幕間 アンネの反省
昨日、12/19に魔力スポットのコミックス2巻が発売されました! よろしくお願いします!
「姉上さまー。姉上さまー。姉上さまー。姉上さまー」
「おーい。ヘスティ。アンネがなんだか壊れた機械みたいになってるんだけど、何したんだ?」
その日の昼、俺は庭に出るなり、うつろな目で同じ言葉を吐き出すアンネに遭遇した。
あんまり関わり合いになりたく様子をさらしていたけれど、放っておくわけにもいかない近寄ってみると、近場ではヘスティが無言でむすっとしながら杖を作っていた。
こうなったには何か訳があるんだろう、と思って話を聞くことにしたのだ。
するとヘスティは、半目でアンネを見た後、
「お触り禁止令だした。今日で一週間目」
とだけ言った。
「なんでまたそんなことを? これの我慢の限界が来たのか?」
いまだ姉上さまBOTとなっているアンネに目を向けながら聞くと、ヘスティは吐息した
「普通に触ってくる分にはまあ、ちょっと許容する。けど……マジックグッズを作るからって、我の寸法図らせたら。なんか、変な抱き枕作ってたから」
ヘスティの言葉にBOTが違う反応を見せた。
「し、仕方なかったんです。仕方なかったんですよ! どうしても寝るときに、姉上さまの感触がほしくて!」
「でも、マジックグッズじゃないし。嘘は、いけない」
本当に姉が妹を叱るかのように、ヘスティはアンネに言った。
彼女の言葉に、アンネはしょぼんを身を小さくした。
「うう……すみませんすみません。もう絶対にやらないですううぅ……」
声まで小さくなっていく彼女の様を見て、ふう、とヘスティは吐息し、
「――ん、まあ、もう一週間だし。謝って反省したなら、許す」
仕方ない、というような表情で、そういった。すると、
「姉上さまー! ありがとうございますううう」
一気に元気を取り戻したアンネが、ヘスティに抱き着いた。
「い、一週間ぶりの姉上さま成分んんん……!!」
ヘスティのおなかのあたりに抱き着いて全力で顔をぐりぐり動かしている。
「……切り替えが早い……」
アンネを見て、あきれる様な口調でそう言いながらもヘスティは拒絶しないようだ。
「優しいというか、なんというか。面倒見がいいよなあ、ヘスティは」
そう言うと、ヘスティはこちらをじっと見てきた。
「んー、半分くらい貴方の真似。我も、貴方に色々と許してもらったからね。それこそ戦いとか、相談なしでの特攻とか」
「あー……昔のことを覚えてるんだな」
出来事があってから、かなり時間がたっていると思ったけれども。
ヘスティは首を横に振る。
「当然。あれは、忘れない。大切な思い出だから。今回のも貴方を見習ってみた」
「はは、まあ、参考になれば何よりだよ」
「ん、とても、力になった」
と柔らかにほほ笑んだあとで、ヘスティは自らを抱きしめ中のアンネの頭に手を置いた。
「――で、アンネ。そろそろ、終わり」
「ああー久々の供給だったのに……。でも、今回は私がいけなかったんですから、このくらいにしておきます……」
いつもは力づくでないと離れないアンネも、今回は自発的に離れた。
それを見たヘスティは苦笑して、
「分かればいい。また、程々なら許可してあげるからね」
「は、はい! ありがとうございます、姉上さま!」
そんな感じで、アンネのBOT化は解除された上に、二人の竜王の仲も深まったようだった。
いつも応援ありがとうございます!
面白いと思って頂けましたら、ブクマ、評価など、よろしくお願いします!
また、前書きにもありますが、昨日、12/19に魔力スポットのコミックス2巻が発売されました!
ヘスティ関連の話ががっつり書き込まれていて、とても面白いものになっております。
書店などでお見かけの際には、是非お手に取って頂けますと嬉しいです!!
コミックスの詳細などは↓に。





