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第146話 幻影ー3


 ガラハッドはため息を吐く。

 腹部を抑えるが血を流している。

 

「…………で?」


 次の瞬間、魔力が空間を歪める。

 身震いするほどの殺気とともに、ガラハッドが剣を抜く。


「その程度でこの私に勝てると思ってるのか。ミラージュ・アストレア」


 ミラージュとガラハッドが切り結ぶ。

 次々とミラージュの分身が切り伏せられていく。

 一刀すらも切り結べずに、切り裂かれる幻影すらもいる。


 その一体一体がS級攻略者を軽く凌駕する力と、ランスロットほどではないにしても幼い頃から鍛え続けた剣術を使う。

 なのに、まるで羽虫のように切り捨てられる。


「噂にたがわぬ……化け物め。さすがうちの団長もそっちの団長も抑えて世界一の剣技と言われるだけはあるかな」


 ミラージュ・アストレアは少し冷や汗をかく。

 黒の帝国ガラハッド――剣技だけならばアーサーをも超える世界一と名高い久遠の剣士。

 併せて、レイナと彩も残り二人の円卓と切り結んだ。

 

「二人とも、無理はしなくていい!! その二人は下位とはいえ、円卓だ」

「私たちだって戦えます!」

「灰が来る前に、この二人ぐらいは倒してみせる」

「…………さすが灰君の彼女たち」


 それを見たミラージュは自分の幻影を二体ずつ、彩とレイナの護衛につけた。


「好きに使ってくれ。僕の魔力を多めに込めた分身だ」

「わかった」


 レイナが円卓に切りかかるミラージュ・アストレアの幻影を背後から蹴る。

 

 そして、幻影と円卓がぶつかり、その背後から円卓ごと貫こうとした。

 躱されてしまったが、傷を与える。

 幻影は消えた。


「ミラージュさん。今のもう一体欲しい」

「…………はい」


 少しだけ複雑そうに、再度幻影を生み出した。

 だが、円卓を相手に一切ひるまず臆さない彩とレイナを見てミラージュは笑った。


「灰君は、苦労するだろうな」

「なんですか、どういう意味ですか!」


 自分の隣にいるミラージュの幻影の呟きに、彩は反応する。

 それを見てミラージュの幻影は笑う。


「そのままの意味だよ。でも……僕の光を受け継いでくれた灰君と、親友の未来のためにも!! 灰君の嫁は僕が守るさ!!」

「お、お嫁さんなんて……も、もう! ミラージュさん、結構良い人ですね」

「照れてる場合か! くるぞ、彩ちゃん!」

「はい!!」


 


 そして戦闘開始から20分ほどがたった。

 

「申し訳……ありません。陛下」


 円卓の二人が倒れた。

 彩とレイナも膝をつき、しかしミラージュの援護のおかげて下位とはいえ、円卓を倒すことに成功する。 


「あら、ガラハッド。お前ひとりになっちゃったね。円卓っていっても下位はこの程度かな? まぁ数合わせだもんね。支配している各国から代表となる騎士を円卓に入れる。それが帝国の掟だし」

