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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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72.祭りの前の自宅設備改造

 家に戻って寝て、起きたのは昼過ぎだった。


 なんだか周辺にモンスターがいたけれど、いつものようにゴーレムで吹っ飛ばしつつ、サクラが作ってくれた昼飯を食べる。

 それから、俺はサクラと一緒に外に出た。


「今日は何をするんですか、主様」

「ああ、先延ばしにしていた温泉を作ろうと思ってるんだよ」


 祭りが始まる前に、それを作ってしまいたい。

 そして祭りで買ってきた酒でも飲みながら浸かりたいと思っていたりする。


「温泉……というと、この前発見したアレを利用するんですね?」

「そうだ。あの、魔力が濃すぎてヤバイ源泉をどうにかしようと思ってる」


 喋りながら、俺は家の地下にあるダンジョンに来ていた。

 行先はもちろん、源泉だ。


「ここに来るのも慣れたもんだなあ」

「源泉を引っ張る為の水道管を作るために、主様と何度か来ましたからね」


 この源泉の真上が家の裏庭だ。

 既にそこには水道管の出口を持っていってあり、温泉予定地としている。


「あとはこの源泉をどう薄めるか、なんだが……サクラ、同期で水脈探しって出来るか?」

「水脈ですか? 私だけでは難しいですが、主様の魔力があれば、出来ると思いますよ」

「よし、じゃあ、同期を頼む」

「はい」


 そうしてサクラと同期した俺は、家の地下深くを探る。

 広大なダンジョンだが、サクラにとっては、全てが知覚範囲内だ。


 もちろん、地下深くまで、それは届く。

 だから俺の脳内では、アリの巣のように張り巡らされたダンジョンの全容が把握できていた。


 なんというか、拡大機能付きのダンジョンマップを見せられている気分になりながら、俺はダンジョン内部を探っていく。


「……しかし、このダンジョン。広い上に、本当に資源が豊富だな」


 探れば探るほど、魔石やら魔力が含まれた物質が、ゴロゴロ出てくるのだ。

 水を探したいというのに、そう言うものばかりが目に入る。


「ふふ、龍脈のダンジョンですからね。資源が次々に生まれても仕方ありません」

「そういや、ヘスティが無表情で喜んでいたっけな。このダンジョン、お宝の山――って」

「ヘスティちゃん、そういう素材集め、好きそうですからねえ」


 などと喋りながら、俺はどんどんダンジョン内部を探っていく。そして――、 


「ん、あったぞ」

「おお、おめでとうございます、主様!


 源泉からちょっと遠い場所に、水が流れる場所を見つけた。

 ドーム状の空間で、川のような流水がある。


「というか主様、知覚する速度、早くなりましたね。こんな広範囲を一瞬で……」

「まあ、慣れたんだろう」


 そこそこ長い間、ここで暮らしているし、同期回数も多くなったしな。

 コツを掴み始めたのかもしれない。

 

「ともあれ、結構近いから、つなげたいんだが……ここでもブロック単位の入れ替えって出来るのか?」

「恐らく、集中すれば可能かと」

「よし、それじゃあ、ぶち抜くか」

「はいっ!」


 源泉と地下水脈の間にある壁をブロック単位でぶち抜いていくのに、そう時間はかからなかった。


 数分で、地下に流れる川と、源泉の間にルートは構築された。

 そこに樹木で作った手製の水道管を這わせれば、


「温泉の加水装置の完成っと」

「おお、これで後は引き揚げるだけですね!」


 サクラは嬉しそうに喜んでいる。


「この前、源泉を発見した時もそうだけど、サクラって温泉好きなの?」

「え……っと、その、はい。お恥ずかしながら。ちょっとお年寄りっぽいですかね?」


 サクラは少し顔を赤らめて頷いた。

 なんというか、彼女の趣味嗜好を知る機会がなかったので新鮮だな。


「まあ、別に恥ずかしがる事でもないぞ? 俺も好きだから」


 温泉につかってゆったりするのとか、大好物だしな。


「そ、そうですか……! 主様と一緒で良かったです……」

「まあ、お互いに好きなもので良かったってことで。――あったかい温泉を作る前に、もう一仕事するぞ、サクラ。薄めて引き上げる装置の調整だ」

「はい!」


 こうして、俺たちはダンジョン内で、温泉を作る為の最終調整を行った。

 多分、これで地上に出しても、安全なものができた……筈だ。

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