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第152話 白と黒、そして灰色ー1

◇一方、灰たち


 田中さんの準備が出来たというので、地下施設のオペレーター室へと俺達は向かった。

 そこで多くの人類解放軍のメンバーが座る。

 そして田中さんが前に出て説明してくれた。


 作戦の目的は世界中にあるキューブの完全攻略だ。


「現在、世界にあるキューブの数は、A級25個、B級90個、C級453個、D級、834個、E級1341個だ」


 その所在は20年以上、キューブと戦ってきた人類は全て詳細に把握している。


「…………結構ありますね。これを一月ですか」

「はっきりいって無謀といえる。君一人ならね」

「え?」


 すると景虎会長が、立ち上がって前に出た。


「灰君、完全攻略は誰がやってもいいんじゃろ?」

「え? ……そうです。誰でもいいではずですが……」


 すると田中さんと会長が目を合わせて頷いた。


「ならばA級、B級は灰君が攻略し、残りは儂ら……世界中の生き残りの攻略者で完全攻略するというのはどうじゃろうか。もちろん灰君に条件を教えてもらわなくてはならんが、それでも灰君がクリアするよりは各段に早いはずじゃ」

「でも……危険です。黒の騎士がうろついているんですから」

「わかっている。死人もでるかもしれない。だが、リスクを負わなければ到底不可能な物量だ。でも……」


 田中さんが俺の手を握る。


「私たちにも世界を救わせてほしい」

「田中さん……」


 すると扉を開けて入ってきた多くの攻略者達――人類解放軍のみんなだった。

 そしてその中には。


「リン!?」


 中国、闘神ギルドのメンバー。俺が初めて中国にいって模擬戦をやってくれた相手もいた。


「久しぶりだな、天地灰。しかし、君は全く変わらない。あの日、俺がぶちのめされたまんまじゃないか」


 俺は立ち上がって、手を握った。

 そしてその後ろにはやはり何人か闘神ギルドのメンバーもいた。

 その眼はみんな真っ赤にはらしていた。

 そうか、偉兄が死んでしまったこと、みんな知ってるんだな。

 

「王さんは最後まで王さんらしい最後だったそうだな」

「うん……」


 リンは泣きながら笑った。

 

「すまない、話しを遮ったな。でだ……俺達はもちろん命を懸ける。田中一誠からの申し出は世界中の人類解放軍が快諾した。このまま緩やかな死を待つだけならば、戦って見せるさ」

「でも」


 するとリンが、そしてみんながこぶしを握って俺の胸にあてる。


「――勝つんだろ?」

「…………うん!」


 みんなのその眼がやっぱり覚悟が決まっていたように見えたから。

 俺がいない何年間も戦い続けた彼らが命を懸けて戦うというのなら、おれはそれを受け入れよう。

 そして絶対に勝ってみせよう。

 だから頷いた。


「灰君。まだ作戦の概要を話してないね。別に我々も死にに行くわけじゃない。生き残るために戦うんだから」

「……わかりました。お願いします!!」


 俺は頷き席に座る。

 田中さんが前に出て作戦の概要を説明した。


 作戦はこうだ。

 まず闘神ギルド含めて、S級全員で世界中の拠点へ移動する。

 そこから派生するように、各キューブへと適切な攻略者を派遣する。


 そして俺は田中さんに指示された通りにライトニングで、影に飛び、指示通りに世界中のキューブの完全攻略条件を見る。

 記録する係が記録し、そして攻略者が挑戦する。

 一発攻略とはいかないかもだし、思ったよりも難しく別の攻略者に交代することもある。


 その辺は、田中さん達や多くの技術者が何やらPCを使ってシミュレーションを行い、うまくいけば2週間ほどで攻略が可能なことを確認した。


「そして灰君。君にばかり負担をかけるが、キューブの攻略のために黒の騎士を討伐しなければならないときがあるだろう。そのときは……」

「もちろんです。呼んでください」


 俺もA級、B級の攻略を行う必要があり、その合間に要請があった場所で黒の騎士達を倒す。

 つまりは俺は何も考えず言われた通りに、ダンジョンを攻略し、敵を倒すだけだ。

 世界中のキューブを攻略なんて、途方もないと思っていたけど、さすが田中さん達だ。


「では、時間もない! 始めよう!」


 そして世界中に人類解放軍は散らばっていき、全世界キューブ完全攻略作戦は開始された。

 



 そして次々とダンジョンを完全攻略していく。

 二週間があっという間に経過した。


「灰君、次は南米。アマゾンだ。今、顔と名前を送った」

「了解です」


 俺はスマホのような軍用端末を見る。

 衛星通信を利用しており、こんな状況でも世界中でネットが使えるという技術の結晶。

 ハデスが衛星までぶっ壊すような存在なら使えないだろうが、今のところそんな気配はない。


 俺は端末に送られてきた写真を見る。

 事前に一万人近くの攻略者の影は踏んで、ライトニングで飛べるようにしているが、さすが一瞬で一万人近くの顔と名前を覚えることはできなかった。

 なので、事前に誰に飛ぶのかを田中さんが端末に送ってくれて、その指示通りに飛ぶ。

 言い方が悪いが、この一万人の攻略者を俺は転移ポイントとして、世界中を駆け巡っている。


 そして。


「真・ライトニング」


 その場にいる黒の騎士達を倒し、キューブへの道を開く。

 

「お疲れ様です!」

「いえ、ではここのキューブの完全攻略条件ですが…………」


 そして俺は条件を伝えると、またメッセージが何件も溜まっている。

 それを順番通りに処理していく。

 

「よし……次は俺がA級攻略の番だな」


 指示を見ると、A級キューブの完全攻略を指示されている。

 転移ポイントの攻略者に、転移してキューブを完全攻略。

 すると魔力10万増加。

 A級は完全攻略すると10万、B級で1万の増加だ。この調子でいけば俺の魔力はおそらく740万ほどまで上昇する。

 世界にはA級が25個、B級90個存在する。

 合計で340万の増加になる。


 この魔力ならアーサーにだって魔力による遅れは取らないだろう。

 それでも、ハデスはどうかわからない。


「ハデス…………どこにいる」


 並行して、レイナや彩、それにミラージュさんがハデスの居場所を探している。

 円卓を倒し、戦力が逆転したからこそ世界中を探索できるが、一向に見つからない。

 当たり前だが、この世界のどこかにはいるはずだ。


 俺もダンジョンを全て攻略した後に、探すつもりだが。


「ふぅ……よし!! 今はダンジョンを先に優先しよう!」


 でも今はただ強くなることだけを考えろ。

 それからさらに三日ほど。

 世界中のキューブが攻略され続け、ついに。


「これが最後のB級キューブだ」


 世界には残すところ、あと一つのキューブが残った。

 場所は、日本。

 そして俺は完全攻略した。

 条件はいつものように、中の魔物を大量に倒し、そしてソロで無傷など。

 今の俺からしたらなんてことのない条件で、10分ほどで完全攻略は完了した。


 光が俺に入ってきて、魔力740へ。


「これで全部のはずだけど……」


 そのときだった。


『ありがとう、灰さん』


 アテナさん? の声がした気がする。いつものようなダンジョンの声。

 直後だった。


「おぉ!?」


 空が割れるような音がした。

 なんだと、空を見上げると巨大な裂け目が開いていた。


 それと同時に、俺の目の前のキューブがサラサラと光となって消えていく。

 まるで役目は終わりだと言わんばかりに。

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