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異世界美少女達よ、ぼっちだった俺を攻略できるもんならやってみろ~最強無敵の力はハーレムラブコメに使うらしい~  作者: 白銀天城
二年生編

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曖昧魔法奥義「わしとおぬしのなつやすみ」

「曖昧魔法奥義! わしとおぬしのなつやすみ!!」


『さっきと名前ちがくね!?』


 くどいようだが二年目の四月だ。そして風景が田舎の夏っぽく変わる。葛ノ葉の里に似ているのは、イメージしやすいからか。


「夏を満喫してやるのじゃ!」


「そうだな。始めよう」


 そしてエアコンの効いた部屋でゲームをする。冷たい麦茶もあるぜ。


『すげえ現代っ子だー!?』


「外は暑いからな」


「まったくじゃ」


『なんのために夏にしたんだよ!!』


 なるほど、こいつが全部ツッコミやってくれるんだなと理解した。


「寝るか」


『動けや!!』


「川にスイカ冷やしてあるのじゃ」


「いいね、行こうか」


『そうそう夏っぽくしろって』


 川は綺麗で穏やかな涼めるスポットだ。きっと釣りとかしたら楽しいんだろうな。


「スイカはあの網の中じゃよ。まずはほれ、釣竿じゃ。のんびりやるとしようかの」


「ナイスだ」


 二人でのんびり釣りをする。こういうのどかな時間こそが俺の求めているものだ。


「おっ、引いたぞ」


「ゆっくりじゃぞ。焦っては負けじゃ」


『なんかすげえのんびりしてんね。これバトルだったはずなんだけど』


 やがて俺もリリアも一匹釣れた。やっぱ釣れると面白いな。釣り趣味にしてもいいかも。


「よっしゃいい感じ」


「ニジマスじゃな。帰って料理してもらうのじゃ!」


「うっしスイカ出すぞ」


 リリアと網を引っ張り、いきのいいラーが取れた。


「げっほ!? ぶっはあぁぁ!!」


『ラー出てきたー!?』


「おっ冷えてるかー?」


「バッチェ冷えてるのじゃ」


『そいつ太陽神だからやめてあげて!?』


 ニジマスを同じ網に入れると、ラーの顔にぴちぴち当たっていた。


「みんな元気じゃのう」


『ご先祖様に容赦ねえな!?』


 家に持ち帰ると卑弥呼さんがスイカ切って待ってくれていた。


「お帰りなさい。スイカ切っておきましたよ」


『ラーの意味は!?』


「ふふっ、無駄死によラー」


『こいつもっと容赦ねえ!?』


 スイカうまい。そういやこっちで食った記憶ないな。今のうちに味わっておくか。


「まだまだ私を倒すには足りないぞ。これでも最上級神だ!」


「ラーもスイカどうぞ。スイカ役で疲れたでしょう?」


「ありがとう卑弥呼。スイカ役なんてやるものじゃないね」


 みんなで仲良くスイカを食べる。ペットのクワガタにもあげたら、飼育箱から出てしまった。元気なやつだ。


「おやおや箱から出てしまったね。戻してあげよう」


 ラーの手がクワガタのツノに弾かれる。


「触んな」


「えっ」


『クワガタに拒否られてる!?』


 ラーがショックを受けているうちに別室へ行ってスタンバイの用意をする。


「こんなことでめげる私ではない! そこか!」


 ラーが勢いよく襖を開くと、そこはジャングルだった。


「何い!?」


 客を待たせるわけにはいかない。俺はマイクを持って舞台に立つ。


「みんな、今日は魚市場でのライブに来てくれてありがとう。港町は初めてで緊張してます」


『おもっくそジャングだよ!!』


「ラー&その他の音楽、胸に刻んでいってくれ。最高の夜にしようぜ!」


『MCだっせえぞあいつ』


「まずボーカル、サワガニ」


 俺の足元で今にも踏み潰されそうになりながら懸命に生きている。その姿に可能性を見た。


『ちっちぇえしマイク届いてねえ!』


「ギター、毛ガニ。ベースのワタリガニ。ドラムはズワイガニ。ラー、お前はクビだ」


『入ってもいねえのに!?』


「カニごときに混ざって遊ぶほど、太陽神は安い存在ではないさ! ごっふええぇ!?」


『血を吐いたああぁぁ!?』


「愚かなラーよ。この世界ではカニに敬意を払えない奴は死ぬんだぜ」


『すげえクソルールやん』


 この世界のルールは俺が決めるのだ。そしてリリアがメンバーを鍋に入れて煮込み始める。


「豆腐も入れようぜ」


「ニラとネギもじゃな」


『敬意持ってねー!?』


 リリアといっしょにいただきますと言って食べ始める。丁寧に身をほぐして食べると、新鮮で最高にうまい。


「なぜだ……二人ともカニを料理して食べているのになぜ死なない! カニを食べているんだぞ!!」


