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異世界美少女達よ、ぼっちだった俺を攻略できるもんならやってみろ~最強無敵の力はハーレムラブコメに使うらしい~  作者: 白銀天城
第十七章 Dランク試験編

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まーたスクルドだよ

 金庫のような小屋という、斬新で桃源郷に似つかわしくないものを見ているヴァルキリー発見。

 急遽物陰に隠れて監視。


「誰だあれ?」


「遠くてわからないわね。新造だったり、世代交代してたらわかんないわ」


「しばらく様子を見よう」


 何かの装置を床に置いている。

 やがて装置中心に魔法陣が展開し、中から女が出てきた。


「スクルド?」


 何度も見たし、何度も殺した顔だ。

 ヴァルキリースクルド。ここで出てくるか。


「予定より遅れていますよ」


「予想外の邪魔が入った。処分する予定の部下に潰させている」


 あいつら処分されるのね。敵からもいらないやつ扱いか。


「急ぎましょう。そちらの色違いの壁を外してこちらへ。妾は屋根を見ます」


 なにやら小屋を分解し始めた。

 何やる気なのかわからんし、手軽に分解できるのもわからん。

 壁や屋根を外して、別の位置に取り付けているようだ。


「どういうことだ?」


「あの金庫自体がパズルなんじゃろ。組み立てる時間へ行ったスクルドが解き方を知っておるのじゃ」


「なるほどな」


 すぐに組み立ては完成した。

 カチリと音がして、光速で無から美術館が組み立てられていく。


「どういう理屈よあれ」


「神のやることじゃ、面白おかしく超パワーでどうとでもなるのじゃよ」


 二人は館内へと入っていった。


「遠くから見る分には愉快だな。追うか?」


「中で何をするか知っておくべきじゃな」


「戦闘になったら宝壊れないか?」


「神器はそう簡単には……アジュなら壊せそうね」


「気をつけよう」


 そっと侵入。中もかなり豪華な作りだ。

 どっかの宮殿だと言われれば納得する。


「敵は?」


「二階ね。奥にいるわ」


 このスパイっぽい行動が少し楽しい。

 やがて黄金の大扉の前にいるヴァルキリーを発見。


「開いたわ。早く運びましょう」


「動かないで!」


 奥に入る瞬間、こちらに背を向けた状態で動きが止まる。


「追手? 体が……動かない……?」


「振り向かずに答えなさい。あなたの目的は何?」


「スリマ、どういうことです?」


「予想より強い相手が混ざっていたようね」


 片方がスリマと判明。偽名かもしれんけど。


「質問に答えなさい」


 スクルドが宝物庫から何かを引き寄せている。

 そんな魔力が見えた。


「答えれば見逃してくれるとでも?」


「それは後で考えるわ」


「そう、答えましたね?」


 急激に引っ張られるアルヴィトの腕を掴む。


「きゃっ!? ちょっと何よこれ!」


 スクルドの手に大きめの箱がある。

 人間くらい数人入りそうだ。あれに吸い込まれそうになっているらしい。


「質問に答えると吸い込まれる箱です。便利でしょう?」


「確かにな」


「答えましたね?」


「おう」


「ちょっと何やってんのよ!?」


 無論わざとである。吸い込む力より鎧の方が強いのだ。

 何の抵抗もなくその場に立っていられる。


「……神器が効かない?」


「俺が言うのもなんだが、あんまり道具に頼りすぎるってのも考えものだぞ」


「確かにおぬしに言われたくはないのう」


 自覚はあるよ。改善するかは微妙だね。明日か来年か老後の俺が考えるだろ。


「あれ壊していいか?」


「神器だから慎重に扱ってもらえると助かるわ」


「えー……もう魔法流しちゃったぞ」


 箱の中から俺の魔力による光が溢れ出す。

 微量の魔力を吸い込ませることなど容易いのだ。


「はいどーん」


「離れますよ!」


「わかった!」


 敵が急いで箱を別方向へと投げ、スリマがこっちへと飛んでくる。


「はいご苦労さん」


 片方に腹パン決めて意識を刈り取る。


「うっふえ!?」


「おやおや、光らせただけですか」


「逃げたか。抜け目ないねえ」


 スリマを盾にして転移魔法で俺たちから距離をとったか。

 やはりスクルドが一番厄介だな。


「そう、光るだけ。小細工だが効果あったろ?」


 発光させてびびらせただけ。引っかかってくれてよかったよ。

 箱の蓋を閉める。これで吸い込む力もなくなった。


「なるほど、どこで手に入れたエインフェリアか知りませんが、アルヴィトなら納得です」


「あたしを知っているのね」


「当然。知っている時間軸から来ましたよ」


「ならわかるでしょ? 詰みよ。両手を上に挙げて動かないで。こちらの質問にだけ答えなさい」


