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一般人の男の子でも反転すれば最強の女の子に!『チェンジ・オブ・ワールド』  作者: ふくあき
暗躍する者達 後編

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微・番外編 クリスマス編その2

 クリスマス――確か去年はアクセラを押しつけられた記憶があったような、なかったような気がする。そしてそれからもう一年経ったのだと、改めて振り返って見るとあっという間で、不思議なものだ。そもそも――


「長ったらしいんだよボケがァ!」

「いったぁああ!?」


 側頭部を蹴り飛ばされ、真っ白な雪へと全身ダイブ。せっかくの髪が白い雪にまみれてしまい、俺は渋々頭の上の雪を振り払う。しかしながら反転して女の子になろうが容赦なしだなこの鬼は。


「鬼じゃねぇ、魔人様だ」

「いちいち訂正しなくていいですから。て言うか人の脳内を勝手に読むのはやめてもらえますかね」


 服装もいつものヘソ出しルックなんてしようものなら風を一瞬でひいてしまうであろうくらいには気温が低い。いや、別に体感温度を反転させれば冬場でも水着に――ってそれはそれでただの変態じゃん!


「バカみてぇなこと考えている暇があるならさっさとオレについてこい」


 本編だと夏真っ盛りだというのに、急に冬まで飛ばされた身にもなってもらいたいものだと俺は心の中で愚痴をはく。そして今回のお題目をすでに聞いていた俺にとって、この番外編ほどストレスを溜めるものはないだろう。おそらくそれは本編を通しても指折りになるに違いない。

 どうせまたお約束のようにこの白髪のインチキ魔人と一緒に面倒ごとに巻き込まれて――


「何時までメタ発言してんだ」

「番外編の間くらい愚痴吐かせてくださいよ」

「テメェの愚痴だけで文字数稼ごうとしているのが見え見えなんだよクソ作者が。ブチのめすぞ」


 いやいや流石にそこまで飛び火させられると俺もついていく以外の選択肢なくなっちゃうじゃん。


「はぁー、何が楽しくてアクセラとラウラを家において、他人のクリスマスの過ごしている様子をこっそり見に行かなくちゃいけないのか……これなら前回の年越し部屋みたいに古室で駄弁る方がマシだっての。ほら、最近また新しい人も来てるんだし――」

「澄田詩乃と緋山励二がまた変なことをしてないか見る必要がある。それと年末年越し部屋、今年は覚悟しとけよ。反省会確定だからな」


 またってあんた……しかも反省会って、さりげなく俺にとんでもないことを言っているって分かってんですかね。


「ウルセェ今はそんなことどうでもいいんだよ」


 もはや澄田さんに対してだけ過保護なサイコパスとしか思えないこの白髪のおじさ――もとい、お兄さんの後をつけて、俺は夜の第八区画――別名カップル専用区画へと足を踏み入れることとなった。



          ◆◆◆



 当然ながらリア充氏ねという言葉が俺の脳内を反復横跳びするし、作者は作者で新しいバージョンのWordが扱いづらくてブチ切れそうになってるし、どうにかして穏便なうちにこの番外編を終わらせたい自分がいる。


「……なんか今日のテメェ大丈夫か?」

「もう二年目にもなるとメタ発言の一つや二つくらいいいでしょ……」


 何が楽しくて主人公たる俺ではなく脇役である緋山さんの観察をしなくちゃいけないんだっての。


「それ後で本人に言っておいてやるから」

「やめて!」


 っと、噂をすれば緋山さんと澄田さんの姿が見えてきたけど、魔人と俺がそのまま往来のど真ん中にいたら警戒心マックス間違いなしなんだけどその辺何か考えているんですかね。


