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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
聞いてほしいことがあるんだ
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そんな簡単に嫌いになれない

文章力が落ちてると自覚する今日この頃

「昔って言っても僕の中学2年生の時だけどね。中二病真っ盛り」

「ふふっ」

 あ、ちょっとだけ笑った。場を整えようと咳払いを一回。

「まあ、僕はそこまで中二病ってわけじゃなかったから、それはともかくだけど。でも、思春期のど真ん中で。その時僕にも好きだった人がいたんですよ」

 未悠さんには話したことがなかった。京香さんにも、加乃先輩にも。まあ、加乃先輩はどこからともなくそんな情報を集めていそうな気がするけどさ。

「僕の従姉で、7つ年上。だから、千秋さんと同年代になるのかな。それで、その従姉が好きだったんです」

「……女の子の前で、そんなこと話すなんて」

 ちょっと空気が読めてなかったかな。まあでもいいや。ここからが大事だから。

「その、すいません」

「別にいいけどね。それで、従姉の名前はなんていうの?」

「水無瀬茜ですね」

「どこかで聞いたことがあるような……」

 ちょっと考え込む未悠さん。少し、頬に朱が差した気がした。

「ひょっとして、葵ちゃんのお姉さん?」

「そうですね。そう言えばあったことありましたね」

「私、小学校の頃から冷めた子供だったから、ね」

 そう言うとまたいじけモードに入ってしまった。ち、違うんですよ未悠さん。

「冗談だって。ちょっと元気でいいなって思っただけ」

「まあ、とにかく、従姉が好きだったんだ。物心ついた時から遊んでもらってたってのもあって。でも、告白はできなかったんだけどね」

「その前に振られちゃった?」

「まあ、そうかもしれない」

 暗に恋愛対象にはならないって言われたような気がするし。

「それまでの僕は、結構明るくて、友達もたくさんいたんですよ。入学当初は結構自分の殻に閉じこもっていたじゃないですか」

「ごめん、わからなかった」

「まあ、自分でも自覚してないからたぶんなんだけどね」

 そう言ってちょっと笑って見せる。しんみりしないように。

「だけど、中学二年生の時、いろいろありまして。まあ端的に言えば従姉が恋人に振られたんですよ。しかも、二股をかけられたとかで」

 唾を飲み込む。ゴクッと喉が鳴った気がした。

「それで、自棄になった従姉にいろいろと言われまして。それで、ショックで一時期何も考えられなくなって」

 あれ、自分は何を言っているんだろう。いつの間にかわからなくなった。何か、話が止まらない。余計なことまで言ってしまいそうだ。

「まあ、なんだその、そのせいで友達も何人か疎遠になっちゃって。だけど、竹田は相変わらず能天気で。それにはすごく感謝してるんだけど、そうじゃなくて」

 自分でも何が言いたいのかわからなくなってきた。あれ、涙が出そうだ。

「それで、言ってしまえば、従姉のせいなんですよ。いろいろと上手く行かなくなったし、人間関係失敗したのも。まあ、自分のせいってのもあるんですけど。でも、何が言いたいかって言うと、別に僕それで従姉が嫌いになったわけじゃなくて」

 そうだ。本当はそう言うことが言いたいんだ。だから、笑え。

「つまりはですね、人って一度好きになった人をそんな簡単に嫌いになれないってことです。だから、未悠さんもそんな今ちょっと調子が悪いからって、そんな簡単に嫌われちゃうなんてことない。未悠さんは人気者だし、そんなので嫌う人なんて、友達じゃないですよ」

「でも、不安になる」

「少なくとも!」

 また、余計なことを言っちゃった。

「少なくとも、僕はそんな顔してても嫌いになんてなりませんから」

 だけど、これでいい。言いたいことは伝えられたはずだから。

「もっと、僕らを信用してください。未悠さんの周りには味方がたくさんいる。みんな応援してくれてるんだからさ」

「でも……」

 それでも、未悠さんは不安げだった。

「でも、やっぱり怖いよ。受け入れられないんじゃないかって思ったら、すごく怖い」

「大丈夫ですって。もしそんな人がいたら、僕が蹴散らしますよ。まあ、力は弱いですけど」

「だけど……。やっぱり心配だよ。心細くて」

 ようやく話してくれたような気がした。不安でたまらない心情を。そうしてくれたのなら、後は。

「それじゃあ、授業さぼって生徒会室でトランプやりましょうよ。鍵、もらったんで。ね、それでいいでしょ。決定」

「あ、ちょっと!?」

 鍵を見せつけると驚いたような表情をする。きっと今の未悠さんに必要なのは無邪気さだから。

「僕も一緒にさぼりますから。約束ですよ」

 約束だなんて縛って。きっと未悠さんは来てくれるはずだ。だって、人は好きな人のことを、そんな簡単に嫌いにはなれないんだから。

作者「もしもし、加乃ちゃん?」

加乃「やー、あとがきくらいしか出番がないから困るよ」

作者「今バンクーバーにいるもんね」

加乃「まったく、どこのどいつだよ変なところに飛ばしてくれやがったのは」

作者「ごめんね。でも、加乃ちゃんいると話が暴走するし。書きやすいのはいいけど書きやすすぎるのも問題なんだよ」

加乃「それに一応最後の伏線でもあるしね」

作者「それ言っちゃっていいの!?」

加乃「いいのいいの。だってこの作品の8割はネタバレだから」


作者「それはいいすぎ」

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