「お前がいなければさすがにあいつらと言えど、負けなかっただろう。神の騎士団でも、お前の名前はよく聞いた。間違いなく五本の指には入る騎士だ。その能力の特異性もな」

「お褒めにあずかり光栄です。剣聖ガラハッド卿」


 大仰に挨拶するミラージュ、それを見てガラハッドは笑う。


「一つ聞いてもいいかな、元部下のよしみで」

「なんだ?」

「ハデスは神の眼を手に入れて何をしようとしている。この5年……お前たちに潜入していたから目的は知っている。だが……それはもう不要だろう」

「…………そうだったな。お前は我々の事情を知っているんだった。だが……今と昔では目的が異なる」

「やっぱりお前は知ってるんだな。ハデス、アーサー、ガラハッド。この三人が幼き頃からの友だというのは調べがついている」


 ハデスには二人の親友であり、騎士がいる。

 アーサー・ペンドラゴン、そしてガラハッド・カーボネック。

 この二人なら本当の目的を知っていると思ったが、やはりそうだった。


「ハデス様との関係を別に隠していることでもない」

「それで……神の眼でなにをするつもり?」

「それを知るための神の眼だ」

「言う気はないってことね」


 そういって大きく息を吸うガラハッド。

 どうやら不意打ちで受けたダメージを回復させることに努めているようだ。

 それを見て、彩とレイナが呼吸を整え立ち上がる。


「私たちも戦えます。ミラージュさん」

「もう大丈夫。いつでもいける」


 ミラージュは頷き、もう一度ガラハッドを見る。

 時間を稼ぎたいのはあちらもこちらも同じこと。

 そして何よりも、その話の内容が気になった。情報収集をメインとして活動していたミラージュとして、聞き逃せない話のような気がした。


「もしお前たちに理解できる正義があるのなら……灰君ならきっと手伝ってくれるはずだ」

「そう単純な話ならば誰も苦労はしていない。たとえ全知だとしても全能ではないのだから……それにな。ハデス様は二度……神の眼を持つ者と対話を望んだ」

「二度?」

「白の国の神……ゼウス。そしてその娘アテナ。どちらにも、ハデス様は神の眼で見て欲しいと交渉したのだ。だが二人とも何と答えたと思う?」

「…………」


 するとガラハッドは剣を抜いた。


「ただ一言……断る。だ。理由すら教えずそれ以上の対話はない。ハデス様がどれほど頼もうと!! 皇帝という身分でありながら、地面に頭をこすりつけてもなお! お前たちこそが対話を拒んだ!! ならば!!」


 そしてミラージュの目の前に。


「――!?」

「ならばもう……力しかないだろう」


 剣で受けようとするミラージュ。

 だが、まるでそれがわかっていたかのように剣が動き、すり抜ける。


「ガハッ!?」


 ギリギリで引いたとはいえ、深く切り裂かれるミラージュ。  

 吹き飛ばされる。


 驚く彩とレイナ。

 その隣にはガラハッド。

 慌てて構えるが、間に合わない。


「お前たちもだ、死ね」


 そしてガラハッドの一刀は、彩へ向けて振り下ろされた。

 レイナは剣を抜く。

 彩は、避けようとする。


 しかし両者ともに間に合わない。

 死が迫る。


 だから。

 バチッ。


「二人は死なせない!!」


 雷鳴と共に、間に合った。

 彩の影から現れた灰が、その一撃を受け止めた。

 その姿を見て、ガラハッドは笑った。


「少しは強くなったか? 神の騎士」



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前:天地灰

状態:良好

職業:神の騎士【真・覚醒】

スキル:神の眼、アクセス権限Lv2、心会話、最優の騎士、真・ミラージュ、真・ライトニング

魔 力:4000000

攻撃力:反映率▶75(+80)%=6200000+500000

防御力:反映率▶50(+80)%=5200000+500000

素早さ:反映率▶50(+80)%=5200000+500000

知 力:反映率▶75(+80)%=6200000+500000


※最優の騎士発動中+30%


装備

・龍神の剣=全反映率+50%

・鍛冶神の加護により全ステータス+50万

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





 狼神フェンリルを倒し、俺は魔力400万になった。

 その結果、ステータスは大きく上昇した。


 クリア後、時間が惜しかったのでキューブが開くのを待たずにレイナの影へと転移した。

 そして今、ガラハッドの剣を受け止め、一度距離を取る。


「少しは強くなったか? 神の騎士」

「もうお前から逃げなくてもいいぐらいにはな!!」

「そうか、では私もこれを抜くとしよう。『魔剣召喚』」


 手に持つ剣を捨てて、そして腰に差しているもう一本の剣を抜く。


 漆黒色にまるで呪われているようなその剣を。

 俺はガラハッドを、神の眼で見る。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前:ガラハッド・カーボネック

状態:良好

職業:穢れ無き騎士【真・覚醒】

スキル:未来視、闇の眼、正々堂々、魔剣召喚

魔 力:5000000


攻撃力:反映率▶75%(+50)%=6250000

防御力:反映率▶75%(+50)%=6250000

素早さ:反映率▶50%(+50)%=5000000

知 力:反映率▶50%(+50)%=5000000


装備

・魔剣カリバーン=全反映率+50%


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−」


 反映率込みで考えれば、ほとんど差は無くなったと言ってもいい。

 今の状態ならミラージュも効果があるはずなのだが。


 次の瞬間。

 ガラハッドの体と俺の体が魔力で繋がる。

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

属性:スキル

名称:正々堂々

効果:お互いの位置が常にわかり、お互い以外からのダメージを受けず、お互い以外へはダメージを与えられない。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「さぁ、やろうか。心ゆくまで……お前を殺し、その眼をもらい受ける」

「いや……この眼は渡さない。未来と共に託されたから」

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