「知るかそんなの。それより近づいてくるぞ」


 じゃ、適当にって――


「……あたしあっちの方が気になるんで、ちょっと行ってきます」

「アァ!? ドコ行ってんだよテメェ!!」


 どこって、そんな緋山さんより穂村が新しい彼女(?)をつれている方が気になるに決まってるでしょ。

 しかも本編でお腹がぽかぽかするとか危ない発言かました女の子が一緒って、それこそ事案の匂いがプンプンだっての――



「――こうして冬に一緒に歩くと、昔のことを思い出すね」

「そうだな――ってオイ、いきなり互いの地雷を踏み抜くような真似はねぇだろ」

「確かに嫌な思い出もあったけど、それでも楽しい思い出の方が私はいっぱいあるよ?」


 ……はい、現在百貨店店内にてこっそりと物陰に隠れては穂村とおとなしそうな少女の二人の後を追っています。それにしてもこの二人、なんか互いに意識し合っててこっちはこっちで大ダメージを食らっているんですが。食らっているんですが!!


「楽しい思い出って……例えばどんなのだよ」

「うーん、穂村君と一緒に遊園地に行ったこととか」

「別におまえの両親も一緒だっただろ」

「てことは、お父さんもお母さんも公認してくれたのかな?」


 穂村は素っ気なく話しているが、心なしか俺の前では無感情だった少女の顔色が、少しだけだが明るくなっている気がする。それにあれだけ冗談も一切通用しなさそうな雰囲気が、彼女の方からにこやかにしゃべっているし……あぁーもう! どうしてこっちにはそういう正統派なヒロインがいないのさ! いや澄田さんは完全に緋山さんとくっついてるからそこから奪い取るようなことしないけどさ。アクセラ? あれは完全に違法ロリなのでアウト。ラウラ……うーん。

 こうして物陰で悩み事をしている間にも、二人のとりとめのない会話はどんどん進んでいく。


「ハッ! 俺みたいな人間を認めるなんざあり得ねぇけどな」

「でもあの夜の後には色々聞かれてたでしょ? お父さんに」

「ハ、ハァ!? おまっ、それここで言うことか!?」

「前の日にあんなことがあったら言われて当然だと思うけど?」


 両親公認っておいおい、一体どこまで遠くに行ってしまってんだよあの不良ヤンキー野郎は。いやイッてしまったって言った方がいいのか? 違う違うどうして下ネタに走るんだ俺は! 性なる夜のせいてか!?


「初めての癖に一晩中変な声上げてたお前のせいだろ!」

「そういう穂村君だって、私がちょっと涙目になったくらいで急に優しくなったくせに」


 いたずらっぽく言っているが内容がエグすぎて俺の妄想が破裂しそうなんだが。それに今の俺なら緋山さんよりも『嫉妬エンヴィー』に適している気がする。

 そして二人の痴話喧嘩はもはや聞き耳を立てるまでもなく大声となり、あたりの注目を集めてしまう。


「誰だよクリスマスにサンタさんの正体を突き止めるって言って夜更かし提案しやがったのは! 子之坂が張り切って深夜にゲームやったからバレたんだろ!」

「だって一回やってみたかったんだもん、対戦ゲーム……」

「おい」


 思わずツッコまざるをえないくらいにずっこける俺。なんだよただのサンタ談義かよ。ちなみに俺は中学校の時に父さんがわざわざサンタ服を着て深夜に忍び込んでいるのをたまたま見てしまってからサンタの正体を知ってしまいました。普通すぎてつまんねぇわ!!


「つーか別に夜にやらなくても昼間にやればよかっただろ……」

「だって昼間は一応穂村君と勉強とかを頑張らなきゃってのがあったし……」

「……あほらし」


 多分俺くらいだろうな。自分が中心のクリスマスじゃなくて、他人のクリスマス実況してるのは。


「さっさと家に帰るか。その前にここでアクセラとラウラにプレゼントを買っておこう」 


 そう考えた途端に俺は冷めた目で反転を解いて、その場を去って行く。


「……とりあえず最後に一言言っておくか」


 ――リア充爆発しろ。

 今年は当社比で微妙な出来だったので微・番外編とつけさせてもらいました。(´・ω・`)<本編は微妙にならないようにもっと練って頑張りますよ!

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