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レベル1の今は一般人さん  作者: 雪だるま


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297/527

第295射:見えてきた状況

ごめんなさい。

遅れてしまいました。

慌てて書いて投稿。

見えてきた状況



Side:ナデシコ・ヤマト



『……ということで、情報が欲しいわけだ』

『なるほどな。その話が嘘だというのは簡単だが、こっちの持っている情報にも間違いはない。……嫌な話だな』


田中さんはスラムのボスであるギナスさんと今の状況について話し合いを始めています。

何か有益な情報があるといいのですが、その前に……。


「皆さん。田中さんのお話が気になるのは分かりますが各偵察場所の状況報告を」


私たちの持ち場をおろそかにするわけにはいきません。

ドローンによる監視はこのシャノウが、いえ私たちが敵に襲われないための大事な偵察です。


「艦隊周囲1から6異常なしです」

「シャノウ周囲1から6異常ありません」

「バウシャイの1から6も異常なし」

「本国マノジル殿の周囲に問題ありません」

「ゼラン様の警戒機も異常なしです」

「田中さんの警戒機も問題なしー」

「わかりました。引き続き警戒を行ってください。何かあれば必ず報告を」

「「「はっ」」」


わかってはいましたが特に異常はないようですね。

異常があっても、田中さんがこの船に不在の今、即座に動けないので、色々問題ではありますが。


「では、晃さん。田中さん、ゼランさんに異常無しの報告を」

「わかった。こちら、HQ。T、Zに次ぐ。周囲の異常なし。引き続き警戒に当たる」

『T了解』

『Z了解だよ』


晃さんからの報告に即座に返事をする2人。

どちらとも、交渉の席についているはずですが、こんなことを言って不思議に思われないのでしょうか?

そんな心配が出てきて、会話に耳を澄ませますが……。


『それで、バウシャイの方は無人の町になっているな。そういう状況っていうのはそっちには連絡が来ているんだよな?』

『ああ、こっちの情報筋からも同じような報告がされている。だがな、完全に人っ子一人いなくなるようなことが起こるか? 死体一つも見当たらなかったといっていたが、そこはどうなんだ?』

『その報告に間違いはないな。多少血痕は見つけたが、人が死んだようなものじゃない』


田中さんの方は普通にお話をしているので、ばれた様子はなさそうです。

そうなるとゼランさんの方ですが……。


『よし、じゃあその条件でこちらから手を回してやる。しかし、別の大陸か……』

『おや、あんたほどの男が信じられないっていうのかい?』


あら? 今の了解は別の返事だったのでしょうか?

あまりに自然に続きの話をしています。

そう首をかしげていると、リリアーナ女王がこちらを見て頷き。


「確かにゼランさんはこちらに対して返事をしていましたよ。それと同時に向こうにも返事を返していましたが」

「ああ、そういうことですか」

「返事を合わせたってことかー。すげー器用」


私と光さんはリリアーナ女王の説明で納得します。

また器用なことをと思っていると、次はヨフィアさんが口を開き……。


「まあ、それぐらいはできないといけないですけどねー。ああいう人たちは会話の単語にも意味を持たせていますから。例えば、返事一つに対しても「はい」と「はーい」で意味を使い分けてたりですね」

「どういうことですか?」

「通常の「はい」だと問題なし。「はーい」と間延びさせると危険ありとかですね。そうやって、知っている人だけに状況を伝えるんですよ。こういう盗み聞きしている時にみんな危険です。っていうわけにもいかないですからね」


なるほど。そういう合図というわけですね。

というか、そういう状況を常に心配しないといけないというのはちょっと嫌な状態ではありますが、こういう時に限っては頼もしい限りです。


「まあ、タナカさんのように人に気づかれずに返事をすることも大事ですけど。あの人が囲まれた程度で死ぬとか到底思えませんけどねー」


はい。そのヨフィアさんの意見には同意です。

囲んだ側が全滅すると簡単に想像できます。

そういう時は躊躇がありませんから、この世界の人たち以上に。

と、そんな話をしている間にはゼランさんの話は進んでいきます。


『いや、こんな品物をもって来ちゃ信じないわけにもいかないさ。それに、この世界でホラを吹いたら干されるからな。おやっさんの商会をゼランがつぶすには、まだ追い詰められてないだろう?』

