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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
あっちこっち忙しすぎるんだ!
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オーバーフローした……

 うう、叱られた。

 いや、僕が悪いんだけどさ。全部僕が悪いんだけど、だって無理じゃん。痴漢予測するとか、昨日のうちに確認を取っておくとかさ。忙しいんだもん。言い訳しちゃだめだとは思うけど忙しすぎるんだもん。というか、両方流れでやることになったんだよね。

 というか、まじでどうしよう。今日もいろいろと押し付けられたし、放課後も予定がびっしりなんですけど。というか、帰宅部の人とか終わったらすぐ帰ってるんじゃないだろうか。

「ちょっと、行ってくる?」

「あれ、授業どうするの」

「それまでには戻る。……つもり」

 授業の間の休み時間に断って教室を出る。遅刻したら未悠さんにその旨話してもらおう。というか、頭が痛いな。片頭痛ってやつか。

『片頭痛は精神的ストレスで起こりやすいよ』

 今は加乃トリビアはどうでもいい。

「大丈夫? 顔色悪いけど?」

「未悠さん!? なんで!?」

「いや、悠杜君が心配だったからなんだけど」

 いないと、もし遅刻した時に……、まあいいや。

「大丈夫です。これくらい。生徒会の仕事してくるので?」

「無理してない? もうちょっと、頼ってくれていいんだよ?」

「いや、流石にそういうわけには」

 時間がない。早くいかなくちゃ。

「悠杜君はもうちょっと……」

「すいません、後にしてください」

 逃げるようにその場を後にする。時間がないんだ。次の授業まで10分もないんだ。急がないと。ともかく。

 

 それでも、話聞いているうちにつかまって授業に遅れてしまったのだけれど。あーあ。

 

 

 

「ねえ、本当に大丈夫? 顔色さっきより悪いけど」

「……大丈夫です。生徒会の仕事あるので。あ、それと、三希さん後で電話の方お願いします」

「本当に無理してない!? 詰め込み過ぎだって!」

「あはは、大丈夫ですって」

 詰め込み過ぎなのは理解してるからそこまで言わなくても大丈夫だって。それじゃあ、まずは、この帰宅部の人を捕まえないと……。そうだ、玄関口で待ち伏せしておいたらどうにかなるんじゃないだろうか。待っといてもらったらどうにかなるかもしれない。あ、あとでチャットの通話機能もオンにしないといけないわけだし……。はは、やっぱり詰め込み過ぎかな。それにしても頭が痛いよ。頭痛薬買いに行かないと。はは、まじで詰め込み過ぎだな。でも、文化祭まではどうにか頑張らないと。あ、あれ、体が思い通りに動かない……?

「悠杜君!?」

「伏見君大丈夫!?」

 あれ、地面がち、かい……!?

 

 

 

 ……あれ、ここはどこだ?

 えっと、どうなったんだ?

 確か、生徒会の仕事をしてた覚えはあるんだけど……。どこまでやったんだっけ?

「あ、起きた!」

「未悠さん!」

 あれ、なんで!?

「ダメだよ、寝てなきゃ。すごい熱があったんだからね」

「あの、生徒会の仕事は」

「それなら、加乃さんと京香がやってくれてる。あの2人が頑張ってくれてるから、悠杜君は、ゆっくり休んでて」

「でも、僕の仕事だし」

「いい加減にして!」

 叫ばれた。涙が出ていた。

「どれだけ心配したと思ってるの! 加乃さんも京香もみんな心配してたんだよ! もうちょっと、自分の体を大切にしてよ」

 目を合わせられなくて思わずそむけた。どうやら、ここは、保健室らしい。

「なんで倒れたか知ってる? 倒れたと思ったら眠ってたんだよ。それだけ疲れてるの。前も風邪ひいたことあったし」

 そう言えば、前にそんなこともあった。

「でも、仕事はちゃんとやらないと」

「そういう時は頼ってよ!」

 え!?

「私だったり、京香だったり、加乃さんだったり、千秋さんだったり。絶対に断らないから、私たちを頼って。迷惑かけるとか考えずに。迷惑だなんて思わないから」

「そうなの?」

 僕は。僕は、迷惑をかけると思っていた。頼んだら、迷惑をかけてしまうって思ってた。だから、自分で何とかしようって。だって、他の人も大変なんだから。

「本当に、本当に裏切ったりしない?」

「少なくとも、私が真剣に頼まれたら断らないし、加乃さんだってそうだと思うよ」

「そうなんだ」

 ……なんか、拍子抜けした気がする。僕は今まで何をしていたんだろう。

「とりあえず、今は寝た方がいいよ。それで、十分休息をとること。異論も反論も認めないから。いいね」

「はい……」

 そう言うと、未悠さんはそこで腰を落ち着けた。

「何でもかんでも、しょい込まなくていいって。好きな人からの頼みなんて断れないでしょ」

「ふぇっ!?」

 えっと、どういうことだ好きな人ってそれはその、別に未悠さんは僕のことがすきなわけじゃないし、僕もそういうわけじゃないのだから、それで、ええと、なんだっけ……。

 というか、また頭が熱くなってきた……。

「あれ、悠杜君大丈夫!?」

 だめだ、完全にオーバーフローした……。

ちなみに、悠杜君のこの性格は、父子家庭で苦労したせいでついたものです。

未悠「すごい、考えてあるじゃん。てっきり京香の話だけだと思ってた」(悠杜は寝込んでいる)

作者「ふっふっふ。後付けだ」

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