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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
どうして義妹(姉)ができるんだ!
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閑話 大谷拓都の野望 7

 待ちわびていたデートの日がやってきた。

 いや、デートじゃないけれども。伏見と木野さんという二人もいるんだけれど。

 ちなみに目的地は特にあまり考えずに湘南の海にした。いや、お金あんまりないしね。せめて交通費とあと少しくらいにまとめたい。後、水着姿が見えるなんて下心も無きにしも非ず。

「お待たせしました」

「待ちました?」

「あ、いえ、全然」

 坂本さんと木野さんが待ち合わせの9時10分前にやってくる。学校に一番近い乗換駅で待ち合わせだ。

 ちなみに俺が一時間前からここにいたことは秘密だったりする。いや、単純に眠れなかっただけなんだよ。小学生かと思うけど。

「あれ、伏見君まだ来てないよね」

「そうですね。次の電車だと時間すぎちゃいますけど、何かあったんでしょうか」

 そんなことを話して待つ。あの生真面目な性格なら集合30分前に来てそうな気がしてたのだが。

「何かあったのかな?」

「まあ、これなくなるようならメッセージくれるでしょうし、大丈夫でしょう。それに、時間も余裕がありますし、気長に待ちましょう」

 そんなことを言っていた折だった。そろそろ来るかなと思っていたところに伏見がやってきた。

 ただし、大所帯で。

 

 ……なぜ、学年一の美少女として名高い深草さんがここにいる!? それにあそこにいるのは先輩から学園一の要注意人物として手配書が回されてきた樟葉加乃先輩だろ!? それに、護衛隊長の山科さんまで! 一人知らない幼い女の子が混じってるけど、なんて面子なんだ!?

「ごめん。遅れた。出かけるときにつかまっちゃって」

「捕まえました」

 なるほど、仕方ないかも。だって、この人には極力狙われないようにしろっていうお触書が出てるくらいなんだから。

「ところでですけど、その人たちはどうするんですか」

「ついてくるそうです。その準備に手間取りました」

 坂本さんの台詞に後ろでピースサインを構える問題児先輩。だめだ、もう、これ。伏見のトーンも低いし。

「坂本さん、諦めましょう。特にすることは変わらないですし」

 しかしながら多分一番泣きたいのは俺である。一番最初は坂本さんと二人きりで告白まで行く予定だったのに! くそ! それだったら金に糸目はつけなかったのに。嘘だけど。

 こうしてなぜか深草さん、樟葉加乃先輩、山科さん、それから伏見の従妹らしい水無瀬さんが付いたのだった。ほぼ倍じゃねえか。

 

 

 

「湘南と言えばやっぱり水族館だよね!」

 要注意人物が言う。いや、もともとの予定は海水浴場なんですが。水着と空気いれて膨らませるボーと持って来たんですが。ちなみにこのために貯金下したんですけど。

「えっと、樟葉先輩でしたっけ? とりあえず海水浴場に行こうって話をしてたんで、その方向で進めようと思ってたんですけど」

 だめだ坂本さん! それは危険すぎる!

「あ、いや、そうですよね。水族館いいんじゃないですか。はは」

「お昼ごはんもそこで食べて、泳ぐのは午後からにしましょうか」

 伏見と意気がばっちり会う。そうか、伏見。お前も苦労してるんだな。せいぜい頑張ってくれ、俺を巻き込まないように。俺も今度から伏見をだしにせずに済むように頑張るから。

 ともかく、この要注意人物に絡むのは危険すぎるんだ。影を潜めてやり過ごすしかない。それにしても、お金足りるかなあ。一万円札持ってきたけど。

「じゃあ、早速レッツゴー」

「あ、待ってください! せめて日焼け止めだけでも塗らせてください!」

「もうちょっと売店よらせて!」

 坂本さんのフォローに入る。俺も日焼け止め塗ろ。バスケの時接触して痛いとやだし。あと、帽子も買っときたい。

「じゃあ、先にあいりんと未悠ちゃんと行ってるね」

 そう言うと問題児は木野さんと深草さんを連れて行ってしまった。あ、影みたいになってる山科さんもか。

「ねえ、これどうしよう」

「本当にどうしましょうかね、これ」

 水無瀬さんの手を握った伏見と二人、ため息を吐いた。

 

 どうやら俺の恋路には、障害物がやってくる運命にあるようです。

樟葉先輩、そんなに危険人物だったのね……

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