『まあね。バウシャイは落ちたけど、ほかに拠点は沢山ある。だけど向こう側は近づくのはやめておいた方がいいよ』

『わかってる。お前の所の兵隊はやわじゃない。それが撤退するだけで精いっぱいとか冗談だろうって言いたい』

『それは私もおんなじさ。だが、勝負になる相手じゃなかった。バウシャイの兵士はあっという間にバラバラにされた。倒されたんじゃない。ばらされたんだ』

『……ばらされたか。戦いになってないな。俺も同じ判断をする』

『だろう? で、だ。そっちはどこまで情報をつかんでいるのさ? あれだけ報酬を渡したんだしっかり応えてもらうよ。満足がいかなかったら……』

『いかなかったらどうするつもりだ?』

『大陸向こうから連れてきたおっかないのをぶつけてやるよ』


ゼランさんが自信満々に言い放ったのが私たちにもわかります。

そして、そのおっかない人物が誰なのかもわかります。


『なるほど。対抗手段は整えてきたわけか』

『当たりまえさ。そうでもしないと、今回の戦争負けるよ。私たちも鞍替えが必要になるだろうさ。こんな化け物相手にね』


ゼランさんがそういうと、ぱさっと何かが落ちる音がする。

おそらく証拠に渡した魔族の写真でしょう。


『これは?』

『しゃしんって言う、その時の状況をそのまま描いて残すものだよ。ほれ、こっちは私の写真さ』

『へぇ。こりゃすげえ。国が保有している通信魔術道具じゃないか』

『こっちは喋らないけどね。当時のことをそのまま記録に残せるっていうのは凄いもんさ』

『確かにな。これだけでどこの国も大金を出すだろう。ちっ。こっちが本命か』

『この程度で驚いているようじゃ底が知れるね。これも契約成功の暁には譲ってもいいのさ。そして、問題の写真がこれだ』


どうやらゼランさんは写真を説明してから本命の写真を見せることにしたようです。

その写真を見た相手の息をのむ音が聞こえて……。


『こいつが噂の魔族ってやつか』

『ああ、周りの死体を見てみな』

『お前の言ったとおりばらされてるな。戦った風じゃない。こりゃ、根本的な戦力が違うな』

『そうだよ。これが数体バウシャイにやってきて町が崩壊した。私たちはできうる限り人を詰め込んで海に出たわけさ。しかも最悪は続くもんでシャノウと反対側に逃げたんだが、そちらも煙が上がっていてね』

『なるほど、そっち側は落ちているか。わかったそっち側にはいかないようにする』

『それが賢明だね。それで、あてもなく逃げてたどり着いたのが、ルーメルって国がある新大陸ってわけさ』

『はっ。そういう意味では本当についているなお前も。普通は魔物に襲われて沈没か、船の食糧が尽きて餓死、あるいは病で全滅が関の山だ』

『それに近い状況だったよ。食えもしない、治療道具にも使えない交易品があれほど憎いと思ったことはないね』


そうでしたね。

ノルマンディーに到着したゼランさんたちはかなり厳しい状況でした。

幸い、私たちやエルジュが間に合って治療や食料品などが供給されて落ち着きましたけど、もう少し遅れていればノルマンディーの町で暴動が起こっていたでしょう。


『さて、こっちはいい加減喋りすぎだ。さっさと情報よこしな』

『わかった。で、どこから聞きたい? それとも集めたい情報があるか?』

『そりゃまず第一に、この魔族とかいう連中との戦争状況だ。魔族との戦争は内陸の話だったはずだ。なのになぜバウシャイやほかの港が強襲された?』


そうです。私たちが知りたいのは魔族と名乗る人たちとの戦争状況。

これから私たちがどう動けばいいのか。それを判断するためにも必要な情報です。


『港が強襲された理由はわからん。というか無人になっているというのが意味不明すぎる。だが、内陸の戦況はこっちにも届いてきている。魔族の連中の攻勢は激しいようだが、ここ半年は戦況が膠着しているようだ』

『膠着? なんだい、あの化け物相手に戦えているってことかい?』


その話を聞いて私たちは顔を見合わせます。


「意外とここの人たちって強いのかな?」

「押しとどめているんだから強いんじゃないか?」

「まあ、話を聞く限り強襲という話でしたし、何とか防衛体制を構築したということでしょうか?」


私たちはそんな意見を交わしている間に話は続いていきます。


『どうだろうな。詳しい話は入ってきてないが、魔族の連中の攻撃が散発的になってきたとは聞いたな』

『散発的?』

『ああ。おそらく状況を見るに、範囲が広がりすぎたんじゃないかと思っている』

『範囲が広がる? どういうことだい?』

『ゼランにわかりやすく言うと、商売の範囲を広げすぎたって所だ。船が3つしかないのに、回る港が10もあるってことだ』

『それは分かりやすいね。人手が足りないってわけかい』

『俺はそうみている。だが、それも納得できる。こんな化け物がいるんじゃそりゃ押し返しもできないし、現状を維持するしかできないだろうさ』

『そして、魔族の連中は数がいないから、押すには手が足りない。だから、後方を脅かすことにしたってわけか』

『多分な。だが、気になるのが人が全くいないことだな。皆殺しにする方が確実なはずだ』

『……そこは私たちもどうするのか測りかねているところさ。よし、戦況はいいとして、各国の動きだけど……』


こうして、ゼランさんは知り合いの商会さんから、まずは大事な情報を一つ一つ聞きだしていくのでした。


「あ、そういえば、田中さんの話聞いてなかった」

「そっちは大丈夫ですわ。どちらとも録音していますから、あとで話を纏めましょう」

「でも、ようやく俺たちがどうすればいいのかわかってくるかもな」


晃さんの言う通り、長い航海の末、ようやく私たちが問うべき行動が見えてきた気がします。





いやー、申し訳ないです。

すっかり忘れていました。

お正月って怖いね!


そしてある程度情報がでてきました。

敵は戦線を広げすぎて膠着状態のようです。

ここで田中たちはどう動くのか。

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