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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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66.自宅の片付け

 店の建設から帰ってきて爆睡したあと、俺は家のリンゴ保管庫から、幾つかを店の方に運び出す事にした。

 

 数日後に祭りを控えているので、その為のリンゴジュース在庫を作るためだ。 


 サクラやゴーレムの手を借りて、適当な量を出そうと思ったのだが、


「今にして思うと、リンゴだけで何階層埋めてるんだ、これ……」

「け、結構な量がありますね」

 

 まさか、五階分、リンゴの果実で埋まっているとは思わなかった。

 時折、我が家の窓部分からポロポロ赤い果実がこぼれているのは知っていたけれども。


 ゴーレムたち、収穫し過ぎだ。


「ゴーレムに自動収穫をつけたのは失敗だったか……」

「腐らないのをいいことに、保存食だなんだといって、採り過ぎましたねえ」


 スペースは幾らでもあるから、場所に困ったことはない。

 だけれども、ここまで溜まりまくっていたことに軽いショックを受けている。


「なんだろうなあ。サクラという家を無駄遣いしている気分になってるんだが」

「いえいえ、物置とされるのも、家の役割の一つなので全然大丈夫ですよ」


 地下も合わせて何十回層も出来ているのでそう言ってくれるのは有難いけれど、そろそろ本格的に家の形を整える必要がありそうだ。


「一応、地面に城を埋めていくような形にしようと思っているんだ。それで地表には程良く高い塔を立てるって感じで」

「わあ、それはいいですね」


 サクラは嬉しそうにしているが、残念ながらまだ出来ないんだ。


「俺の構築センスというか、ビルディング能力が足りなくてだな。上手く城の形状を作れないんだよな……」

「ま、まあ、それはあれですよ。ゴーレムたちと同じで、作っていく内に慣れますよ」


 確かに、前から建築は慣れとは聞いている。イメージするのには慣れてきたので、あとは実際にビルドするべきなんだろう。

 この所、ゴーレムやら庭作り、地下の拡張に掛かりっきりで、家の方に手を回せていないのもあるけれど。


「そろそろ再開、出来るといいなあ」

「主様のお好きなようにするのが一番ですよ。あと形を決める際は、私にもお手伝いさせてくださいね」

「おう、その時はまた頼むわ」


 ただ、今はこのリンゴ天国な状態をどうにかするのが先決だ。

 ジュースにすれば、消費量も上がるし、すぐに解決できるとは思うけれど。


 あの街の住人がどれだけ来てくれるか分からないので、過度な期待はしないでおこう。なんて、思いながらリンゴのケースを運んでいると、


「主様。上空から何かが落下してきますが、いかがしましょう」

「上空?」


 見れば、なにか黒い点がどんどん近付いてきている気がする。


「ふむ……まあ、危ないから弾くか。――伸びて広がれ」


 俺は樹木を数本、空に向かって伸ばした。

 そしてシールドのように広がった樹木は、


「――」


 ギリギリ、と音を立てて、空から落ちてきた何かを受けとめた。 


「流石は主様。防御が早いですね」

「気付いたのはサクラだけどな。さて、なんだろうな」


 後ろから見るに、落下してきたのは結構大きなモノのようだ。

 とりあえず、樹木を縮めて、その落下物を庭に下ろす。


「岩、か?」


 それは、直径三メートルくらいのツルツルとした灰色の岩だった。

 ただ、表面にはなにやら幾何学的な模様が見える。


「ううん、なんでしょうか。私の方でも、少し知識がありませんね」

「金属っぽいような気がするが、なんでそれが空から降ってくるんだ?」


 光りモノが好きな飛竜が咥えていて、何かの拍子に落としたんだろうかと、見上げてみたが、竜の姿は無かった。


「なにかヤバイ雰囲気とかあるか?」

「いえ、何もありませんね。抜け殻というか、本当の意味で無機物というか。とりあえず危険はなさそうです」


 ふむふむ、危険は無いのか。


「もしかして、あれかな。ウサギたちの店をぶっ壊したって言う落石なのか、これ」

「かもしれませんね」

「なんだよ、まだ事件の犯人つかまってなかったのか」


 結局、この落石はなんなのか、ディアネイアに聞いておくかな。

 もう少しで俺のリンゴ畑に直撃する所だったし。


「そうですね。このリンゴを運ぶついでに聞いてみるのはどうでしょう」

「……あー……でも、そうすると、昼間の街に行かなきゃいけないのか」


 人が多いと、なんだか行く気が出ないんだよな。

 あの辺、賑やかだって聞くし、賑やか過ぎるとなんだか動きづらいし。


「夜にずらします?」

「そうだなあ。夜に店に行って、ディアネイアに会えたら会うって感じでいいかな」


 特に今は実害もでてないしな。

 暇になった時に聞ければいいや。

 

「はい、ではまず運び出しちゃいますね!」

「おう、ゆっくりやっていこうか」


 そうして、落下物を庭の横にのけながら、俺たちは運搬作業を続けることにした。


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