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異世界美少女達よ、ぼっちだった俺を攻略できるもんならやってみろ~最強無敵の力はハーレムラブコメに使うらしい~  作者: 白銀天城
ネフェニリタル観光編

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ものすごく平和な日々

 今日は昼から旅行について調べなければいけない。つまりまだ朝だから寝ていていい。ゆっくりしよう。


「あじゅがまだねてる」


「眠いからな」


「えいえい」


 シルフィがほっぺたをつんつんしてくる。


「やーめーい」


「起きるまでつっつくの術」


「まだ九時だぞ」


「朝起きる習慣をつけるのだ」


 何が楽しいのか、横に座ってつんつんしてくる。やがて起きないと理解したらしく、俺を持ち上げて座らせた。


「はいおきるー」


「まだねむい」


「だーめ、お金稼いだり、プラン見積もりとかするの」


「うぅ……しっかりしやがって」


「アジュがだらだらするからです」


 俺のせいか。まあそうだなうん。じゃあしょうがないね。


「わかったよ。ほら起きたぞ」


 完全に眠気が消えたので、そのまま水を飲んで思考をクリアにする。


「はい、着替え終わったわ」


 いつの間にかイロハによって俺の着替えが終わっている。

 脱いだ服は返してもらった。もう家だからね。試験期間とは違うのさ。


「じゃあお散歩に行きましょう」


 イロハが背中にのしかかってくる。散歩行きたい犬ムーブだ。首あたりの匂いを嗅がれているのでひっぺがす。


「毎日のお散歩は健康にいいのよ」


「否定はできんな」


 俺の足に顎を乗せ、尻尾を振りながらこちらを見ている。人の部屋でリラックスしやがって。顔を脇腹辺りにぐりぐりしてくるので横に転がしておく。


「アジュはただでさえ家にいるのだから、少し外に出るべきなのよ」


「そうだな、どの道出かけるんだし、まあいいか」


「イロハは昨日行ったから、今日はわたしだよ!」


「そうね、順番にしましょうか」


 そこは仲良しなんだな。散歩は諦めたのか、俺のベッドの上で丸くなる。


「人のベッドで寝るな。俺がいない時に部屋に入るのは禁止。失礼だろ」


「はーい」


「そうね、じゃあ下に行きましょうか」


 でもって朝飯食って、今はシルフィとクエストカウンターへ。短期間で稼げるやつを探す。別に貧乏じゃないが、ただ出費だけが増えるのはいただけない。


「やはり報酬が高いやつは難易度も高いな」


「そうだねー、学園はそのへんの審査もきっちりしてるから」


 なかなか楽な仕事というものはない。逆に言えば働いた分だけきっちり報酬があるので、そこは一長一短だろう。


「あらアジュくんにシルフィさん」


 フランがいる。今日は一人みたいだ。


「フランもクエストか? 試験終わったのに熱心だな」


「そっちもね。今は試験で覚えたことを活かせないかなって思ってるの」


「わたしたちは短期でお金になるクエストかな。そうだ、ネフェニリタルに旅行に行こうと思ってるんだ!」


「あらそれはいいわね……ちょっと待って。それそっちのギルド全員来るの?」


「もちろん四人全員だ」


 フランが渋い顔になった。シルフィも少し申し訳なさそうにしているが、俺には理由がわからん。


「それ国賓になるわよ」


「あちゃー、やっぱり? 内緒にできない?」


「内緒にしてバレたら大騒ぎになりそうじゃない? 大丈夫?」


 どうやら王族二人がやってくると大変らしい。それもそうか。下手に怪我でもされたら国際問題になる。


「王族って結構大変な暮らしなんだなあ」


「少なくともみんなが思うほど自由で豪華な暮らしはできないわね」


「だねー」


 どうやら無理らしい。気難しい世界なんだろうな。断片的にだが体験した結果、少し同情するわ。


「とりあえず黙っていてくれるとありがたい」


「私も一緒に行ったほうがいいのかしら?」


「やめとけ。絶対にしんどいぞ」


「うーん、フランさんはいい人だよね。だから迷惑かけたくないなあ」


 そこである。世話になったのに恩を仇で返すみたいでめんどい。そういうのは無駄に遺恨とか残って邪魔になる。


「アジュくんのお世話なら少しできるわよ」


「実質副官だったもんな。だがやめておけ。一緒にいることでトラブルがあった場合、知り合いと殺し合いになるかもしれないんだぞ」


「大袈裟ねえ」


「大袈裟じゃないよ。わたしたちはその、ちょっと特殊な状況だから、超人でも神様でも斬る時は斬っちゃうし……」


「何する気なのよ……シルフィさんだけじゃなく、アジュくんも強いのは知っているけれど、無茶しちゃダメよ。超人に手も足も出なかったじゃない」


「ん?」


「え?」


 あれフランって鎧のこと知っていたっけ?

