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第133話 終わった世界ー7

「負傷者の救助! 全員一旦引き返すわよ!」


 彩の号令のもと、俺達は旧渋谷を後にする。


 ここはモードレッドが支配していたが、いつ他の円卓の騎士が向かってくるか分からない。


 そのため俺達は一度、人類解放軍の本拠地へと戻ることになった。


 そこは東京から離れた山の中、覚醒者達の力で地下道を掘って作られた武骨だが広大な地下施設だった。

これを機械も使わず文字通り人力、まぁ魔力だが。を使って作ったと言う。

実は産業廃棄物の処理施設として建設が進められていた巨大な空間であったらしいが、数万人が暮らしていけるほどの広さ。


 水や電気などはスキルや魔力で補いなんとか人としての生活を保てているらしい。


「休息と手当を。幹部たちは今から五時間後に、会議室に集合。世界中の幹部たちに連絡を。では一旦解散!!」


 到着した人類解放軍は、各々の部屋へと戻り休息に入る。


「彩、俺はどうしたらいい? あ、あと凪は、田中さんは? 景虎会長は? みんなは?」


 俺はみんながどこにいるのかを聞いた。


 最優先事項の俺の妹、凪。


「安心してください。凪ちゃんも田中さんも、お爺ちゃんも無事です。今は別の拠点にいますが、収集をかけてます」

「そっか……よかった」


 どうやら俺の知り合いは全員無事だそうだ。

でも今は別の拠点にいるからこちらに向かっているとのこと。


「灰さんはそれまでこっちに……」


 すると彩に俺は引っ張られる。


 そのまま扉の先、簡易的な部屋に連れていかれる。

まるでビジネスホテルの一室のようなそれほど広くはないけど、まぁしっかりとした部屋。


「ん? ここ彩の――!?」


 突然俺はベッドに突き飛ばされる。


 一体何がと後ろを振り向くと。


「灰さん、なんでそんな普通なんですか……」


 涙目で赤い目をした彩が俺に迫っていた。

五年たった彩は、同い年の女子高生よりもどちらかというと女子大生のような色気も放っていた。

服のボタンを少し外して、俺の体の上に覆いかぶさるように迫ってくる。


「ちょ、あ、彩!?」

「ずっと会いたかった……あの日いきなり灰さんが消えてから……理由はアテナさんから聞いてますし、事情も知っています。でも……会いたかったのは変わりません」


「ごめん……」


 俺にとっては本当に一瞬で全くそんな気持ちはないが、彩にとっては五年間だ。


 それはどれほど長くつらかったのか。


「許しません」

「ど、どうすれば……」


「五年分、愛してください。今すぐに。私は今でもあなたの彼女ですよね?」


 そういって彩は服のボタンをすべて外した。


 前よりもずっと大きくなっている彩の色香はさらに強く、潤んだ瞳で俺を見る。


 俺は思いだした。


 そういえばあの日の夜、俺は彩と……する予定だった。


「も、もちろん! 俺は彩がずっと好きだよ」


 だから俺は彩にキスをして、笑いかける。


 これが俺の愛情表現。


 高校生の可愛い愛情表現だった。


「…………足りるわけないです。もう少し落ち着いてからにするつもりでしたけど……ごめんなさい、無理でした」

「え?」


 でも相手は文字通り大人の女性。

そんなことで足りるわけもなく、むしろ今のキスで気持ちは加速した。

こんな言葉を聞いたことがある、男は若いときに性欲が強く、女性は年を取るにつれて性欲が強くなると。


ガシッ!