 スリマはリリアが魔法で捕まえてある。

 めんどいからもう抵抗しないでくれ。


「少々驚いています。アルヴィトはともかく、そちらの二人も未来にはいなかった。平行世界すら存在していないのでは?」


 扉の奥からアルヴィトが出てきた。二人組か。

 三人目はやはりいないのだろう。桃源郷にはいない。

 探ってみても俺たちを見ている気配もないな。


「自分を着飾るというのも、不思議なものですね」


 指輪や腕輪やら武器やらを大量につけている。

 それを少し動けない方にもプレゼントしているようだ。


「あたしの権限が弱くなった?」


 もうスクルドは動けるようだ。魔力が膨れ上がっている。


「神の力で命令権を跳ねのけているのですよ。それでも動きづらさは感じますが」


「わざわざ泥棒家業に身を落として、結果アルヴィトから逃げただけとはね。案外弱そうな奴らで安心したよ」


 情報を引き出すためにも挑発してみよう。

 煽ったら何か言ってくれないかな。


「おやおや、その程度の浅い見識で妾と対等に口をきくとは、愚かな人間もいたものですね」


 おおう、煽り返されたぜ。前もこんなことなかったっけ。

 妙に煽り耐性高いな。


「エインフェリアごときが無礼とは思わないのですか? 身の程をわきまえた発言を心がけてくださいね」


「敬意をはらいなさい」


 ステレオで煽られています。ちょっと面白い。


「悪いね。まさかこんな弱そうなこそ泥がヴァルキリーとは思わなくてさ。はらえそうな敬意が見つかったら善処するわ」


「口だけは達者ですね。芸人でも目指してはいかが?」


「笑いものにしやすい冴えない顔ですし」


「そうだな。ヴァルキリー様でも閃光に引っかかってくれたし、口先と小手先の芸は保証されたな」


「なんて醜い争いなの……」


 楽しくなってきちゃったので、じゃれあってみる。

 ついでに小賢しい手段でもやっときましょ。


「そっちの情報をちょっとは渡してくれよ。お前らが何者で、どうしてこんなことをしているのか何もわからないんだぞ」


「そちらの情報と引き換えではいかが?」


「ものによるのう」


「こちらのヴァルキリーと神々を消している存在がいるはず。冥府にすら届かないほど完璧に。それがどの神で、どういう手段なのか不明です。足取りすら掴めない」


「主要な神々は争いはしても、完全に消すほどの大戦は行われていない。正体不明の敵がいます」


 完全に俺だな。他にも同じことをしているやつがいるかもしれない。

 現役の達人や勇者がやっているのかも。

 そうなったら本当に正体不明になるな。


「知らん。そういうのって最上級神とかがやってんじゃないのか?」


「まず間違いなく広まらない話じゃな。トップが隠して折ったらおしまいじゃ」


「あたしも知らないわ。正直初耳よ」


「ヴァルキリーのトップといえど、所詮は小間使いですか。人間などと長話をするだけ無駄でしたね」


「そういうことさ」


「はいはいそこまでじゃ。スクルドは邪魔くさすぎて不要じゃ。消しておくべきじゃな」


 情報の共有をされると厄介だ。確実に逃さず殺す必要がある。捕獲も危険。


「できるかどうか、あなたの命で試してはいかが?」


「早速敬ってもらいましょう」


「気をつけて、何か仕掛けてくるわ!」


「こっちはもう仕掛け終わったよ」


 神器の力を開放して、一気に勝負を決するつもりなんだろう。

 だが甘い。光速の数百倍で指先から真空波を放ってある。

 それで神器とスクルドの繋がりだけを断ち切った。


「神器は傷つけちゃいけないらしいからな。余計な手間かかっちまったぜ」


 なーんにも力を貸してくれる気配がない神器さん。

 それに驚くと同時に、俺とリリアに切り刻まれ、魔力波で消し飛ばされる二人。


「隙だらけじゃな」


「余裕は油断を生むねえ」


「あんたらとは絶対戦いたくないわ」


 うむ、教訓としよう。神器は元あった場所にアルヴィトが戻す。

 その間は俺がスリマの監視だ。まだ眠っているので起こさずに作業を終えたい。


「宝物庫って複数あるか?」


「いくつかに分散しているはずよ」


「ならばそっちに行かれる可能性もあるのう」


「急ごう。ただし敵がいないか注意して、こっそり出るぞ」


「情報を引き出すのは?」


「後だ。なんならヒメノあたりに連絡する」


 とにかく急ごう。そろそろ堕天使も掃除が終わって、動ける神が増えるかも。

 アルヴィトを手伝い、さっさとそーっと外へ出た。


いつもブクマ・評価・感想ありがとうございます。

ヴァルキリー出しすぎてまだ出していないやつが誰かわからなくなってきました。

鍵とかも多少曖昧です。小説書く時は気をつけてください。

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