 試験期間中に色々ありすぎて覚えていない。


「俺の鎧見たことあるか?」


「鎧って何?」


「おやあ?」


 どうやら関係者の中には入っていないようだ。マジか。かなり意外だ。


「あー……っと一気に説明が難しくなったな」


「いっそ8ブロックのみんなを招待しちゃおうかしら」


「絶対に何か起きるだろそれ」


 今までの経験からやばさが滲み出ている。見えている地雷であった。地雷を手掴みでぶん投げられている気分だ。


「俺は混ざらないぞ。女が多すぎる環境はきつい。こいつら以外と旅行は無理」


「みんな予定があるでしょうし、実現は難しいわね。それで、ホテルは決まっているの? ちゃんとばれずに旅行できる?」


「こっそり行ってこっそり帰ってくれば大丈夫だよ。予約はアジュとリリアの名前ですればいいし」


 実際これがベストだと思う。大事にすると何が起きるのか予想がつかない。お忍び旅行が無難で楽しそうだ。


「そううまくいくかしら?」


「治安はいいんだろ?」


「もちろんよ。それとビーチは綺麗で高い場所を選ぶのよ? あんまり人の多い場所は目立っちゃうから」


「目立つ?」


「ギルドの子達の容姿じゃ目を引くわ。リラックスできるように、高級ホテル付きのビーチか、入場料のかかる高級な場所に行きなさい」


「なるほど、助言感謝する」


 いいね。やはり現地生まれの人間がいると話が進む。おすすめスポットや治安のいい場所、ホテルの質なんかを教えてもらう。


「ガイド役がいるといいわよ」


「いざとなればリリアができそうだな」


「自分で調べるのじゃって言うかもよ」


 言いそう。五分五分だな。だがガイドねえ……あまり第三者を入れたくない。


「アジュくんはどうせ魚介類が食べたいだけでしょ」


「俺そんなわかりやすいか?」


「興味の対象に邪念がないというか、いい意味で純粋なのよね」


「ちゃんと景色とかも好きだぞ」


 食い意地張っているやつと思われるのは心外である。しっかり景色も見る予定なのだ。


「少年の心を忘れないんだね」


「がっつり少年なんだよ」


 男の子はテンション上がる理由が単純なのさ。シンプルでいいことじゃないか。リゾートは楽しむためにあるのだ。


「故郷を楽しんでくれるのは嬉しいわ。聞きたいことがあったら何でも聞いてね」


「助言感謝する。なんか受けたいクエストとか解決が困難なトラブルがあれば協力するぞ」


「……変なとこ義理堅いわね」


「借りは等価で最速で返す。遺恨が残るのも忘れないようにするのもめんどい」


「取りに行きたいものとか、行きたいダンジョンとか、倒したい魔物とかいたら教えてね。協力するよ!」


 なんならフランのクエストに同行してもいい。今はクエの量が多くて探すのも苦労するからな。それっぽいのに行ってもいい。


「ギルメンはみんな強いから安心しな」


「アジュくんも頑張りなさい」


「俺を戦闘員に入れるな。今はギルメンがみんないるからいいだろ」


 この安定感はすごいぜ。絶対戦わなくていいのだ。感謝してもし足りないねえ。


「そうやってすぐだらける」


「適材適所さ。俺達の連携に入ることなどできんのだ」


「ほほう、ならばこのやた子ちゃんが挟まろうではないか」


「おう帰れや」


 やた子はいつも唐突に出てくるよね。登場に脈絡も必要性もないから行動が読めない。


「また連絡事項か?」


「単純に暇っす」


「おう帰れや」


 俺を見かけて暇だから話しかけたらしい。毎回重要事項の配達係じゃないんだなあ。


「前に見た郵便屋さんというか、学園の人よね?」


「ういっす、やた子ちゃんっす!」


「暇なの珍しいね」


「戦士には休息が必要っす。じゃあスイーツの楽園へ行くっすよ」


「勝手に行ってこい」


 こいつ甘いものとか好きなのか。フリストと同じく年頃の女っぽい味覚と趣味なんだな。似合っているので否定はしない。


「一緒に行くっす!」


「俺が浮くだろ」


「だからみんなで行くっすよ!」


「アジュ甘いもの平気でしょ。行ったことない場所には行ってみよう!」


 なんか乗せられて行くことになった。小腹が減っていたのでまあいい。別にケーキ嫌いじゃないしいいだろう。そして四人で店に入った結果。


「妙な所で会うもんだな」


「そういや甘党だったなお前」


 ヴァン、ソニア、クラリスがいた。

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