第293射:
まずご報告を今回の「第293射」ですが未完成です。
理由は体調不良で執筆ができなくなりました。
まあ、そこまでひどい病状ではないのですが、今週はこのちょこっとだけとなります。
来週は完成バージョンを投稿できればと思っています。
お楽しみの皆さん、大変申し訳ございません。
第293射:
Side:ヒカリ・アールス・ルクセン
「おっ、田中さんだけで動き始めたね」
僕が見ているドローンからのモニターからは、ゼランの豪邸から一人で出てきて町の方に歩いている田中さんの姿が映っている。
「ゼランさんは執務室で色々書き物をしていますわ」
「これから知り合いと会うといっていますからねー。色々準備がいるんですよねー。会いに行ってすぐに会えるってわけじゃないですから」
なるほど、だからゼランはせっせと手紙を書いているわけか。
全く偉くなると大変だね。
だけど……。
「田中さんが情報集めに動いたってことは、やっぱり魔族はこのシャノウの町にはやってきてないんだな」
「危険があれば、戻ってくるって言ってたしね。タナカ殿が行けると踏んだんだ。大丈夫さ」
「だべな。あのタナカが戦いの匂いを感じ取れないわけもないだべ」
「ですが、油断は禁物です。セイール。近隣の様子はどうですか?」
「はい。特に違和感はないです。女王陛下」
この町にやってきたのは、魔族と戦うための情報を集めるため。
いつ魔族がこの町にやってきてもおかしくないから、僕たちはこうして沖合で待機している。
距離にしても100キロ沖とかちょっとおかしいぐらい離れているからね。
でも、これでも近いって田中さんがいっているんだ。
……現代と勘違いしてないかなー?
と、田中さんは、そんなことを考えている内にどうやら市場の方に向かっているみたい。
「はぇー。やっぱりあの人は基礎は押さえてますねー。市場って意外と人が集まるんで人から情報が集めやすいし、物の値段を確かめることにもつながりますから。しかも話しかけるときの笑顔が恐ろしい」
「ヨフィアさん。それ、本人に言っちゃだめだよ」
「わかってますよ。アキラさん。私も死にたくはありませんから」
なるほど、物資の流れをみて戦争が起こっているかどうかを確かめているんだね。
なんか、それっぽいことをルーメルでもやってた気がする。
田中さんが付けているマイクからも、それを探っている声が聞こえてくる。
『どうだいおっちゃん。最近の調子は? と、これくれ』
『おう、毎度。……最近か。ま、ぼちぼちだな。それにしても兄ちゃんは見ない顔だな。値切りもしないとか、珍しいことだ』
『ここら辺の相場を知らないものでね。これから旅を続けようと思うから差額で情報でも教えてもらえたらと思ってね』
『そうか、兄ちゃんはやっぱりよそ者か。どこからきたんだ?』
『ルーメルのノルマンディーって所からだな。ほれ、ゼランっていう姉ちゃんが率いる商会だな』
『ああ、そういえばゼランの奴帰ってきたとか話があったな』
『なんだ。知り合いか?』
『まあな。あのゼランの親父さんには助けられたからな。ゼランはちっさいころから知ってるさ』
へぇ、ゼランの小さい子を知っているんだ。
というか、ゼランのお父さんの知り合い。
……ゼランのお父さん無事なのかな。
ゼランは特にそのことを口にはしていないけど、きっと心配しているはずだよね。
少しでも、その情報を……。
『なるほどな。なら、その知り合いの知り合いだ。ちょっとここら辺の常識とか最近起こってることを教えてもらっていいか? 戦争地帯に間違って踏み込んだとかは嫌だからな』
だよねー。
田中さんが、一々ゼランのために情報集めるわけないよねー。
僕しってたよ。
どうせ、ゼランのお父さんの件はどこかで必ず集まるとか、田中さんが調べなくてもゼランさんが調べるっていうよねー。
ま、そういうことはいいとして、田中さんはやっぱりヨフィアさんの言うように的確に情報を探りに行っているね。
この大陸で起こっている、人と魔族の戦い。
僕たちが一番聞きたい話だ。
何か少しでも情報が集詰まるといいんだけど……。
『戦争か。なんか、あの山脈向こうのシュヴィール王国は、なんか敵国に攻められたっていう話は聞いたな』
『へぇ。シュヴィール王国がねぇ。ほかには?』
『そうだな。
今はここまでしか書いていません。
さて、田中はここからどんな情報を得るのか。
お楽しみに!




