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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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-side ディアネイア-プロシア、極秘報告

 ディアネイアは街の様子を見ながら、城に戻っていた。

 祭り初日ではあるが、街にはいつも以上の人であふれていた。


 ……竜王の落下という大ハプニングはあったものの、順調に客は訪れてくれているようだな……。


 無事に人々が楽しめていることが何より有難い。

 これも森に住むあの人のお陰と考えると、自分の力不足を思い知る。

 そしてあの人の顔を思い浮かべるだけで、少し胸が苦しくなってくるけれども。


「また、お礼を兼ねて会いに行かねばな……」


 と、呟きながらディアネイアが自分の執務室に入ると、 


「おお、姫さま! 良かった、お戻りになられたのですね!」


 慌てた様子で、騎士団長が走ってきた。


「どうした騎士団長、そんなに汗を流して」

「いえ、その本国の方から、こんな連絡が今さっき届きまして」


 そう言って騎士団長は、手紙を一枚渡してくる。ディアネイアは首を傾げながら、その紙に書かれた内容を読んだ。


「……先日、お忍びで第一首都を抜け出した、第一王女がプロシアに向かった。もろもろ気をつけられたし……だと?!」

「は、はい! 既に出発されているそうで、遅くとも明日には着くそうです」

「あの元気っ子は何をしているんだ……!!」


 ディアネイアは思い出す。

 自分よりも年下だが、自分よりも王に近い明るい少女を。


「い、一応、警備のものはついているそうで、身の安全は保障されているとのことですが……」

「そうでなければ私が困る」


 『とびきりの私兵を雇ったので、身の安全は平気ですよ!』との私信をこの前貰ったばっかりだ。


「その強い私兵を連れているだろうし、彼女自身も強いから命の心配はしていないよ、私も」


 それに自衛の術も、ディアネイアがしっかり教え込んだ。

 もしもの時は緊急テレポートで城にも戻れる。だが、


「本当に、タイミングが悪いな……。仕方がない。警備体制を見直しするぞ。騎士団と魔女部隊を集めてくれ、騎士団長。ああ、それと現状の報告書をここに」

「は、はい! かしこまりました」


 ああ、今日もちょっと忙しくなった。

 夜にダイチの案内をするためには、どうにかして仕事を捌かなければならない。


「全く、本当に、ダイチ殿の前でしか、一人の魔女としていることは許されんな……」


 まあ、今更言っても仕方がない。

 自分にできるのは、憧れのあの人と過ごせる時間を稼ぐために全力を尽くすことだけだ。


 そう思いながらディアネイアが報告書を手に取って眺めていると、


「ディアネイアさまは、いらっしゃいますかー!?」


 廊下の方から、アンネが走ってきた。

 彼女は武装都市の副官という立場から一般人になったが、その能力を見込んで自分の執務室にいつでも来れるようにしてあるのだが、


「どうした、アンネ。そんなに急いで」

「いえ、ちょっと、お伝えし忘れていたことがありまして」

「伝え忘れ?」


 なんだろう。彼女に何か聞いていたことがあっただろうか。


「いや、連日徹夜してばかりですっかり記憶から抜け落ちていたんですが、私の知り合いの竜王が、このプロシアへ来るそうなんですよ。数日前、竜の念話でそれを知りまして」

「は……?」

「【最優】の竜王なので、かなり強いんですが……偶に問題を起こすような人でして――って、あ、あれ、ディアネイア様? 白目を向いてますけど、大丈夫ですか?」

「……はっ!?」


 いかん、あまりの事に気を失いかけていた。


「りゅ、竜王か……。そうか、来るのか」

「はい。一応、人を敵視したりはしていないのですが……まあ、私以上に強いので。その連絡をしに来たんです」

「そうか……」


 竜王の強さの格は良く分かってはいないが、確実に自分以上に強いアンネよりも上なのか。

 それは危険だ。何が危険かというと、


「自分の力を勘違いしている竜王だと、ダイチ殿に挑みそうだな……。その瞬間、怪獣大戦争になるが」

「た、多分、それは無いとは、思うんですがね……。絶対にダイチ様が勝ちますし」


 自分もないとは思いたいが、今、プロシアには沢山の人が集まっている。

 そんなところで大戦争が起きては溜まらない。


 しかも第一王女も来るという、このタイミングで、まさかの問題が二つ重なった……。


 ……まずは対処だが、今日の仕事は夜までに終わるかな……。


 今すぐ頭を抱えて落ち込みたい気分になる。

 だが、まずは対処を終わらせないとあの人と一緒に過ごせないのだから、仕方ない。


「アンネ、ちょっとその竜王について、話を聞かせてくれ」

「はい、わかりました」


 夜までの間は、必死で仕事をやる必要がありそうだ。

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