「食べ方を見てくださいラー。身を丁寧にほぐし、食べ残しを作らない。そして殻をちゃんと器に捨てている。彼らは食材に感謝して食べているのよ」


『食材って言っちゃったよ』


 ラーの前に食べ切ったカニの殻を差し出す。


「こいつはもう捨てるだけだ。最後くらい、父さんと呼んでやれ」


「と……父さん……」


 カニの殻を抱きしめるラーからは、本気の別れの悲しさが広がっていた。

 そして俺とリリアはダメージを受ける。


「がはああぁ!? なんだと!?」


「しまった……本気でカニの魂を弔っておる」


「その通りだ。なんとなく雰囲気とかそういう感じのやつで、私は君たち以上にカニを尊敬し、敬愛した。よってダメージは反射する!!」


 とどめを焦りすぎたか……俺らしくもないぜ。だがまだここからだ。カニを食した俺たちは栄養の面であいつより上だ。さらに豆腐にはイソフラボンというとてつもないエネルギーがあることは海外の大学とかが発表しているはず。まだ負けない。


「太陽神奥義! カニの納涼肝試し!!」


 食べたはずのカニたちの霊が、一斉に俺に襲いかかる。その鋭いハサミを防御するのは一苦労だ。


「よくも食いやがったなああああ!!」


「カニの怨念を思い知りやがれ人間!!」


『やっぱ食われたくなかったんだ!!』


 まだだ、まだこんなことじゃ終われない。俺とラーから離れて、晩飯のそうめんの用意をしているリリアと卑弥呼さんのためにも、ここで負けるわけにはいかないんだ。

 リベリオントリガーをフルパワーにして、カニの怨霊を殴り飛ばした。


「カニごときが調子のんなああぁぁ!!」


『感謝してねえー!?』


「ふん、カニごときを倒すのに時間がかかったようだね。こちらの準備は終わったよ」


 巨大なピラミッドの頂点にラーが立っている。なんかすごい似合っているけど、そういやそっち系の神だっけこいつ。


「汚いぞ! 自分の有利なフィールドにしやがって!!」


『どの口が言ってんだこいつ』


「ピラミッドパワーで太陽を落とす!!」


 巨大な太陽が俺に向かって落ちてくる。急にガチバトル始めるのはずるいぞ。急いで前半戦終了のホイッスルを吹く。


「ここまでか。仕方がない。後半戦で完璧に勝たせてもらうよ」


『司会者が知らんルール作るなや!!』


 セコンドに戻った俺をアイシングしながら、リリアがアドバイスをくれる。


「焦ってはならぬ。前半戦はこちらが点を稼いでおる。敵は一気に攻めてくるじゃろう。落ち着いて魔力を研ぎ澄まし、しっかり撃ち返すのじゃ」


「はい監督」


「まずはリラックスじゃ。美味しいランチの店を見つけたのじゃ。まずはしっかり食べてから、健康ランドでも行くのじゃよ」


『リラックスしすぎだろ! みんな試合見てんだよ!!』


 だが時間は待ってくれない。急に卑弥呼さんが後半戦開始のホイッスルを吹く。


「なんじゃと!?」


「しまった! あっちもホイッスルを持っていたか!!」


「この太陽、どうにかできるものならしてみたまえ!!」


「プラズマイレイザー!!」


 開幕ぶっぱしてみたが、俺の攻撃魔法じゃ太陽を押し返せない。このままじゃ炎でアフロになる。


「リベリオントリガー・タキオンメルトダウン! フルバースト!!」


 髪が虚無で紫に染まり、魔力が限界を超えて引き上げられる。これでも押し戻すには足りない。やはり自力の違いか。


「やれやれ、そろそろ出番じゃな」


 リリアが横で攻撃魔法を撃ってくれる。太陽が止まった。だがまだ押し切ることはできない。まだ足りない。


「諦めてはいけませんよ」


 卑弥呼さんがリリアの横で魔法をぶっ放す。均衡が崩れた。


『お前そっち側なの!?』


「ふっ、さすがだね卑弥呼。その性格、出会った時とこれっぽっちも変わっていない」


『そうなの!? お前それでいいの!?』


 太陽がラーに向けて押し戻されていく。もう少しだ。ここまできたら勝ってやる。

 ラーがよろけた瞬間、ピラミッドに登っていたクワガタに触れた。


「触んな」


「えっ」


「今だあああぁぁ!!」


 ラーの作り出した太陽を貫き、俺達の合体魔法はラーに直撃する。


「バカな……この太陽神ラーが! こんなバカなあああぁぁ!!」


 極大爆発に巻き込まれ、ラーは星になった。まったく……手間かけさせやがるぜ。


『勝者、アジュ&リリアチーム!!』


 会場が歓声と拍手に包まれる。

 こうして激闘の幕はおりた。

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本日のMVP:とおりすがりのクワガタさん 神ですら巻き込まれるしかないとは! 恐るべきボー〇ボ・ワールdげふんげふん曖昧魔法!
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