をあとに、次に向かうのは闘技場の内部だ。地下室へ向かうと呪いのお札がびっしり貼られている。


「はいはい焼けばいいんだろ!」


 電撃で全部焼くと、封じ込められていた邪気が化け物になっていく。


「無駄よ」


 イロハが光速で処理してくれるから気にしない。あとはどうやって狙撃手を見つけるかにかかっている。試合を見に戻ってみたら、雪山フィールドでエリスタークと、敵大将ミルドリースが戦っている。


「ははっ、相変わらずちまちました動きね! 観客が盛り上がらないじゃない!」


「これはスマートでクールな戦闘というんだよ。派手なだけが戦闘じゃないぜ」


 ド派手な爆発が起こり、雪崩がフィールドを染めていく。だがエリスタークは氷の壁を出して雪崩の流れを変えて的確に処理していった。


「そこだ!」


 エリスタークの魔弾は炎。そして回転しつつえぐりこむように進む。高威力の貫通弾がミルドリースまで届き、腕を負傷させる。


「精度が上がったね!」


「ふっふっふ、これが特訓の成果だ!」


 観客席で目にすると見ごたえのあるバトルだ。それはそれとして。


「あのアホな特訓、結果出ちゃったな」


「マリアの苦労は続きそうね」


 少し同情しながら捜査続行。魔力反応が見つからない。狙撃の仕方が違うのか?


「まずいな、急がないと」


 フィールドはマグマと雪が混ざり、荒れた大地が増えていく。どんどん遮蔽物が消えていって、さらに選手をスポットライトが追う。サドンデスモードか。


「……ん?」


 ライトの当たった部分の雪が溶けている気がした。


「ライトだ。ライトのシステムと威力を調べるんだ。地面が焦げるくらい熱いやつを探せ」


 すぐにイロハの影がライトを追う。全てに包囲網が敷かれると、いくつかのライトの威力がおかしいことに気づく。


「これじゃ致命傷にはならないわ」


「最後に不意打ちができればいいんだろう。殺す必要はない」


 ライトはそれぞれの位置からスタッフが操作している。スタッフは全員同じ服と帽子だ。一人で複数操作しているやつもいる。束ねれば結構な熱さだろう。


「いけない、そろそろ決着よ」


 エリスタークとミルドリースが中央で撃ち合いを始める。お互いに足を止めて最大魔法を放つ気だろう。つまりこちらの時間がない。しょうがない、敵が優秀であることを祈ろう。修理費は学園持ちで頼む。


「クナイが足りない。影で五本作ってくれ」


 質問することなく瞬時に作ってくれる。おかげで間に合いそうだ。


「はあああああ!!」


「でりゃあああああ!!」


 魔力の波がぶつかり合って中心で止まる。力が拮抗しているのだろう。つまり動けない。実行に移すなら今だ。


「ライトニングジェット!!」


 スタッフに当たらないように、それぞれ担当者がついているライトを破壊した。あとはそのうちの一人に移動する。


「終わりだ!」


 剣を振ると、袖に隠していた杖で受け止められた。放たれるはずの魔力は、俺の攻撃を防ぐ魔法の剣として使用される。


「ぐっ……なぜわかった」


「プロなら作戦は二重三重にするもんだ。ライトが破壊され、瞬時に次の行動に移ったのはあんただけさ」


「そんな方法で……ぐはっ」


 敵が優秀であろうと、イロハの速度に追いつくことはない。イロハがこちらに気づいた瞬間には、敵は気絶した。


「はあ……とりあえずミッション達成かね?」


 試合はエリスタークの勝利で終わった。横槍が入ることなく決着が付き、闘技場が歓声に包まれる。


「お疲れ様、かっこよかったわよ」


「そうかい」


 あとは違法賭博の胴元がどうなるかだけだな。

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