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脱獄?脱走?

しばらくすると目が覚めた。

まぁ目が覚めただけであって、意識がかなり混濁している。

起きているのはわかるが、体が動かないし、周りが何も見えないが、寝転ばされている事が分かる。

喋る気力も沸かないので、ぼーっと目をつぶる。


しばらく意識を手放しながら、何も考えられない状態でいると、自分は拘束されて袋か何かを頭に被せられて、車で移動していることに気づいた。


テイザーで撃たれた事にも気付き、意識がクリアになってくる。

撃たれた場所は首のようだ。

まだ意識が回復しきっていないので、ゆっくり横になる。

ぼーっと皆が今頃慌てて探しているのだろうかとか、首を撃たれたせいか、顔に力が入らないため、涎が垂れっぱなしですごい不快だなーとか色々考えていると、車が止まった。


すると車の扉が開き、引きずりだされたが、結構荒い。

頭を車のヘリにぶつけられて思わず声が出そうになった。


暫くすると、放り投げられ水を掛けられた。

かぶっているズタ袋もビシャビシャで呼吸がしづらい....いや、出来んぞ!?

気絶している素振りをやめ、藻掻くが、顔に向かって水を掛けられる。


呼吸困難になって、また意識が混濁するが、水圧の衝撃で、気絶は出来ない。


両手両足を縛られているから動けないし、苦しい。


苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい.....


息も絶え絶えになり、暫くするとズタ袋を脱がされる。


一気に深呼吸をしようと思った時にまた、顔に水を掛けられる。


口や鼻から大量の水が入り、咽る。


そしてフラフラになりながら相手の顔をみると知らない人だった。

まぁそれは当たり前なだけで、周りにはあの女と取り巻きのような男が数名見えた。

「起きましたかぁ?」

ぶっ殺してやろうか!起きるも何も嫌でも起きるわ!!


呼吸もやっと出来たので、呼吸を整えつつ返事をしようとするが、痺れでうまく喋れない

「ひゃひゅひぇひぇ」助けて!

こういう場合相場は相手を罵倒したり睨めつけたり唾を相手の顔に向かって吐きつけるが、そうも言ってられない。

「ふふふ!まだテイザーでのショックが残っているようですね」

誰のせいだ!俺のせいか?

「まぁあいいわ....そいつを牢に入れといて下さい」

そう言うと首の襟を捕まれ、壁がクッション製の部屋に入れられた。

ドサッと入れられ鍵を閉められる。

「夜までそこに居ろ!」

そう言われ扉を閉められた。

暫く呼吸を整えたりしながら、色々考える。

服装は、ベストと上着を脱がされた状態で、Tシャツ一枚だけで、下は、ズボンとベルトだけだった。

取り敢えずジップタイを外す。

まぁ外し方は簡単でだれでも出来る。

指の関節を外すとか無茶苦茶な方法はしないし、女性でも出来るお手軽な取り方だ。


まずジップタイをキチキチに締める。

そしてお腹に思いっきり脇を締めるように腕を引くとバチンと言う音と共に外れた。


足は、ベルトからワイヤーソーを取り出し切る。


見たところ窓はあるが、しっかり開かない。

扉は防音効果の高そうな扉で、叫んでも聞こえ無さそうだ。


外は二階のようで、飛び降りても死なないが、怪我しそうだ。


取り敢えずワイヤーソーで、窓に付いている開かなくなっている棒を切り落とす。


ギーギーずっと言っているが音は聞こて居ないようだ。

暫く続けると一本目が切れたので二本目を切る。


全ての(二本だけだが)棒を切り落とし窓を開けるが、若干体の幅的にやばそうだ。


先に右肩を通し体を斜めにしつつ体を通す。


イダダダダダ!!!!攣る!!攣る!!


そうしてずでっと体が雨樋に乗る。


周りには人が居ないようだが何も居ないわけでは無いようだ。

否居る。

まぁ見えているから居るといっただけであって、気配で居るとか言う超人的な事ではない。

明らか人じゃない奴が中庭に居る。

見たところ彼奴等は、一箇所に固まられて居るだけであって、他の通路とか見える所には居ないようだ。


しかし、コレで飛び降りてもゾンビに食い殺されるだけだから、どうしようかと思いつつ、屋上に伸びている梯子に手を掛ける。

タイムリミットは夜だから、現在の時間は、だいたい昼の十二時あたりか?

