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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
聞いてほしいことがあるんだ
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京都に行きませんか?

 生徒会室で勉強会をやろうって言ったのは失敗だったかもしれない。生徒会室にはいろいろと気を散らすものが多すぎる。まじめにやろうとしても竹田がカチャカチャやってて集中できない。利頼君も天才肌なのか、あんまり勉強してないし。『恋人』たちはイチャイチャしていて目に毒だ。

 あ、でも、加乃先輩がいないのは集中できてよかった。あの人、教え方はうまいけど、一々からかってくるから精神をすり減らすんだよね。家に帰っても勉強しないとだったから、あんまり精神を使い果たしたくなかったんだ。

 それでも、教えてくれる人がいないってのは結構しんどかった。未悠さんは休んでたから教えを乞うわけにもいかないし、三希さんは拓都君と競い合ってるから水を差すのもなって。利頼君は勉強はできるけど教えるのは下手だった。竹田は僕より頭悪いし、千秋さんも忙しそうだった。自動的に京香さんに教えを乞うことになったんだけど。

 ……結構教え方がスパルタだったんだよね。まあ、未悠さん以外にはあんまり興味ないってスタンスだったし出来ないなら努力しなさい見たいな感じだったし。何というか、加乃先輩に比べると解法にエレガントさがかけるとでも言えばいいのだろうか。まあ、それでも何とか乗り切ったんだけど。


 結果は、僕が学年29位タイ。すごくギリギリだった。未悠さんは8位で、京香さんが1位。元々京香さんは次席だったから順当な結果だろうか。三希さんと拓都君の勝負の方も結構面白くて、三希さんが4位、拓都君は12位だった。だんだん順位が上がってるし、差も縮まってる。拓都君バスケ部だしすごいよね。

 ちょっと意外だったのは、利頼君が2位だったこと。普段の行動から馬鹿にしか見えないのに、勉強はできるんだから。加乃先輩と同じでちょっと天才肌なのかもしれない。そのおかげか彩里さんも13位に入ってたし。




 テスト、とっても疲れた。2週間で一気に仕上げたせいで、詰め込んだことがぽろぽろ忘れていきそうになる。何回知恵熱が出そうになったことか。いや、本当のことを言うと一回出た。それで、バイト休ませてもらった。まあでも、生徒会庶務として学年30位以内は取れたからよしとしましょうか。

 それに、期末テストが終わったということは、もうすぐ冬休みもやってくるということだ。12月に入ってコートが手放せなくなってきたよ。冬休みは特に予定がないけど、のんびりしたいかな。クリスマスはちょっとみんなで遊ぶかもしれないけど、お正月は特に予定もないのでのんびりしたい。生徒会の活動も後はあんまりないし。引継ぎと、1月末に児童館でちょっとやるくらい。そういうわけだから、後はとある一件を除いて特に問題はないのだ。

 ただ、問題はその一件なんだよなあ。加乃先輩に言われた言葉。

『年内に未悠ちゃんに自分の気持ちを伝えること。もし、それができなければ、悠杜君は私の彼氏にする』

 つまり、デッドラインが迫ってるんだよなあ。もう冬休みになって、クリスマスが過ぎればすぐに年を越してしまう。そうなると、加乃先輩の恋人にされてしまう。だから、未悠さんに気持ちを伝えないといけないんだけどさ。

 どうやって、伝えようか。それが問題になってくる。

 いや、どうするつもりなのかは一応決めてるんだ。プランだけは練ってある。だけど、上手くいくか不安だっていうのもある。


 放課後、ちょっと声をかけてみる。通常授業だけど、冬休みに向けてまとめみたいなのに入っていた。

「未悠さん、ちょっといい?」

「うん、いいよ」

 だけど、追い込まれたせいかな。ちょっとだけ、勇気が湧いた気がした。どうせこのまま行ってもダメなら、せめて気持ちだけでも伝えられないかなって。

「あのさ、僕ら、研修旅行に行き損ねたじゃん。だからさ、冬休みにでも京都に行かないかな? その、2人きりで」

「え、あ、うん」

「ほら、僕ら生徒会で夏の京都に入ったけど、冬には行けてないじゃん。それに、前には巡れなかったところにもいきたいし、その、ダメかな?」

「……ぃよ」

「え、なんて?」

 緊張してたせいなのか、声が小さかったせいなのか。未悠さんの声が聞き取れなくて、聞き返してしまった。未悠さんの顔が爆発しそうなくらい赤らむ。

「だから、いいって言ったの! それじゃあこの話はまた今度!」

 そう言って、強引に話題を打ち切って先に一人で帰ってしまった。

 だけど、拒絶されたわけじゃないと思う。たぶん、恥ずかしかっただけ。僕もめっちゃ恥ずかしいし。でも、旅デートか。ちょっとなんか嬉しい。そう思ってほくほくしていた。




 電話がかかってきたのは次の日の昼休みのことだった。

「はい、もしもし」

「ハロハロ~。加乃ちゃんだよ」

 衝動的に電話を切りそうになったけどぐっと堪える。

「今なんか不穏な気配がしたけど、まあいっか。それでね、悠杜君話なんだけど、告白はした?」

「まだです」

「ならよかった」

 何がよかったんだか。

「それで、私の方も結構順調。たぶん、クリスマス前には免許取って帰れそう。そういうわけだから、クリスマスパーティーは盛大にやろうね。企画は任せた」

「はあ、一応シャルロットでパーティーをやる予定だったのでそれに参加するってことでいいですか?」

「オーキードーキー」

 意味はよく分からなかったけどたぶんそれでいいよね。

「あとそれから、わかってるだろうけど、クリスマスまでに未悠ちゃんに告白できなかったら、私の恋人にするから」

「ええっ!? 年内って言ってませんでした!?」

「そんなこと言ったっけ? でもまあ、年内もクリスマスも1週間も違わないからいいじゃん。それじゃあ、次は私が帰って来たときかな。じゃあね~」

「あ、ちょっと!」

 あ、切れた。

 そんなの聞いてないって! 時間制限がきつくなっちゃったじゃないか。いや、一応京都に行くのはクリスマス前の予定をしてたけど。大分追い込まれてしまったじゃないか。

 はあ、覚悟を決めないと。1階できっちり決めなくちゃ。

作者「やっぱ加乃ちゃんがいると書きやすい」

加乃「えっへん」

作者「コメディには必須のキャラクターだよね」

加乃「それは私がギャグキャラだって言ってる!?」

作者「いや、実際そうじゃないか」


悠杜「ねえ、いつの間にラブコメからただのコメディーにジョブチェンジしたのさ……」

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