「へぇ!? 彩?」


 俺は両手を掴まれてベッドに押し倒された。

え? 滅茶苦茶力強いんですけど。動けない。


「ふふ、そうだ。今って灰さん、私より魔力低いですよね? 純粋な膂力なら私の方が強いですよね?」


 彩の眼がどんどんおかしくなっていく。

猟奇的な獲物を見る目、吐息は荒く、顔は赤い。


じゅるっ。


 彩が完全に舌なめずりした。

そしておれの耳元に顔を近づけて甘い吐息と一緒に言った。


「五年分……しますね。滅茶苦茶にしていいですか? もう一秒も我慢したくないです」

「セリフが逆な気もするけど……」

「五年もお預け食らいましたから」

「あ、あはは……で、できるだけ優しくしてください」


「……無理」


~数時間後。


「コヒューコヒュー……」


 干乾びそうな俺の隣で彩が笑っている。


「ふふ、ごちそう様でした……でもまだ一週間分ってぐらいですね」


 滅茶苦茶テカテカしてる。

裸の彩がにっこり笑って俺の腕をぎゅっと抱きしめた。


 なんか、こう……すごかった。


 もうほんとにすごかった。

今俺のIQは3ぐらいしかないし、サボテンと一緒しかないと言われる理由もわかる。

正直、夢中になってしまったし、避妊具なんていらないと彩誘惑するものだから。


「たっぷり灰さんの体液もらいました。あとで特性のアーティファクト作りますね」

「彩の能力ってサキュバスっぽいよな」

「…………褒めてます?」


 ふふっと笑う彩はとても幸せそうな顔で俺を見ていた。


 辛い思いをさせたんだろうか、俺には全く実感がなくて申し訳ないが。


 俺は彩の頭を撫でながらこの世界で起きたことを聞いた。


 これがピロートークという奴か。


「あの日アテナさんが私に魔力をくれたんです、100万といっていました。私の力で何とか人類を持ちこたえさせてと。龍の島に封印されていた魔力だともいってました」


 彩の急激なパワーアップはアテナさんが龍の島にあったS級キューブに封印されていた魔力を彩に渡したからだそうだ。

確かに龍神は俺が倒し、あの箱の封印は解けている。

その魔力をアテナさんが回収し、彩に付与したというのなら納得できた。


「アテナさんはどこに?」

「……彼女はもうすべての力を使い果たしたと言って消えてしまいました。ですがメッセージだけは受け取ってます。灰さんを封印するのにすべての力を使ってしまったと。それが私に残された最後のやることだったからだとも」


 そして彩はアテナさんが俺に残した言葉を俺に伝えた。


『黒の帝国は復活しました。真っ先に灰さんは狙われます。そして灰さんは絶対に戦ってしまう。だからその日がくるまで封印させてもらいました。多くの命が失われるのはわかっていますが、勝つためです。本当に申し訳ない。あなたを世界から逃がす必要があった。恨むなら私を恨んでください』


 アテナさんは俺が絶対に戦ってしまうことを理解して封印したんだと。


 そしてそれは俺もそう思った。


 戦略的にダメだとしても俺はきっと最前線で戦った。

でも俺がいればモードレッドも倒せたし、きっと人類は。


 でも彩は首を振った。


「アテナさんは言ってました。『黒の帝王と円卓達が相手では、今の灰さんでは勝利できません。だから黒の帝王ハーデスが、我が兄との肉体と融合するとき、つまり休眠に入るその時に灰さんを召喚します。それは明日かもしれないし、10年後かもしれません。ですが、そこから一月、人類が反撃できるのはその期間だけです』っと、そしてその間に世界中にまだ存在するS級キューブを攻略して、敵を倒してくださいと」


 S級キューブの攻略、そして完全攻略報酬。

それを手に入れるのが俺に与えられた使命。


「ですが今そのキューブは円卓達が守っています。ですから灰さん、ここから一月です。幹部たちを集めて、すべてのS級キューブを攻略します。もちろん、あなたがソロで」


「幹部?」


 そういう彩は立ち上がって服を着る。


 軍服のような人類解放軍の服。


 俺は普通に私服のままだが。


 そして俺と彩は移動して、会議室と呼ばれる大部屋へ。


 そこにいたのは。


「よぉ、久しぶりだな。灰……やっと眠りから覚めたか」

「王兄!!」


 大英雄こと、王偉と。


「HAHAHA! まじで五年前と何も変わらねぇじゃねーか! 円卓をもう一体落としたらしいじゃねぇか!!」

「アーノルドさんも……」


 すっかり人類の味方になってる暴君こと、アーノルドアルテウス。

俺を見るなりとても嬉しそうにしているが、まだ和解はできてない気がするんだよな。


 そして、もう一人。


「久しぶりだね、灰君。会いたかったよ」

「田中さん!!」


 五年たっても相変わらず変わらないイケオジで、俺の大好きな田中さんだった。


「では、時間がありません。最初のS級キューブ攻略の作戦を発表します! 決行は今晩、場所は中国!」

「あっちでは元闘神ギルドの奴らが調査を進めてるが、円卓は4人はいるぞ。総力戦か?」


「ああ、今がカードの切り時だ。こちらの超越者も四人を出す。そういうことだね、彩君」

「はい! そしてその間に灰さんにキューブを攻略してもらい、力を得てもらいます」

「わかった、任せろ」


 作戦は王兄達が円卓を抑えて、俺が一人キューブに入る。


 完全攻略し、力を手に入れた俺が円卓達との戦いに参戦する。


 そして彩が作戦の説明を終えて、俺達を見る。


「五年、長かったですね。多くの人を失いました。ですが、やっとです……」


 その言葉にアーノルドさんや王兄も頷く。


「人類の反撃を開始しましょう!」 


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