太陽の位置が真上だからまだ昼になるかならないか位だろう。


そして屋上に上り、周りを見渡すとそこまで人は居ないようだ。

俺を閉じ込めた奴も見かけない。

まぁ両手両足縛られていて、鍵付きの部屋に監禁されたら普通誰も抜けれないだろう。


たまたまジップタイの抜け方と、偶然ベルトにワイヤーソーが入っていたから抜け出せた。

まぁ全裸で部屋に入れられていたりしたら、諦めて夜になるのを待っていたが....


屋上から駐車場や、エントランスの出口付近を観察するが、車や人の出入りが全くない所を見ると、俺が抜けだしたことはバレていない所か、監視する人も本当に居ないのでは無いかとか思い出してきた。


屋上で、どうやって出口の所に降りるかとか、此処から基地までどの位だろうとか考える。

体感的に一時間弱くらい乗せられていた気分だ。


屋上の扉にガギが掛かっていたので、体当たりをするが開きそうにない。

仕方がないから梯子で、廊下に出れそうな場所を探す。

遅れたが、此の建物は、四階建ての、精神病院のようだ。

二階の窓を割り、侵入する。

暫く歩くと、エレベーターを見つけたが、ボタンがない。

鍵穴があり、そこで操作をするようだ。


まぁ電気が来ていないから意味ないか。


階段は、柵が着けられ、開きそうにもない。

ワイヤーソーで、切ったとしても先にワイヤーソーが壊れるくらい本数が多い。


取り敢えず置いてあったベッドで体当たりするとそこそこ効いたようで、少し歪んだ。

弱い所は、蝶番の所がダメージに弱そうだ。


二十回くらい繰り返すとベッドも壊れて、扉も壊れたが、扉は鍵の部分で、まだ引っかかってる。

新しいベッドを調達し、また体当たりを繰り返す。


暫く繰り返すと扉が開いた。


一階に降り、くねくねした道を進むと、水をかけられた場所に出た。

そこには、ベストと、上着と壊れた無線機があった。

「ちくせう.....まぁ短波だから届かないか....」

そう思いながらベストに入っていたタバコに火をつけようとライターを探すが見当たらない。


喫煙者の人達なら共感してもらえるだろうが、タバコがあってライターが無いかと、ライターがあってタバコが無いのとなら断然前者のほうがストレスが計り知れない。


イライラしながら火が点きそうな物を探すが見当たらない。


諦めて、出口から出ると自転車がおいてあった。

まぁ自転車が置いてあったと言うよりか、自転車を鍵かけて置いてあった感じだ。

また、ワイヤーソーを取り出しゴリゴリ削ろうかと思ったが、前輪に棒を刺すだけのタイプだったようで、蹴って壊す。

バキッ!という音と共に、ネジの部分から外れた。

見たところサビもかなり出ているが、タイヤはパンクしていない。

籠には穴が空き、ボロボロだがまだ走れる。

そう思いまたがる。

するとまだ俺は走れる!と言う声が聞こえた気がした。


自転車に乗り、坂を下り、暫くシャカシャカ漕ぐ。

GPSも何も持っていなかったせいで、看板を見ながら走る。


暫く走ると、自衛隊が検問を張っていた。

自分が行ったら、また捕まえられるかなと言う思いと、助けキタ━(゜∀゜)━!と言う重いが重なる。



「よし!」

そう言い、道を変えた。

少し引き返し、中道を通る。

まぁ、下手にコンタクトを取るより、こそっと裏を通るほうが安心して通れる。


そう思いながら進むと、何人か分からないが、会話声が聞こえた。


「旦那が生きていて本当に良かったわ」

「ええ....本当に息子が生きていて良かった....」

「そう言えば今日の自衛隊の方の配給みました!?」

どうやら、一般の人達のようだ。あたかも地元民という風に服を着崩して、自転車を漕ぐ。

ベストは、籠に引っ掛けて、上着は少し寒いが、ボタンを全部開ける。

ズボンは、カーゴパンツを履いていますと言う感じで、腰パンにして、前を通る。


「ん?貴方はどちらから?」

いきなり話しかけられた。

「すみません急いでるので」

「いや、何処に向かわれるのですか?」

あ、予想以上に人が居た。

「ちょっと自衛隊の人に話したいことがあって」

「ふ~ん....そうなんですか....」

怪しまれているな.....

