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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
どうして義妹(姉)ができるんだ!
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島根が熱い……らしい

 児童館で樟葉先輩がやらかした。

 そのことに僕は一切関与してません。勝手に樟葉先輩が暴走しました。そういうことにしとこう。一応傷の手当てをして樟葉先輩はぴんぴんしてます。逆に怖いわ。

 それはともかく、一応児童館でのお化け屋敷は終了し、明日から片付けとなった。もっとも、バイトがあるからいけないという話はしているが。

「そう言えばさ」

 帰ってきて、夕食を食べながら父親に切り出す。今日の夕食はチキンのトマト煮込みだ。

「今年って、旅行はどうするの? 毎年行ってたよね」

「あ、ああ。一応、お盆明けくらいに有給は取れそうだが、どこか行きたいところでもあるのか?」

 父親が細かくして入れたニンジンをわざわざよけながら言う。赤いから気づかないと思ったのに。

「それじゃあ、島根に行かない? 島根が熱い……らしいんだ。出雲大社とか、石見銀山とか、あと砂丘とか」

「それはいいが、砂丘は鳥取だぞ?」

「あはは、ですよねー」

 だって、島根のことよく知らないんだもの。あ、宍道湖のシジミがあったっけ。

 で、なぜ僕が唐突に島根に旅行に行こうと言い出したかというと、それは今日の打ち上げへとさかのぼる。

 

 

 

「旅行です」

「はい?」

 いきなりそんなことを言われても、山科さん、何が何のことだかわかりませんよ?

「ですから、一緒に旅行に行くのです。そうすることで、自然と互いの関係を意識する中になるはずです」

「いや、言いたいことはわかるんだけど、ちょっと早すぎない」

「ですから、旅の途中で偶然遭遇して、その後で仲良くなるのです」

「はあ」

 つまり、山科さんは同時に同じ旅行先へ向かうように仕向けて、そしてその途中で運命の対面を果たし、そしてそこから仲良くなると。そういう手段を考えているみたいだった。いや、運命でもなんでもなく全部山科さんの手のひらの上なんだけどさ。

「というわけで島根です」

「なんで島根?」

 そしてこの唐突の島根宣言である。観光大使でもやってるんですか?

「島根に行く飛行機は多くありません。その上、島根には観光名所が多くあります。これが一番自然かと」

「え、飛行機で行くの?」

 いつもは新幹線で行ける距離に1泊2日とか、そんな感じだったんですけど。

「当然です。飛行機は便数が限られるうえ、なおかつ搭乗までの待ち時間があります。そこでばったりと合わせるのです。ついでにホテルも同じにしておきましょう」

「はあ」

 さっきからはあしか言ってない気がする。

「でも、そう都合よくいくかな? 毎年、どこかしらにはいくけど、今年が島根って決まってるわけじゃないし」

「なら、島根に決めてください」

「あ、はい」

 え、できるの? できなかったら殺されたりしないよね?

「一応、やるだけやってみるけど」

「それでは、次です。飛行機は朝一の便にしてください。その方が説得もしやすいと思います。それから、ホテルに関しては決まったら早急に連絡をください。こちらはそれから手配しますので」

「あ、はい」

 本当に何でもありだと思った。

 

 

 

 というわけで現在に戻る。まあ、こんなこと話そうものなら山科さんにどんな目にあわされるかわからないので、建前だけだが。

「そうだな。たまには、島根もいいかもしれないな。なんて言ったって出雲大社は縁結びの神様だしな。悠杜にも恋人ができるかもしれないしな」

「あ、そうだね、あはは」

 あれ、なんでだろう。今一瞬深草さんの顔が頭に浮かんだぞ。僕は恋人なんて作る気がないのに。はは、

なんでだろうな。

「それじゃあ、手配は僕がやるよ。高校生になったし、それに、お父さん会社忙しいでしょ」

「あ、ああ。それじゃあ、頼む。何か困ったことがあったら言うんだぞ」

「うん、わかってるって」

 とりあえず、こっちの、厳密には山科さんのペースに持ち込むことができてよかったと思う。でも、縁結びの神様とか考えてたわけじゃないよね、山科さん?

「それじゃ、ごちそうさまでした。いい年なんだからニンジンぐらい食べてよね」

「あ、うう」

 そう言いながらも、親としての威厳かしっかりと食べてくれた。よかった。みじんにするの結構大変だったんだ。

 

 その後、自室に帰って山科さんに連絡したら、すぐに手配すると言っていた。外堀から埋められている気がするのはなんでだろう。まあ、僕も父親が再婚するの自体は反対じゃないけれど。

伏見君は認めたがらないみたいですね……

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