つぼ湯
熊野川を登りつつ、帰るルートを考えつつ誘導する。
今のところ此のルートで、寄りたい所が一箇所有るからだ。
そこは、湯の峰温泉と言う、温泉街で、温泉街と言っても、凄く小さな温泉の入れる所と言った方が正しい。
そこの温泉は、薬湯と言うのが有り、俺の全身打ち身&顔面の傷を癒やそうと言う俺だけの為に黙って寄ろうと思う。
国道168号線をぐんぐん上りつつ、途中で国道311号線に移る。
これでたどり着くはずだ!!
「何処だ?此処?」
「あれ?何処で道間違えた?」
「ニートさんってほんとに道知ってるんですか?」
「確かこの辺りで右折するはずなんですけどね~」
そんなことを話しながら道を進む。
そして、もう暫く進み、日が昇って、朝焼けが目に染みる頃やっとたどり着いた。
「やっぱり僕の鼻を騙す事は不可能のようだ...」
「うるせぇ!途中で、あっちからいい匂いがするって叫びまくった後、道に迷ってんじゃねぇよ!!」
「ニートさんがいい匂いって言ったのほぼ腐ってるお年寄りでしたよ?」
「よし!今日は此処でビバークをしよう!!最近変則的に過ごしたせいで、睡眠時間が全然取れてないんでね」
「おう!俺達の話は無視か!」
「此処にオススメの、温泉が有って、つぼ湯温泉と言って、凄く狭いんですが、独特の温泉が有るんですよね!!」
そんな会話をしつつ、ゾンビを撃ち殺していく。
「9mmの弾も切れそうですね~」
「ライフル撃つのも勿体無いしね~」
「後は動きがトロそうな年寄りゾンビだけかぁ?」
「動きが早いって言っても、知れてますけどね」
そんな会話をしつつ掃除をする。
ある程度掃除が終わり、建物のクリアリングを開始する。
建物って言っても、民宿が大半を占めているが、民家はこの際諦めて宿になりそうな所をクリアリングする。
「此処が一番高そうなんで此処にしますか?」
そう言いながら、選んだ宿は、旅館あずまやと言う旅館だ。
ゾンビが現れてから泊まろうとした人は少ないようで、玄関は比較的綺麗だ。
「限界を感じられる所だったんで、結構綺麗ですね」
「ニート...失礼過ぎるぞ?」
「竜崎さんだって、さっき自販機見て「此処は都会か」!?とか叫んでたじゃないですか」
「バールも見つけたんで、さっさと鍵壊して入りませんか?」
そう言いながら玄関を壊す。
バシャン!!と言う音と共にガラスが砕け、中に侵入する。
小声でお邪魔しまーすとだけ言って、中に入り、クリアリングをする。
「ほんとに高そうな旅館だな」
「僕がどんだけ逆立ちしても泊まれそうにないですね」
「ニートさん逆立ちしたら一人パイルドライバーする事になりますよ?」
そんな会話をしつつ建物を見まわる。
「どうやら職員達は、避難をしたのか、綺麗なようだな....」
「ここで、取り敢えずの飯と、風呂入って、一日だけ休憩しましょうか」
そう言いながら、俺達は思い思いに休憩を始めた。
「じゃあ風呂に入ってきますね」
そう言い、俺は、つぼ湯へと向かった。
あずまやをでて、道路向かい側の風呂屋へと向かい、川べりの狭い小路を辿る。
すると、小汚い(失礼)小屋が有るのでそこに入る。
「ふぅ」
そう言いながら服を脱ぎ、つぼ湯へと入る。
中は狭く、若干外が見える位の隙間があり、変な高揚感を保ちつつ、何処から引いているか分からない水道の蛇口を捻る。
すると、水が少しずつ出てきて、その水が出るペースと合わせつつ湯を混ぜる。
「どっこいしょ!!せいやぁ!!!おぅらぁぁぁ!!!」
「ニートォ!!大丈夫かぁ!!!」
そう言って竜崎さんが扉を蹴破り風呂場まで侵入してきた。
「湯を混ぜるだけで、キモい声上げんじゃねぇ!!」
「いやぁすみません!竜崎さん、肌くっついてるんでもう少し離れてくれません?」
「お前が太ってるから、狭いだけだろ!お前がもっと奥に詰めろ!」
「これ以上奥は、熱い水が出てくるんで、ちょっと...そもそも竜崎さんは外で待っとけばよかったんじゃないですか?」
「俺もさっさと入って、もう寝たいんだよ!」
俺はゆっくり入りたい。
すると、姫華ちゃんが、外から話しかけてきた。
「え!?二人で入ってるんですか?」
「ま、まぁ狭いけど...」
「おっさんとデブの絡み...最悪だなぁおい」
「キモい言い方やめて下さい!!」
そんな会話をしつつ、俺達は風呂を出た。
「ぜんぜん疲れが取れんかった...」
そんな会話をしつつ、竜崎さんの着替えを見ていると、拳銃とは別に、卵を持っていた。
「どっからそんなものひり出したんですか?」
「そんなもんケツからに決まってんだろ」
「うわ!きたねぇ!!」
すると、姫華ちゃんが扉を蹴飛ばした
「い、いやぁ~美味しそうな卵ですね!」
「だろ!コレで、温泉卵を作ろうと思ってな!!」
「でも卵って腐りやすいんじゃないんですか?」
「いや、時期にもよるが、これだけ寒けりゃなかなか腐ったりはしないぞ」
「話すり替えるのもいいですが、掃除してから、出てくださいね」
「「分かりました」」