「で、ではまた....」

そう言いながら遠ざかる。


暫く自転車で中道を通ると、前から自衛隊の車が走ってきた。

おい!バラしやがったな!!


また現地民の感じで、横を通り過ぎようとすると、車から窓を開け話しかけられた。


「すみませ~ん!不審な人とかって見かけませんでした?」

「いんや、俺はなぁ~んもみでねぇよ?」

「そうですかぁ...ちょっとお話とか大丈夫ですか?」

「今日は牛のはなごの世話有るからまた後でにしてくんねぇか?」

「いやーすみませんが嘘ですよね」

そう言われ自転車でさっと車の横を通り抜ける。

間一髪扉の横をすり抜けた。

相手の車は高機動車だ!此の狭さではUターンもできまい。


そう思い後ろを見るとバックで追いかけてきた。

「おらはなごの世話すんねぇと嫁さにおごられるッペ!!」

そう言いながら逃げるが跳ねる勢いで追いかけてくる。

まぁこのご時世だ。ゾンビが蔓延している状態で怪しい奴を拘束しないほうがヤバイ。


自転車で細い道を選びつつ走って行くと、高機動車が引っかかったようで、止まった。


「聞こえてたらでいいが、田沼源蔵さんにPMCを見つけたと伝えてくれ!」

そう言いながら自転車をシャカシャカ漕ぎ基地の方向に向かった。






ボーっと玉葱畑を見つつ知らないおじいちゃんから借りたライターでタバコに火を付ける。


「いやぁ~ライターを貸していただき有難うございます!」

そう言うとムスッとしながら此方をみていた。

「おいやそんなナリしてどないやしたんや?」

「いやぁ~軍事とか好きなんでこんな格好しているだけですよ」

「えらい若いしおいや自衛隊さんに迷惑かけとんじゃねぇか?」

「いやぁそんなことないですよぉ~....おじいさんが此処の畑を管理しているのですか?」

「せや、我がこのへんの玉ねぎ全部世話してる」

「へぇ!すごいですね!淡路島の玉ねぎすごい好きなんですよ!」

そう言うとやっと警戒を解いてくれたようだ。笑顔になった。

「そうかぁ!玉ねぎ好きなんか!どやこれ持っていくか?」

そいういい吊るしてあった玉ねぎを一房差し出した。

「いいんですか!?」

「ええよ!持って行き」

そう言われ貰う。

「後日なにかお返し持って来ます!」

そう言うとええよええよと帰ってきたが、笑顔で有難うございますと答えた。

「じゃあそろそろ行きます。ライターと玉ねぎ有難うございます!」

そう言うと「ん~」と帰ってきたので、その場を後にした。

まぁなんで玉葱畑に寄ったかというとタバコを吸っているおじいさんがいて、その火を貰うだけにダッシュした。



暫く走ると、自衛隊の検問があったが、どうやら基地の付近の検問のようで、此処は絶対通らなければいけないようだ。


....まてよ?あのヤンキーは何処から基地に入った?

そう思が、入り方が分からん

山道とか地道を通ったら入れるかもしれないが、そこまで無茶をして入っても特に危険を犯すほどのことでもないと思うが....


そう思いながら服装を戻し、少し砂を払い敬礼をする。

すると敬礼を返された。

「すみません田沼さんと取次できますか?」

そう言うと関係者以外はと言われたので、壊れた無線機を見せて

「PMCできたヒポクリトです出来れば、無線機も貸してください」

そう言うと慌てて無線機で連絡して、此方に無線機を渡してきた。

『ニート!お前何処に言ってたんだ!!』

そう言い叫ぶのは竜崎さんだ

『すみません!そこに女性で高圧的な女って居ますか?』

『ニートが帰ってきたと言う話で連絡に来た人に殴りかかった女が居たがどうかしたか?』

ビンゴ!!

『そいつが俺を攫った相手だ!捕まえておいて下さい!!』

『もう逃げた後のようだ殴りかかった後、連れられて外に出たぞ』

糞!!やられた!

『解りました.....取り敢えず迎えをよろしくお願いします』

そう言い無線を切った。


おやすみなさい



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