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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
僕はそんなに神経太くない!
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あきれるほど天才だな

 日が変わって火曜日、僕たちは特に何事もなく、痴漢に遭うこともなく、登校した。最近は何となく、深草さん相手の目のあしらい方がわかってきた気がする。話を途切れさせないように、親しい友人がいることをアピールしつつ、それでいて注意力を奪うほど話しかけない。そんな絶妙な加減がいるようだ。すごく難しい。その点山科さんはすごいと思う。

 それはともかく、僕は朝一に樟葉先輩から事の顛末を聞かされた。不良らしきなんとか君(名前は忘れた)は、特に大きなけがはなかったらしい。そして、僕と樟葉先輩に対する暴行未遂ということで、1週間の停学処分だそうだ。まあ、テスト前だし、未遂だったし、軽いと思っていいのかな? とりあえず、学校内で会うことはなさそうなのでよかった。あんな乱暴な人と一緒と鉢合わせしたくはないからね。

 ただ、学校の外で襲われちゃ叶わないというので、山科さんと樟葉先輩が相談してボディーガードをつけることになった……らしい。あとで聞かされた。何やら、僕は親衛隊の中でも重要人物らしく、しかも弱いからだそうだ。と言っても、深草さんの家に勉強会をしに行って、その帰りに僕の家まで樟葉先輩が送ってから帰る、というそれだけだそうだが。それにしても、なんか怖い組織ですね、親衛隊って。自分136だけど。

 

 

 

 何はともあれ、今日の分の授業を真面目に受けて、一部は本を読みながらだったけど、ノートをとった僕は今日も今日とて深草さんと山科さんと樟葉先輩に、勉強会の開催を頼むのだった。いや、あの3人の力ってすごいね。昨日まで授業抜けてたからちんぷんかんぷんだったのが、少し端に引っかかるようになってきたんだもん。昨日一日でだよ。精神的に疲れるけど、これで成績上の方キープできる。

「悠杜君、ここは『にあり』の用法だから『に』は格助詞じゃなくで助動詞の『なり』だよ」

「え、でも、『にや』で終わってるから、違うのでは?」

 今やっているのは古文の文法だ。僕としては、下に『けり』とか『あり』がなかったからそのまま格助詞でいいと思ったんだけどな。

「これは係助詞の『や』で終わってるでしょ。これは、文末用法じゃなくて、その下にありが省略されてるの。ちょうど連体形で止めて、下に『人』を追加するみたいに。訳も、『であるのだろうか』になるの」

「もっと正確に言えば、省略されているのは、『あり』ではなく『あらむ』だと思うけどね。係助詞『や』は疑問と反語だからたいてい推量の『む』が付くし、これは過去推量でも現在推量でもなさそうだからね。それと、係り結びの法則で『む』は一応連体形だし、反語で『であろうか、いや、そんなはずがない』って意味かもしれないかからね」

 深草さんの説明に、物理をやっていた樟葉先輩が補足にしては多すぎる情報をぶち込む。もう訳が分からん。とりあえず、『にや』の『に』は省略されてたのが下にあるから助動詞ってことでいいのかな? というかそれよりも気になることがある。

「樟葉先輩って文系じゃなかったんですか! 世界史やってたし!」

 この人、物理の問題集(僕にはちんぷんかんぷん)をすらすらやってる。いや、僕の勉強には関係ないんだけれど。

「何言ってるの? 私理系だよ?」

「え、でも、前のテスト世界史やってたじゃないですか」

 そう。世界史をやりながら英語をぶっこんでいた思い出がある。だから文系だと思ってたのに。

「あ、それは世界史の方が面白そうだったから。倫理とかよりよっぽど面白いし」

 そう言って、『愚者』はからからと笑った。本当にこの人は天才だな。あきれるほど。

 

 

 

「それじゃあ、悠杜君、また明日」

「深草さんに山科さん。また明日です」

「じゃーねー」

 一通り挨拶をして、深草さんの家からおいとまする。僕の家はすぐそこだから大丈夫だと思った。それが間違いだったのかもしれない。僕の家の前で待ち受けていたなんとか君に邪魔をされた。……たぶん。

 だって樟葉先輩の顔を見るなり青い顔して逃げ去って行っちゃったんだもの。本当に、何がしたかったんだろうね?

更新頻度落ちてる……

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